7月13日(金)に放送される「LIFE!~人生に捧げるコント~」(夜10:00-10:45、NHK総合)。放送開始から6年を迎える同番組は、主に内村宏幸、平松政俊、倉持裕、あないかずひさの4人の脚本家コントを執筆している。

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さまざまなキャラクターたちと、新しい感覚の笑いを提供している脚本家たちは、どのようにネタを作り出しているのか。

今回は演出・脚本・劇作家の倉持裕にインタビューを行い、コント作りで意識していることや、「LIFE!」の魅力などを聞いた。

■ せりふにあんまり頼らないようにしたいなということを意識しています

――「LIFE!」での代表作を教えてください。

宇宙人総理」、「カッツアイ」、「無敵の男」シリーズですかね。初期のものが多いです。

最近は舞台などが立て込んでいて、「LIFE!」に参加できなかったりもしたので、本当にじくじたる思いがあります…。

――倉持さんはコメディーテイストの舞台の脚本も書いていらっしゃいますが、コントと舞台の違いはどういう点だと思いますか?

これは僕も「LIFE!」に参加させていただいてから勉強したことなんですが、コントの場合は長くても5分間の尺に収めないといけないので、導入がとても早いということですね。

冒頭の1~2秒で関係性や起こっている出来事を説明しないといけないので、2時間くらいの尺がある舞台のようなスピード感とは違います

――「無敵の男」など、動きのあるコントを書くことも多いんでしょうか?

コントに限らず、せりふにあんまり頼らないようにしたいなということを意識しています。単に激しい動きをするということではなく、なるべく動きで笑わせるようにしたいんです。

言葉の面白さで笑わせるのは、意外と簡単なことなんじゃないかという気がするんですよね。それに、作家の力が大きくなってしまうと思うんです。だから、ト書き(せりふ以外の指示)や動きで見せていくことを考える方が、高度でやりがいがあるなと思います。

宇宙人総理」や「無敵の男」は、ほぼ1シチュエーションですし、舞台でもやりようがあると思うんですが、普段僕は舞台の仕事をすることが多いので、「LIFE!」では、映像の強みを使っていきたいなとはずっと考えています。

関係のないように見えるいくつかのシチュエーションを編集でつないで笑わせるような、映像でしかできない表現をしていきたいんです。

――7月13日に放送された広末涼子さんの出演コント「優しき二人」も倉持さんが脚本を担当されたそうですね。あのコントは、今おっしゃっていたような映像の“強み”を使ったコントに見えました。

そうですね。「優しき二人」はそういう部分を意識して作りました。

オンエアーで完成形が見える、ああいうネタも楽しいなと思いますよ。ただ一方で、収録を見ていると、1シチュエーションで一気に撮っていく方が現場で笑いも起きるし、演者もノってくるので、全体のテンションが上がると感じたんですよね。映像をつなげてから、笑いが起きるコントだと、その場では笑いが起こらないのでもどかしいですね。

――「優しき二人」は、どのように作っていったんですか?

あれはまず、老夫婦を内村さんと池谷のぶえさんがやったら面白いなと会議で話していて、そこありきのコントでした。

以前僕が書いた長澤まさみさん出演の「長寿の家系」というコントで、内村さんと池谷さんが演じた老夫婦が抜群に面白かったので、またあの二人でそういうことがやりたかったんです。

あとは、山にある工房の中で、そこにそぐわないようなものを作っている職人がいたら面白いなと思ったのもあります。そういうありえないシチュエーション作ってみたくて。

僕は夫婦のコントをよく書くので、得意技として出したっていう感じもありましたね。

――「LIFE!」に携わっている4人の脚本家の方々の中でも、ご自身が得意だと思うコントの傾向などはあるんでしょうか?

僕と内村さんが夫婦を書くことが多いんじゃないですかね。あないくんと平松さんは恋人同士が多いような気がします。

僕としては、番組名が「LIFE!~人生に捧げるコント~」なので、やっぱり人生を感じさせるネタを書きたいなと意識しているんです。何でも結びつくとは思うんですけど、“人生”を意識した時に、夫婦のシチュエーションは浮かびやすいですね。あとは冠婚葬祭とか、人生で大体の人に起こることをネタにしていきたいなと思っています。

ただ、例えば家庭劇のようなネタを書く場合、やっぱり自分が育った家庭環境がベースになるので、すると世代的にちょっと古くなっちゃっているかなという不安もあって、若者にこびたネタを書く必要はないとはいえ、自分の年齢とともにネタが古くなっていっちゃうと良くないですよね。

時事ネタも書きつつ、普遍的なネタも書いていくべきかなと思います。

■ 発想の大本となるネタを一週間に3個出すって、神技だと思いますよ

――「LIFE!」のネタを決める会議は、総合演出の西川毅さんを含めて脚本家の皆さんで週に1回ほど行っているそうですね。正直、ネタを毎週出すということは大変ではないんですか?

