お笑い芸人文学賞といえば、ピース・又吉直樹の「火」が思い浮かぶ。同作は2015年芥川龍之介賞を受賞した。

 当時の大フィーバーからはや3年。しかし、そのムーブメントはいまだ収まることがなく、累計発行部数は300万部を突破。ドラマ映画化に続き、現在は初の舞台「火 -Ghost of the Novelist-」が上演中だ。

 そんな又吉先生の足元に及ばないが、芸人がしたためた著書が受賞作となることもまれにある。

「最近の話題は何といっても、髭男爵山田ルイ53世でしょう。『新潮45』(新潮社)で連載された『一発屋芸人列伝』が今、『第24回 編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』の作品賞を受賞しました。波田陽区キンタロー。コウメ太夫といった一発屋仲間を取り上げ、最終回髭男爵を書くという、芸人らしいラストになっています」(出版コーディネーター)

 加えてもう1人、『THE MANZAI 2012』で認定漫才50組に認定されたマシンガンズ・滝沢秀一は、Eブリスタ電子書籍大賞で双葉社賞(ホラーサスペンス部門)を受賞している。

芸人、賞ともにメジャーではありませんが、滝沢さんは東京成徳大学文学部化学科卒のインテリ芸人スマホ小説サイト投稿した『虐め』が、読者から高い評価を得て、この賞を獲得しました。のちに『かごめ かごめ』に題して、小説家デビューをはたしましたが、こちらの売り上げはイマイチ。でも、筆致についての評判は悪くありません」(前出・出版コーディネーター)

 芸人初の偉業となったのは、横溝正史ミステリ大賞を受賞した小説神様の裏の顔』。著者は藤崎で、元「セーフティ番頭」というコンビ芸人だ。しかし、受賞したときはすでに解散していたため、元芸人という肩書きだった。

 芸人の中には、書くという表現方法で運命を変えた者が少なくない。麒麟田村裕劇団ひとり品川庄司品川祐ヒロシ)。そして、ビートたけし3月いっぱいでオフィス北野から独立したたけしが、芸人映画監督として大成した次に狙うは、文芸賞受賞なのかもしれない。

北村ともこ

アサ芸プラス