BTS(防弾少年団)のアルバムが米”Billboard 200”で初登場1位に!

BTS(防弾少年団)の3rdアルバムLOVE YOURSELF Tear”』(2018.05.18発売)がビルボード・アルバム・チャート”Billboard 200”で初登場1位2018.06.02付)、加えて新曲「FAKE LOVE」がビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で初登場10位(2018.06.02付)のTOP10入りを果たしたが、これはどちらもK-POP史上初の快挙である。

BTS5月21日にはLAで開催された『2018 ビルボード・ミュージック・アワード』に出席し、昨年に続き韓国歌手として初めて2年連続でトップソーシャルアーティスト賞を受賞。通常であれば韓国音楽番組やショーケースで新曲を初披露するが、『2018 ビルボード・ミュージック・アワード』というハレの場で韓国語であるアルバムタイトル曲「FAKE LOVE」を初パフォーマンスし、海外でのカムバックを果たしている。

BTSFAKE LOVE」(2018年

これまで多くのK-POPアーティストがなしえなかった栄冠を手にしたBTS。彼らを世に出したプロデューサーこそ、Big Hitエンターテインメント代表のパン・シヒョクである。BTS世界的な成功を評価され、5月21日には、ビルボードが選出する世界音楽市場を動かせる業界のリーダー、『インターナショナルパワープレイヤー73人の音楽制作部門パワープレイヤーに選定されている。本特集では、総括プロデューサーとしてBTSを成功へ導いた軌跡を核に、パン・シヒョクを紹介しよう。

JYPのパク・ジニョンの片腕として、2AMをスターに

パン・シヒョクは1972年まれの45歳。ソウル大学日本でいうと東京大学)美学科出身の秀才だ。卒業後は作曲として活動していたが、JYPエンターテインメント(以下、JYP)のパク・ジニョン(【KPOPクリエイター列伝】vol.1参照)にスカウトされ、JYPに入社。「パク・ジニョンにプロデュースのすべてを学んだ」という師関係を築いているが、パク・ジニョンも2009年にWonder Girlsの米国デビュー曲「NOBODY」が韓国初、アジア50年ぶりの「ビルボドHot 100」76位にランクインして沸いたが、師匠はるかえる成果を得たこととなる。

2005年にはJYPから独立し、Big Hitエンターテインメント(以下、Big Hit)を設立。独立とはいえJYPとは提携関係にあり、Big Hitを経営しながらJYPのプロデューサー業も並行し、Wonder Girlsの米国進出時には、パク・ジニョンと米国に携行している。また、2014年まで、JYPのボーカルグループ2AMのマネージメントもBig Hitが請け負っており、マネージメント業務の基礎を築いた。2AMパン・シヒョク楽曲「Never let you go」で初の地上波1位を獲得し、ボーカルグループとしての地位を確立し、両者はWinWinの関係性であったといえる。

2AMNever let you go」(2010年

2010年にはテレビ人気オーディション番組『スターオーディション - 偉大な誕生』に出演し毒舌ぶりで名を売ると、同年9月2日に、自社オーディションヒップホップオーディション HIT IT』開催を発表。これはヒップホップグループ防弾少年団の新しいメンバーを募集する全オーディションで、この時点ですでに、「防弾少年団」というグループ名と、練習生として所属していたキム・ナムジュン(RM)がグループの中心となることが決まっていた。防弾少年団は、本格的なヒップホップグループとして2011年デビューする予定だったが、紆余曲折の末にヒップホップアイドルグループに路線変更。30人近い補生の中から、最終的に現在の7名のメンバーが選ばれた。

自作アイドルBTSに課したのは、自分の内面の物語を歌い、同世代の共感をよぶこと

ヒップホップアイドルグループとして2013年6月デビューした防弾少年団だが、デビュー当初からこれほど爆発的に人気があったわけではなく、ブレイクのきっかけになったのは2015年ミニアルバム様年Pt.1』で、ヒップホップ色の強いイメージから、大衆的なメロディー青春の悩みや不安を描いた作品にシフトしたころからである。

BTS「I NEED U」(2015年

デビュー前から方言を用いたラップ曲「八江山」などの自作曲を発表してきた防弾少年団は、パン・シヒョク、Pdoggというプロデューサーの下、作詞作曲メンバーが手掛けている。パン・シヒョクが彼らに課してきたのは、ファンとの"共感"だ。デビューからの「学校3部作」では学生の気持ちを代弁し、『様年』の「青春2部作」では少年期から青年期への青春模様を歌にしたが、自分の内面の物語を歌い、同世代の共感をよぶことが大事だという。制作に関してはそれだけをめ、ほかの事務所のようにプライベートに関する規制は一切しなかったそうだ。

