6月10日東京紀伊國屋書店新宿本店で、5月に著書「教室」で小説家デビューを果たした伊東歌詞太郎トークサイン会が開催された。

【写真を見る】ファンの一人一人に語りかけながらサインする伊東歌詞太郎

伊東歌詞太郎は、2014年メジャーデビューを果たした人気シンガーソングライターキツネのお面を着けての活動がトレードマークにもなっている。

初の小説教室」は、アルバイト教師を務める大学生灰原巧が、送り込まれた庭で、生徒となる小中学生やその家族の抱える問題と摯に向き合い、対処策を模索する姿を描く7編のオムニバスストーリー

音楽で食べられるようになる前は、塾講師や教師アルバイトをしていました」という著者の体験が基となっている。伊東歌詞太郎シンガーソングライターとして生み出してきた楽曲同様に、若年の心の揺れや機微を瑞々しく表現した作品は、女性を中心に多くの読者の共感を集める。

熱心なファンにも支えられて書籍の売れ行きは芳しく、この日は重版3刷が決定したことが報告された。

初の著書の出版後、首都圏ほか九州関西愛知などで精的にサイン会を開催してきた伊東歌詞太郎トーク冒頭、編集担当はその活動の中から、関西でのサイン会のエピソードを紹介した。

大阪サインイベントを書店員として担当した方が、丁寧にお礼の挨拶をして回った伊東歌詞太郎の人柄に触れて思い立ったのか、翌日の神戸サイン会にやって来たというのだ。

「すごくうれしかった。その書店員さんは、伊東歌詞太郎のことを知らない人だったんです。そんなふうに、のことを知らなかった人も本を手に取ってくれる。

それはやっぱり、ここに来てくれる皆さんのおかげ。皆さんが広めてくれていると感じるんです。正直、自分の本がこんなに広がるなんて、思ってもなかった。

本を書くことは前からの夢で、こうしてようやく初めて書いた。だから新人作家として頑ろうと思ってる。支えてくれる皆さんに、いつもと同じように感謝を伝えたい」。

そう摯(しんし)にる様子を、集まったファンは温かいまなざしで見詰めていた。

ファンへのメッセージスランプについて

この日のトークでは、ファンに募った質問に答える趣向も用意された。

繰り返し読んだ本を尋ねるものや、小説教室」に登場する料理店・レストランモデルを明かしてとお願いするものの他、「スランプ時の対処法」を聞く質問もあった。これを受けて伊東歌詞太郎は、自身の思いをり始めた。

は曲作りをしていて、その作業にはめちゃめちゃ波がある。1日で1曲出来ることもあれば、全然出来ない時もある。それを繰り返しているんですね。

今年はまだ1曲2曲しか作れていないんです。言うなればこれはスランプ。けど、スランプが全然怖くない。なぜかというと、スランプの理由が分かっているから。

が世の中に出すのは、自分の『これはいいぞ』という基準をえたもの。基準をえた作品だけをみなさんに提供しているわけです。

これを続けていくと、自分の実は上がっていく。すると今まで通りだとその基準に届かないんですよ。だから曲が完成しない。それは自分のスランプだと思うんですね。

つまり、スランプというのは、レベルアップの前ということ。自分の人生を振り返っても、スランプを抜けた後は、それまでと全然違う、もっと良いものが出来ている。

しもスランプ中はやっぱりつらいもの。今までうまくいっていたことがうまくいかないんだから。そこで人はくじけるもの。だけどそこでやめないでほしい。やめないでスランプを抜けた先では、今までと全然違ったものが作れるようになる。

スランプというのは、レベルアップ直前の期間なんです。足踏みを続けてほしいと思う。きついなと思いながら、頑ってほしい」

会場にはいないファンまでも含めて励ますかのように丁寧に熱くる言葉は、ファンの胸にしっかりと届いたに違いない。サイン会の中で、受け止めた思いを伝えようと一生懸命にり掛けるファン視線と言葉は強く印に残った。

伊東歌詞太郎が著書に込めた思い、伝えたいこと

この第1作は、以前から温めていたプロットがあったものの、約1カで書き上げたという。確かにそんな熱やスピード感が詰まった作品になっている。この小説執筆でしたことを尋ねると「社会貢献」と伊東歌詞太郎は答えた。

庭や子どもたちが直面している問題の中には、当たり前のことと思われて報道されない問題がたくさんあります。本質と異なる報道をされていることもある。そんな状況を色濃く作品に反映させることはできたと思っています。読んだ人が問題を知って、悲しくなることもあるかもしれないけど、最終的に優しい気持ちになれる作品だと思う。読んでくれる人が増えると、優しい人が増えるから、そういう意味で社会貢献です」

次回作についての意気込み、構想も聞いてみた。

庭だけじゃなくて、教師業界も問題を抱えているところがある。中にはいいかげんな経営をしている会社もある。そうしたものに対しては怒りを感じるから、そんな暗部も描きたい。続編は必ずやりたいと思っています。けど、時間をください」

シンガーソングライターとしてではなく、小説家として掛けられる言葉は「すべてが新鮮」という伊東歌詞太郎。歌と小説では「結果を見ると全く同じ。歌も小説も伝えたいことを伝えるものだから。でも、音楽は伝えたいと思ったらパッと行ける。でも小説プロセスが違う。きつかったけど、音楽と並行してこれからもやっていきます。今度はもう少し時間をもらって(笑)、間違いなくやりたいと思います」

この先も「教室」出版記念イベントは全各地で控えている。そしてワンマンライブHAPPY REBIRTHDAY」の詳細も発表された。著書、音楽イベントライブと、いろんなところで放たれる彼のメッセージに注しておこう。(ザテレビジョン

伊東歌詞太郎