(C)Universal Pictures 

7月13日より『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開されます。

本作は2015年に公開された『ジュラシック・ワールド』の続編で、1993年の第1作『ジュラシック・パーク』から数えれば5作目に当たります。監督は前作のコリン・トレボロウから、『インポッシブル』などのJ・A・バヨナにバトンタッチしており、その恐怖描写やスペクタクルシーン、後半の舞台などにバヨナ監督の作家性を強く感じられる内容になっていました。

ここでは、バヨナ監督へのインタビューをお届けします。大きなネタバレはありませんが、少しだけ内容に触れているところがあるので、予備知識なく観たいという方はご注意ください。

写真:奥野和彦 

1:シリーズNo. 1の怖さになった理由とは? 『ジュラシック・パーク』へのオマージュはこれだ!

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──今回の怖さはシリーズ最高であると感じました。世界観に監督の前作『怪物はささやく』を彷彿とさせるところもありましたが、やはり意識されていていたのでしょうか。

コリン・トレボロウとプロデューサーたちは、本作の“第2章”に当たるサスペンスパートが、恐怖に敏感な私に適していると言っていました。私は本作をできるだけ良い作品にしたいということを第一に考えていたのですが、同時に観客の心に残るもの、もっとも強調されるのが恐怖であって欲しいとも願っていました。なぜなら、それは私が1作目の『ジュラシック・パーク』を観て感じたことだからです。

──原点回帰的な内容であり、クレアブライス・ダラス・ハワード)の「初めて恐竜を見たときのことを覚えている?」といったセリフなどにも『ジュラシック・パーク』へのオマージュを感じられる内容になっていました。監督もやはり1作目を意識されていたのでしょうか。

もちろん1作目に対してオマージュは捧げていますし、原点回帰的な内容にもなっていると思います。1作目を観た方は、恐竜を初めて見たときの感動を覚えているわけですよね。それを瞬間的に、すぐに思い出せるようにしたいと考えました。また、“1作目と似たシチュエーションでも別のものを映している”いうことも意識していますね。例えば車とT-レックスが同時に映るシーンが1作目にありますが、今回はその1作目と似たシーンであっても主人公のオーウェン(クリス・プラット)のほうを映しています。そうすることで「あの時から世界は変わった」ということと、「自分たちの問題になったんだ」という印象を与えたかったんです。

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──『永遠のこどもたち』を初めとした監督の一連の作品では“死の悲しみ”というものが描かれており、今回の映画でも共通していると感じました。

いえいえ、物語は全て脚本に書かれていることなので、それが私の本質的な作家性ということではないとは思います。私が考えているのは、脚本を受け取ってから、その物語をどう効果的にスクリーンに映すかということなんです。私の作家性というのは、むしろ“第2章”の不気味な館でという舞台、まるで“お城とお姫様と怪物のおとぎ話”のような雰囲気だと思います。脚本を読んだ時はオリジナリティを感じて、洗練された詩のような印象も受けましたね。

──人気シリーズの最新作を手がけられるということで、プレッシャーもあったと思います。そのプレッシャーに打ち勝つ為の秘訣のようなものはありましたか。

世界中で人気のある大作映画の続編ですから、もちろんプレッシャーはありました。私はその全てを自分でコントロールするのではなく、自分の持っている能力や知識をできるだけ捧げようと決意したことで、なんとか乗り切れたのだと思います。

2:あのキャラクターが再登場した理由とは? 子供の視点も重要だった!

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──アニマトロニクスを使った恐竜の特撮も印象的でした。

アニマトロニクスは、セットの中に実物があり、俳優がそれに触れることで、インタラクティブな演出ができ、その演技もリアルになるという長所があります。ただアニマトロニクスの動きには制限がありますので、CGも併用しています。尻尾などの一部だけをCGにするなどの工夫をして、違和感がないように調整していますね。

──主演のクリス・プラットとの仕事はいかがでしたか?

すごく楽しかったですね。彼はひょうきんでありながら、とても頭の良い人でもあるんです。いろいろな意見交換もしましたし、彼のアイデアが今回の映画にたくさん入っています。アドリブが上手いこともあって、私たちスタッフは「自由にやってくれ」と彼に接していたこともありましたね。

──クリス・プラットが脚本を読む前に、トム・ホランドからネタバレをされたということがニュースになっていましたね。

それはマスコミから聞いて初めて知って、後でトム・ホランドを呼んでちょっと喧嘩をしました(笑)。ちゃんと叱らないといけないですよね。

──監督の作品の常連であるジェラディンチャップリンが今回も出演されていました。彼女の起用理由を教えてください。

今回は彼女に完璧に合う、家政婦という役があったことが大きかったですね。彼女には最高の役をやって欲しいといつも思っていましたし、今回もその才能を最大限に発揮できていました。

──監督のこれまでの作品と同様、今回も子供の視点を取り入れていますね。

私が子供の視点を良く取り入れているのは、それが心地よいと感じているからなんだと思います。ただ、子供たちと仕事をするのは忍耐も必要ですけどね。演じるキャラを把握してもらうだけでなくて、映画作りのプロセスそのものもわかってもらわないといけないわけですから。大変ではありますけど、私の中ではいつも満足のいく形で終わるので、子供と仕事をするのは好きです。

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──子役のリアルな演技には、『誰も知らない』や『万引き家族』の是枝裕和監督を思い出させました。是枝監督の作品をご覧になったことはありますか?

私は是枝監督のファンで、ずっと前から作品を観ています。まだ『万引き家族』は観ていないので、楽しみにしています。
(このインタビュー後、来日中に『万引き家族』も鑑賞しました→ツイート

──『ジュラシック・パーク』と『ロストワールドジュラシック・パーク』で活躍したイアンマルコム博士(ジェフゴールドブラム)が久しぶりに再登場していましたね。彼の起用理由を教えてください。

私が決めたわけではなく脚本の段階ですでにマルコム博士の名前はあったのですが、『ジュラシック・ワールド』のトリロジー(3部作)の2作目 であり、“結び目”に当たる物語であることが、彼の再登場につながったのだと思います。「これからどうなっていくか」「どう解決するか」という要素がもっとも複雑に描かれるのは3部作においては2作目です。私はマルコム博士は“超えてはならない一線”を把握している人で、そのセリフは“良心の声”そのものだと思います。彼が出てくるシーンは、すごく面白くなっていますよ。

──最後に、監督が一番好きな恐竜を教えてください。

それはもうT-レックスですよ。力強さはもちろんですが、もっとも恐怖を感じるのもT-レックスであるからです。その恐怖は、自然に反して蘇らせてしまったということも反映していると思いますね。

まとめ

ジュラシック・ワールド/炎の王国』は最初から最後までハラハラドキドキ、ジェットコースターに乗ったかのように楽しめるエンターテインメントであることはもちろん、恐怖描写や生命倫理への言及などに原点回帰的なリスペクトがありました。1作目『ジュラシック・パーク』に感動していたオトナもきっと驚くことができ、童心に返ったような感動があることでしょう。

今回の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』と合わせて、『ジュラシック・パーク』を観返してみるのも良いでしょう。J・A・バヨナ監督の過去作『永遠のこどもたち』『インポッシブル』『怪物はささやく』を観れば、その作家性が存分に表れていることもわかりますよ。

(取材・文:ヒナタカ)