K-POPアイドルは、魅力的な外見、驚異的なパフォーマンス、完成度の高いMV、グローバルトレンドを反映した音楽のトータルパッケージ

今や世界が注するBTSだが、「当初は世界的なアーティストにするという標はなかった。でも、いいものを作る自信はあった」とパン・シヒョクはる。ではなぜ、BTS世界音楽市場に進出できたのか。その問いにパン・シヒョクは「海外ファン歌詞ではなく、ダンスに同調する。デジタルネイティブは、ネットK-POPをキャッチして、SNS拡散する。K-POPは言葉のを越え交流できる視覚的な音楽だから」と答えている。近年K-POPから世界ヒットとなった作品といえば、PSYサイ)の「江南スタイル」が挙げられるが、この曲も韓国語曲でありながら、ノリやすいリズムと、PSYキャラクターマッチした奇妙なダンスをフィーチャーしたミュージックビデオMV)でく間に世界拡散された。BTSもそれを実するようにMV制作を入れており、新曲「FAKE LOVE」では映画のような壮大な世界観が映像化されている。

またパン・シヒョクは、「K-POPアイドルは、魅的な外見、驚異的なパフォーマンス完成度の高いMVグロバルトレンドを反映した音楽のトータルパッケージである。BTSは、このすべての要素で高い完成度をめている」とも発言。特に一糸乱れぬパワフルダンスパフォーマンスが特徴のBTSにおいては、「事務所としては稼働させればお金になるが、カムバック前にはほかの仕事は入れずに練習に集中する時間を設けるようにしている」というほど徹底している。

本格的に“世界”を視野に入れたのは、2016年2ndアルバムWINGS』からだろう。「BTS Cypher 4」ではジャスティン・ビーバーの「Baby」やブリトニー・スピアーズリアーナビヨンセなどそうそうたるアーティストプロデュースで知られるトリッキー・スチュワートを筆頭に、海外作家とのコライト作が急増。その結果、「Billboard 200」で韓国アーティスト最高位の26位にランクイン。続くアルバムLOVE YOURSELF 承 'Her'』(2017年)では海外作家とのコラボが増えてゆき「Billboard 200」で7位というアジア最高位を記録した。それが大きく開いたのがスティーヴ・アオキリミックスした「Mic Drop」で、BTS初の全トップ40入りのヒットとなった。そして、このコラボの結実が、11曲中7曲が海外作家との共作である最新アルバムLOVE YOURSELF Tear”』といえるだろう。

[2017 MAMA in Hong Kong] BTSBTS Cypher 4 + MIC DROP(Steve Aoki Remix Ver.)

前述のように海外作家とのコラボが増えてはいるが、リード曲「FAKE LOVE」はパン・シヒョク、韓国人プロデューサーPdogg、BTSメンバーRMの手による楽曲である。パン・シヒョクを追ったドキュメンタリー番組『防弾少年団(BTS)とK-POP未来~明見里』(KBS)では、アメリカレコードを大量買いする姿も映し出されていたが、彼は絶えずさまざまな音楽を聴きまくっている。「BTSの「血、汗、涙」は、レゲエを基盤としたムーンバートントラップダンスホールやム―ンバートンなど、最新のトレンドを反映した。アメリカではエスニックが熱いが、ピンときたものが次のトレンドになる。多くの音楽を聴き、市場を先読みし、絶えず完成度の高い作品を作り続けることが成功の要因だ」と自身の制作スタンスっていたが、もはや韓国人である彼らの作り出した音楽がトレンドになるまでに。

アイドルのプロデュースは運命。届けるメッセージに集中したい

自身のルーツについて、「ビルボードキッズで、デュランデュランにどハマりした。だから今、アイドルプロデュースをしているのは運命かも」とったパン・シヒョクは近年BTSプロデュースに集中していたが、5月リリースされた韓国バンドアイドルIZ(アイズ)の2ndミニアルバムANGEL』で久々に外部プロデュースを手掛けた。また、Big Hitとしては、グロバル音楽市場す、ヒップホップR&Bなどのブラックミュージックに特化した新しいプロデューサーを発掘する「NEXT NEW CREATOR - Darker Than Black Edition PART」の開催を発表(2018年6月現在)。ちなみに4月に「韓国モバイルゲーム大手Netmarble、話題沸騰中のK-popグループBTS(防弾少年団)」の音楽レーベルに1億9,000万ドルを出資」というニュースが出たが、Netmarble代表とパン・シヒョクは親戚関係で、今後、『BTS World』というBTS メンバーを育成するマネジメント・シミュレーションゲームリリースする予定だという。ビジネスマンとしてもヤリ手だ。

パン・シヒョクは成功を手にしたBTSの今後について「メンバーたちと、成功や記録に執着するのはよそうと話している。音楽五輪ではない。成長に価値をおき、届けるメッセージに集中し、そのメッセージは率直でありたい。それを続けていることが大事だ」とっている。BTSジョングクは、「標は、アルバム全曲を自分たちでプロデュースすること」と言しているが、プロデューサーとしてパン・シヒョクは、「成長の物語を続けていけるように助けるのが自分の仕事BTSには独自のモデルを作り、次のを切り開き、K-POPの今後に寄与してほしい。K-POPには現代の音楽をより豊かで多様にする底があると信じている。新しい挑戦が次の時代を開く。私自身も、それに備えている」とっているが、BTSパン・シヒョクはどこまで蜜を続けるのか、そしてこの先、BTS世界でどのような活動を行うのか注したい。

IZ「ANGEL」(2018年

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BTS(防弾少年団)『LOVE YOURSELF 轉 “Tear”』