僕は「LIFE!」の作家の内村さん、平松さん、あないくんを尊敬しますね。彼らはこの番組だけではなく、他でもネタを出していたりするんですよ。僕みたいに「舞台があるから」って言って休んだりもしないし、本当に毎週、最低でも3個はネタを出しているから尊敬しますし、悔しくて仕方がないです。発想の大本となるネタを一週間に3個出すって、神技だと思いますよ。

2時間の舞台を作ることになったら、1個の発想さえあれば書いていくことはそんなに苦しい作業じゃないんです。だから、その着想を得ることに何カ月もかけていくことがあるんですけど、コントの世界ではその1番苦しい“着想を得る”という部分を、毎週たくさん出すんですよね。僕はなかなか思いつかなくて、他の作家の方々に必死で食らいついています。

ネタ帳を持って、思いついたら書くようにはしています。

――「書こう」と決めて書くことはしないんですね。

一日に思いつくことって決まっていて、「書こう!」と決めて丸一日費やして何かを考えても、大した個数は出てこないと思うんです。

だから、毎日常に何かを面白い目線で見るようにするようにしています。面白いことが起きたり、面白い話が聞けたりするなんてそうそうあることではないので、真面目な出来事を面白く変換できる目線を持って生きていかないと無理かなと思っています。

例えば、夜中に住宅街を歩いているときに「やったー! パチパチパチ」って家族の笑い声が聞こえてきたとしたら、そこで何が起きたんだろうと考えるんです。サッカーの試合を見ていて点が入ったとかだったら面白くないし、じゃあどうだったら面白いかなとか。その場では面白いことが思いつかないので、ちょっと「一軒家から歓声」っていうメモをしておいて、家でいろいろ考えてみるっていう作り方をしています。

――先ほど代表作として挙げていた「カッツ・アイ」や「宇宙人総理」はどのように作っていったんですか?

「カッツ・アイ」は、西田(尚美)さん、臼田(あさ美)さん、石橋(杏奈)さんの3人でやるネタを考えていたんです。それで、3人の女性といえば、「キャッツ・アイ」が浮かんできて、もじったら「カッツ・アイ」になり、あ、割愛って使えるかもと思ったのがきっかけです。

それで、あのなんでも大事なところを割愛してしまう3人になりました。あとは、個人的に女優さんにレオタードを着てほしいなと思った部分もあります(笑)

衣装合わせのときに、皆さんちょっと抵抗はあったみたいなんですけど、着てほしかったので、僕と西川さんで何とか説得しました(笑)。まぁ本当にきれいだったので本心でもあるんですけど、その時は全力でほめました。

それだけ無理言ってやってもらったことが、うまくいったということがうれしかったですね。3人も、自信を持ってだんだん恥ずかしがらなくなってきて、堂々としてましたよ。

宇宙人総理」は、みんなでとにかく“キャラ”を作ろうということを話し合って生まれました。国会中継で、野党がくだらない質問を投げかけてそれを大人たちが真面目に議論している様子をやっていたら面白いなと思ったことから考えていきましたね。

僕は、いまだにキャラの作り方が分かっていないので、最近はキャラのネタはあまり担当していないんです。

――ボツになったネタの中で、印象的なものを教えていただけないでしょうか?

覚えているもの…いっぱいありますけどね。映画から発想したネタでボツになったものがいくつかありますね。映画「シンプルプラン」(1998年)から発想した、1億円を拾った夫婦の話とかもありました。あとは、飛行機の羽の上でくつろいでいる、空飛ぶ一家というものもあって、それは「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983年)から。でもジャンボジェットの羽を作ったりしてセットにお金がかかるからっていうことでボツになりましたね。

――最後に、「LIFE!」の魅力を教えてください。

これだけ丁寧に真正面からコントを作っている番組って、今では他にはないと思うので、貴重ですよね。

芸人と俳優がどちらに偏ることもなく、バランスがいいなと感じます。ネタも芝居だけに偏ることはなく、かといってアドリブの応酬になるような即興コントにもなっていないので。6年もやっているから、そこがいい塩梅になってきているんだろうなと思います。

それに番組の特色を決めずに、果敢に挑戦していることもすごいなと思います。視聴者を作り手が選ぶようなことをせずに、間口が広いということも魅力ではないでしょうか。(ザテレビジョン

「LIFE!」で脚本を担当している倉持裕