結婚相談所や婚活アプリなどの身上書で結婚相手を選ぶ時に、まず“見た目”と“年齢”は、男女問わずに皆さんチェックしますよね。さらに、女性が男性を選ぶ時には、“収入”も大事な懸案事項になるでしょう。ですが、一緒に生活をするとなったら、一番大切なのはお人柄。男性も女性も、ささいなことで怒らない、おおらかな人がよいですね。

相談所からの推薦文は「おおらかで誠実な男性」

「今日の西山さん(41歳、仮名)は、お断りでお願いします」

 お見合いを終えたばかりの石原萌子さん(38歳、仮名)から、連絡が入りました。あまりにも早いお断りだったので、メールを読んだすぐ後に私から電話を入れて、何があったのかを聞きました。萌子さんは、言いました。

「相談所の推薦文には、『おおらかで誠実な男性』って書いてありましたよね。それが全然違っていました。『ああ、こんなささいなことでキレるのか』って。でも、それがお見合いで分かってよかったです」

 というのも、こんなことがあったようです。

 お見合いしたのは、都内の某ホテル。そこのホテルは1階と2階にカフェがあるのですが、1階のカフェには、入る順番待ちをしている人たちが行列をなしていました。そこで、2階のカフェに行くことに。

 エレベーターが来たので、まずは萌子さんと西山さんが乗り込みました。すると、女性2人が後から乗り込んで来ました。2階でドアが開くと、後から乗り込んだドア側の女性たちが降り、カフェに向かいました。その後に萌子さんたちも続きました。

「2階のカフェは、その女性2人でちょうど満席になってしまったんです。そしたら西山さんが、『自分たちの方が先にエレベーターを待っていたのに、何で後から来た2人が先に店に入って、自分たちが待たされるのか。それはおかしいだろう』と、店員さんにクレームをつけたんです」

 エレベーターにどんな順番で乗ったかなんて、店員さんは知るはずもなく、先に来たお客様を店に通しただけ。ですが、西山さんの剣幕に、「申し訳ございません」と平謝りだったそうです。そんなやり取りの中、1組のお客さんが会計を済ませて出て行ったので、萌子さんたちも席に案内されました。

「そしたら、着席してからもプリプリ怒っていて、お水を持って来たウエイトレスさんにも、『俺はこういう筋の通らないことは大っ嫌いなんだ』って、クレームをつけているんですよ。一緒にいる私が恥ずかしくなりました。一刻も早くお見合いを切り上げて帰ることばかり考えてしまいました」

 相談所の推薦文とは、全く真逆の男性が来たと思ったそうです。

間違いに腹を立てるか、許せるかで分かる人間性

 かつて成婚退会した女性が、旦那様になった男性についてこんなことを言っていました。

お見合いの時に、彼はアイスコーヒーを頼んだのにホットコーヒーが来たんです。コーヒーが置かれた時、『あれ? アイスコーヒー頼んだんだけど。あ、でもいいです、いいです。ホットも同じコーヒーだし』と言って、『申し訳ありません』と下げようとしていた店員さんから、ホットコーヒーを笑顔で受け取ったんですよ。それを見た時、『あ、この人、素敵』って思いました」

 人が何か間違えた時に、「筋が通らないことは大嫌いなんだ」と怒るか、「あ、いいですよ」と許せるかどうかで、その方のお人柄や懐の深さが透けて見えますよね。

「目印がないから分からなかったじゃないですか」

 また、こんな男性もいました。

 お見合いの時、仲人がお引き合わせに立ち会えない場合は、お互いが分かるように何か目印を決めておくことがあります。

 その日、私の女性会員、秋山敬子さん(33歳、仮名)の目印は「ピンクのハンカチと携帯を右手に持つ」、男性の大木さん(38歳、仮名)は「ブルーのネクタイにブルーのポケットチーフ」でした。

 敬子さんは電車が遅れ、お見合い時間のギリギリにホテルのティールームに着きました。ブルーのネクタイにブルーのポケットチーフの男性を見つけたので、近寄っていくと、彼の方から離れていったそうです。

 私に電話をかけてきて、「今、ティールームの入り口にいるんですけど、お会いできません。青いネクタイとポケットチーフの男性がいるんですけど」。そこまで言うと、「あ、私が目印を出していなかったからだ」と言って、電話を切りました。そして、携帯とピンクのハンカチを右手に持ち、先ほどの男性のところに歩み寄っていったそうです。

 すると、男性が言いました。

「やっぱりあなたですか。でも、目印がなかったから違うだろうなと。それが約束だったので、守ってもらわないと困りますよ」

 そして、ティールームに入り、着席をしたのですが、それからも10分くらい、「目印がないので、分からなかった」という話を何度もされたそうです。

 お見合いを終えて、「お断り」を入れてきた敬子さんが言いました。

「こちらが『目印を忘れてしまってすみません』と謝ったのに、何度も蒸し返されて。こんな男性と結婚したら、何か間違ったことをした時に、延々責め立てられると思って、ぞっとしましたよ」

“怒り”の正当化は正しい? 怒る人の心理とは

 以前、女性国会議員が車の中で、秘書の男性を怒鳴りつけている音声がネットやテレビで流されました。その中に、「こうやって私を怒鳴らせて、こう喉(のど)を枯れさせて、声が出なくならせて~」という言葉がありました。

 怒る人、キレやすい人の論理は、まさにこれ。「あなたが私を怒らせている」。つまり、「自分は怒って当然だ」と怒りを正当化させる。しかし、怒りの感情をぶつけられて「ああ、私がこの人をこんなに怒らせて悪かった」と、心から反省する人はまずいません。

 怒りの感情をぶつけられると、人は怖くて萎縮するか、もしくは同じ怒りの感情が湧き上がるかのどちらかです。恋人や夫婦の場合は、売り言葉に買い言葉で、大げんかが勃発したりします。

 お相手を選ぶ時には、見た目、年齢、収入のジャッジも大切ですが、長い結婚生活を考えたら、「怒らない人」「おおらかな人」を選ぶことが、とても大切だと思うのです。

仲人・ライター 鎌田れい

結婚するなら、ささいなことで怒らない人と?