うだるような夏の暑さを吹き飛ばすために、気分爽快!などと書かれたタブレットやガムを口にする人も多いでしょう。爽やかな刺激は受験勉強中の眠気覚ましや気分転換にも役立ちます。ところでこの爽やかさの源になっている物質がどのようなもので、どんな風に誕生したか知っていますか?

真夏でも気分を爽やかにしてくれる物質の正体

この爽やかな刺激を生み出す物質の正体は「メントール」。ひんやりとした感覚を与えてくれるメントールですが、実際に体温が下がっているわけではありません。皮膚の中に存在する冷感受容体(冷たさを感じる神経細胞)にメントールが作用することでひんやりとした感覚が得られるのです。この爽やかな刺激を呼ぶメントールお菓子・清涼飲料水はもちろん、歯磨き粉・芳香剤・シャンプーや入浴剤にも配合されています。
このメントールはどのようにして生み出されたのでしょうか?

気分爽快をもたらすメントールはどこから作られている?

メントールには天然と合成のものがあります。このうち天然のメントールはハッカ(薄荷)草という植物から抽出され、香りに独特の柔らかさ・深さを持っています。日本国内では北海道の北見地方で多く栽培されています。ハッカ草は5月に地下茎からいっせいに芽吹き、成長がピークに達する9月に収穫します。

ハッカ草からメントールを抽出する際には、まず乾燥したハッカの葉を水蒸気蒸留法(蒸気を使用して目的成分を抽出する方法)で精油を抽出します。さらにこの精油を冷やした際に現れる無色透明な結晶が「ハッカ脳」です。ハッカ脳はほぼ100%メントール成分です。しかしハッカ草から水蒸気蒸留法・結晶を精製してハッカ脳を作る方法は時間・コストがかかります。
このことから、天然のハッカは供給や価格が不安定というデメリットがあります。そこで登場したのが合成ハッカです。

メントールが身近になったのは合成化学のおかげ

合成ハッカは化学反応を利用して人工的に作られたハッカのこと。最初に作られたのは旧西ドイツで、その後日本でも工場が建設されて製造されるようになり価格も安定するようになりました。現在流通しているハッカを利用した製品のほとんどが、合成ハッカを使用しています。

メントールだけを製造する目的で作られる合成ハッカは、

・シトロネラ草に含まれるシトロネラー
・ハッカ油に含まれているメントン
・ユーカリ油に含まれるピぺリトン
といった成分が原料になっています。

また合成メントールは、ノーベル化学賞を受賞した野依良治教授が完成させた「不斉合成法(バイナップ)」によっても作られています。

このように、私たちがメントールの配合された菓子やいろいろなケア用品などを身近に感じるのは、合成化学の発展の賜物ともいえるでしょう。このように植物などに含まれる成分を抽出する際には有機化学や分析化学が、合成メントールには合成化学が応用されています。興味がある人は化学分野の見識を深めてはいかがでしょうか?

【出典】
鈴木薄荷株式会社
http://www.suzuki-menthol.com/
高砂香料工業株式会社
http://www.takasago.com/ja/index.html
長岡実業株式会社
http://www.nagaoka-mint.co.jp/mint/menthol.html
株式会社北見ハッカ通商
http://www.hakka.be/knowledge/component.html