昨日からお送りしている、話題のWEB発小説オーバーロード 1 不死者の王』丸山くがね/著、sobin/イラスト、エンターブレイン)の作者・丸山くがねさんへのインタビュー、最終回となる第3回目をお送りします。

■『オーバーロード』を通してダークな喜びを描きたい

―今回、単行本化に際してsobin(ソービン)さんのイラストが加わりましたが、いかがですか?

「素晴らしいですね、本当に。表紙を開いた、最初のカラーイラストで、もうこれは悪役の物語だなと思いますよ。誰でもビビります(笑)、悪の秘密結社のようにキャラクターが並んでいて。絵が加わると全然違いますよね」

―物語にも深みが出てきますね。

「そうですよね。むしろ、sobinさんのイラストだけでいいのではないかと(笑)。で、小説は30ページくらい」

いえいえ、ストーリーがあってこそ、ですから(笑)。また、主人公たちが潜んでいる地下大墳墓の階層図も載っているんですよね。これは好評のようですが。

「このイラストもいいですよね。悪の秘密結社のアジトみたいな感じで(笑)」

―丸山さんの読書歴についておうかがいしたいと思うのですが、影響を受けた本を3冊ほどご紹介いただけないでしょうか。

「敬称略で、まずは池波正太郎の『剣客商売』。これは素晴らしい“最強モノ”ですね。年齢はいっているけど、若い嫁さんがいて、お金も持っていて、悠々自適に暮らしていて美味いものも食べている。最高じゃないですか。そして強い、と。こういう見方をしていると、ファンの方々に怒られるかも知れませんが、そういう風に読んでいました(笑)。あとはミヒャエル・エンデの『果てしない物語』。これも素晴らしい作品ですね。そして、最後に先ほどもあげましたけど『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』ですね」

―いろいろな作品を読まれているんですね。

「ただ、この頃全然本を読めていないんです。社会人になってから読まなくなってしまって…。普通、逆だと思うんですけどね」

―物語のインスピレーションを湧かせるために、小説を読むことはないんですか?

「いや、むしろ読むとへこむんです(笑)。どうしてこの人はこんなに素晴らしい小説を書けるんだろう、と思って自分が痛くなってくるので、出来る限り情報は入れないようにしています。ただ、影響を受けなかったり、自分の執筆の手が止まったりしない限りは読みたいですね。人気のライトノベルも色々読みたいんですけど、へこんでしまいそうなので……」

―今後、『オーバーロード』を通してどのようなことを描きたいですか?

「暗い話になりますが、積み木を積み上げていってそれを壊すような、ダークな喜びを描きたいと思っています(笑)。また、通常のライトノベルや、善側の主人公の視点で進む物語はもうお腹いっぱいという方にお勧めできるような悪役の主人公の作品が書きたいです」

―第一巻ではまだモモンガに人間らしい一面といいますか、優しさみたいなものが見えていますけど、今後どうモモンガが悪になっていくのか期待しています。

「これから少しずつ化けの皮が剥がれていって、エグくなっていく予定なので(笑)。読者の皆さんには逃げないで欲しいなと思っています」

―では、読者の皆様にメッセージをお願いします。

「この『オーバーロード』はどちらかといえば悪側が主人公のライトノベルなので、善側の主人公に飽きてきたなとか、変わったものが読みたいと思っている方に読んで欲しいですね。きっと合うと思いますよ」

―ありがとうございました。

■取材後記
途中出て来たTRPGの話では非常に熱く語っていただいたのですが、TRPGの面白さに「マスターとプレイヤーで世界を創れること」をあげていらっしゃった丸山さん。そうした自分で創りだす楽しさを知っていたのも、『オーバーロード』という小説が生まれた背景の一つのように思います。
これから主人公はどのようにエグくなっていくのか、自分の最強の力をどう使っていくのか、ウェブ版をすでに読まれている方もそうでない方も期待です。第二巻は今冬出版予定だそうです。
(ラノコミどっとこむ編集部/金井)

『オーバーロード』作者・丸山くがねさんインタビュー(3)