海外では影の薄い日本のスマートフォンメーカー。しかし、スマホ産業は日本企業がなければ成り立たないといっても過言ではない。多くのスマホには日本企業の部品が使われているからだ。中国メディアの快資訊は11日、そうしたスマホ部品メーカーの1つである村田製作所の影響力がいかに大きいかを伝える記事を掲載した。

 村田製作所については、セラミックコンデンサーの全製品を値上げするとメディアが報じたばかりだ。値上げはITバブル期の2000年以来、18年ぶりになる。記事はこの小さな部品について、いまや電子機器に欠かせないものとなっており、スマホでは多いと1000個、自動車では1万個も使われていると紹介した。

 この世界中の電子機器に使われている部品の値上げには、スマートフォンの高機能化に加え、車の電子化、次世代通信規格「5G」設備で需給がひっ迫している事情があるようで、実際、中国の通信企業も巨額の投資を行っている。村田製作所は、先月にも福井県の生産子会社で積層セラミックコンデンサー(MLCC)を製造する新棟を建設すると発表しており、値上げの背景にはこうした理由もあるのだろう。

 そのうえで記事は、日本企業の最もすごいところは、電子機器の基盤部品において強い影響力を持っていることだと感心している。実際、アップルをはじめ、中国の華為やZTEも村田製作所のセラミックコンデンサーを使用しているという。記事によると、同社は世界市場の半分以上のシェアを占めていて、残りのシェアも日本企業ばかりのため、今回の村田製作所の決断した値上げで世界のスマホの価格も上がる可能性が高いと論じた。今後は、スマホに限らず、ハイエンド機器の価格も大きく上がるに違いないとしている。

 記事は、電子機器などの価格が上がることを心配すると同時に、日本企業がたゆまない研究開発により基幹技術を持っていることを感心しているようだ。中国にはいまだに日本製品ボイコットが愛国精神の表れだと信じている人も少なくないが、スマホの中身を見ると多くの日本製の部品が使用されている。この一件を見ても、日本製品ボイコットがいかに無意味なことかがよく分かるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

スマホ産業は「日本企業がなければ成り立たない」といっても過言ではなかった=中国