航空自衛隊2020年代に向け中給油機の追加導入を決めていますが、しかしその数は圧倒的に足りません。このままではせっかく導入したF-35も宝の持ち腐れに。そこには、現代の航空戦のありかたが色濃く表れています。

見直すべき空中給油機の価値

2018年現在航空自衛隊ボーイング767を原とする中給油機KC-767を4機保有しています。また同じくボーイング767を原とするKC-46をさらに3機導入することを決めており2020年代には合計で7機を保有することになります。この7機はローテーションで計画整備を行うため、実際に同時に運用可な機数は恐らく5機程度となるはずです。

この5機という数字は、航空自衛隊が保有する練習も含めた戦闘機およそ340機を支援するにはあまりにも少なく、戦闘機保有数あたりの中給油機保有数は先進国でも最低クラスです。このままでは本格的な侵略が合った場合、深刻な中給油機不足によって戦闘機を発揮できない事態に陥ることが考えられます。特に性を減じてしまうであろう機種が最新鋭のF-35であり、せっかくのF-35の高性が宝の持ち腐れになりかねない状況にあります。

なぜ中給油機が少ないとF-35は性を発揮できなくなってしまうのでしょうか。それは現代戦闘機の任務が長時間化している事実にあります。

映画などフィクションではまず出撃前にブリーフィングが行われ、パイロットらを集めて作戦の的や護衛対であったり破壊対であったりを説明した上で出撃する、というような描写がよくあります。ところが現在アメリカ軍やその同盟における実際の航空作戦では、こうしたブリーフィングはかなり簡素化されており、せいぜい気など飛行に最低限必要な情報だけが伝達され、作戦標自体を定めないまま発進することがほとんどです。

戦闘機の任務はなぜ長時間化しているのか

なぜ作戦標が定められていないのかというと、たとえば何かを爆撃する必要が生じた場合はネットワークシステム活用し、最も近くを飛んでいる誘導爆弾を搭載した戦闘機爆撃機に、必要なデータを送って作戦を実行させているためです。

これならば作戦立案から数分という短い時間で対を破壊できます。従来のような地上で作戦を立案しそれから戦闘機爆撃を発進させてといった手順を踏んでいては、どんなにくても攻撃は翌日以降となるでしょう。一方その代償として、戦闘機は長時間中待機を行わなければならなくなっているのです。

一例として2011(平成23)年に行われたリビア爆における、イギリス軍のユーロファイタータイフーン」を見てみましょう。ユーロファイターの作戦は均6飛行時間、最大9飛行時間にも及び、例えば6飛行時間の作戦では最低3回の中給油が必要でした。こうした事情は、ネットワークに著しく欠いた前時代的なロシア軍戦闘機以外はほとんど同じです。

長時間の作戦はパイロットにとって、体的にも精的にもかなり厳しい作戦です。かつて太平洋戦争においてラバウルに駐留した零戦パイロットらは、往復8時間をかけてガダルカナルへ進出したことで知られ、非人的な酷使であったとみなされることが多いようですが、皮なことに現代ジェット戦闘機パイロットらは当たり前のようにこうした長時間にわたる任務をこなしています。

現代はラバウルとは違って、食べるものは十分に確保できますし、マラリアなどの病気も心配ありません。またエアコンも搭載しているので負担はかなり違ってくるでしょう。それでも日常的に作戦を行う上での人間の限界は、だいたい6飛行時間から9飛行時間程度であり、こうした過重労働は長期間続けることは不可能で、解決すべき大きな問題となっています。

「補給なしでは誰も何もできない」

F-35情報収集ネットワーク活用した、情報有能に優れた戦闘機です。長時間中待機し、ネットワークを経由し速に任務をこなす、こうした運用方法を行うことによってはじめてそのを発揮できます。またF-2F-15にもネットワークを組み込む近代化修が行われており、有事の際には、要される1回あたりの飛行時間はやはりかなり長くなってくるはずです。

しかしそれは中給油機があっての話です。ければそれも不可能であり、20世紀的な戦い方しかできなくなります。

アメリカ中給油機部隊にはこんなモットーがあります。

俺らしではも何もできない(Nobody Kicks Ass Without Tanker Gas)」

アメリカは全世界の8割を占める約600機の中給油機を保有しています。もちろんこれを日本と直接較することはできないものの、あまりにも少なすぎる航空自衛隊中給油機保有数はもっと真剣議論されてもよいのではないでしょうか。いま現在航空自衛隊は「彼ら(中給油機)しではも何もできない」状態なのですから。

【写真】まるごとグレー色のB767、最新空中給油機KC-46A

航空自衛隊のKC-767(中央右上)とF-15J(画像:航空自衛隊)。