知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」(タスクフォース)の第4回会合が7月25日東京都内で開かれた。村井純座長(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長)が「みんなの知恵をあわせて、どういうことができるのか、早く効果が出ることも含めて考えていく必要がある」とあらためて強調した。

海賊版サイトをめぐっては、政府が4月、「漫画村」など特に悪質な3サイトを名指ししたうえで、法制度の整備までの緊急措置として、民間の事業者(プロバイダ)が自主的にブロッキングアクセス遮断)することが適当だとする決定をおこなった。

しかし、法律家や学者、プロバイダ業者などから、ブロッキングは憲法で定められた「通信の秘密」や「表現の自由」を侵害するという批判があがっていた。このタスクフォースでも、大きな争点となり、前回(第3回会合)では、ブロッキング反対派が「緊急措置をすべきでないと決議すべき」と意見すると、「海賊版対策を邪魔してる」という反論があがり、議論が紛糾していた。

●福井委員「緊急措置という苦しい判断を今後しなくてすむように・・・」

こうした状況の中で、対立をおさえて議論を前にすすめようという動きがある。

福井健策委員(弁護士)はこの日の会合で「あのような緊急措置という苦しい判断を今後しなくてすむように、われわれは今、実効的な対策案を話し合っている。被害の実態把握、アクセス遮断を含む諸外国のさまざまな法制度・対策・効果・コスト・評価などの客観情報をあつめて、検証をいそぐべき段階ではないか。海賊版サイトが現実的に減ることが、現在の対立の最大の解消策だ」と話した。

また、瀬尾太一委員(日本写真著作権協会常務理事)は「今われわれが法的な論点を考えるためには、いかにほかの手段を講じて、数多く出せるかだ。それが逆説的であるが、ブロッキングを一番遠ざける方法になる。データベースと組織論をきちんと整備することで、法制度化の不完全な部分も補完されるような気がする」と述べた。

これらの発言を受けて、村井座長は「問題を解決するのに、緊急だという意見はよくわかる。ブロッキングそれなりに効果があると思うが、フィルタリングも効果がある。それぞれの状況も理解したうえで、環境整備はどうやったらできるのか。みんなの知恵をあわせて、どういうことができるのか、効果が早く出ることも含めて考えていく必要がある」とまとめた。

●川上委員「ブロッキングに関しては慎重派だ」

これまで海賊版サイト対策についてブロッキングの有効性を説き、ブロッキングに反対する委員に「海賊版対策を邪魔してる」と言い放った川上量生委員(カドカワ社長)の口からは、「(自分は)ブロッキングに関しては慎重派だ」という言葉まで飛び出す場面があり、一部で笑いが起きた。

「ブロッキングは、要件を厳しくすべきであるという意見があった。『賛成である』と言いたい。ブロッキングに賛成なのは『私だけだ』というレッテルを貼られているが、ブロッキングに関しては慎重派だ。(これまでも)ブロッキングは最後の方法だと言っている。今日も、見出しで煽られる、弁護士ドットコムだと思うが、報道を配慮していただければと思う」(川上委員)

弁護士ドットコムニュースは前回の会合の様子を次のように報じていた(『川上氏「海賊版対策を邪魔している」「無責任だ」、森弁護士や村井教授に噛み付く』https://www.bengo4.com/internet/n_8228/)。関係者によると、次回は、政府の緊急措置などについて、あらためて議論する時間をとる予定という。

弁護士ドットコムニュース

海賊版サイト対策…福井弁護士「苦しい判断しなくてすむように」、対立解消訴え