全国屈指の進学校である駒場東邦高校。中高一貫校であることから、アーチェリー部では中学生と高校生が同じ環境で練習を行うのが伝統です。その中でも松田光太郎君(2年)は、中学時代に「全日本室内アーチェリー選手権」で優勝した実績のあるチームのエース。そんな松田選手に、日々の練習内容や夏のインターハイに懸ける想いを語っていただきました。
練習では大会のように、大会では練習のように
――練習がある平日のスケジュールを教えてください。
月曜日から金曜日は練習があって、帰るのは18時頃ですね。学校の練習場では30mしか距離が取れないので、土曜日は70m(*)の大会のために板橋区の外部射場へ1日練習に行きます。日曜日は東京都の大会やシニアの大会にも出場するので、8~9割ほどは大会で埋まりますね。
*アーチェリーにはさまざまな競技形態(距離など)があるが、インターハイは70mで行われる。
――普段のトレーニングや練習で、意識的に行っていることはありますか?
自分は部の幹部でもあるので、平日はほとんど後輩たちへの指導が中心です。そのため、自分の練習がほとんどできないので、1本1本集中するようにしています。逆に土曜日は自分の練習に専念できるので、たくさん量を打っています。
また、練習では大会のように打ち、大会では練習のように打つことで、メンタルが崩れないように意識しています。毎回同じ打ち方をすれば同じところに飛んでいくので、より再現性を高めることが重要です。
先輩が後輩を指導するのが“駒東スタイル”
――チームやご自身の強み、ここは他校に負けない!という部分があれば教えてください。
学校にコーチがいないので、先輩から後輩に、または同輩同士で教え合っていることです。それが団結力やチーム力につながっており、お互いの信頼関係は高いと思います。
自分自身の強みは、強い相手でも「絶対に勝てる」という気持ちで試合に臨めること。他の競技よりメンタルの影響が出やすいのがアーチェリーの特徴なので、メンタル部分に関する知識も勉強しています。今着ている青いシャツも、心が落ち着く作用があるということで意図的に着用しています。
――監督や仲間などからかけてもらって印象に残っている言葉はありますか?
中学1年生の時に、「アーチェリーが楽しい」ということを教えてもらったのは大きかったですね。的の真ん中が黄色なのですが、「黄色に当たると楽しいよね」と、4学年上の幹部の方に言われたことが強く印象に残っています。サッカーのように体育の授業で経験するスポーツではないので、本当に基礎の基礎から教えていただきました。
インターハイでは戸松さんの3連覇を阻止したい
――目標としている選手は誰ですか?
昨年までインターハイを2連覇している、戸松大輔さん(愛知産業大学三河高校3年)という1学年上の方です。高校生ながら日本代表にも選ばれていて、海外遠征でメダルも取ってきている。常に上を目指されているところがすごいと思います。
また、競技面ではミスが少ないところ。僕はしょっちゅう(10点満点で)8点を連発してしまうのですが、戸松さんは8点に打ってしまったとしても、その次には10点に修正してくるんです。
――高校卒業後の目標を教えてください。
まずは、アーチェリー部のある大学に進学すること。大学ではインカレ優勝などしてみたいですが、それ以上に駒東(駒場東邦)の指導をしてみたい気持ちもあります。アーチェリーにはプロリーグがなく、アーチェリーで生活していくつもりはありません。オリンピックも、正直に言えば狙っていないというのが本音です。
――インターハイへの意気込みを教えてください。
自分は個人戦に出場するのですが、去年は個人でなかなか結果を残せませんでした(団体戦はインターハイ5位)。ですから、今年は優勝を狙っていきたいです。3月の全国選抜大会で部を引退するつもりなので、インターハイは今回が最後になります。ぜひ、戸松さんの3連覇を阻止したいですね。
競技に対する持論を明確に話してくれた松田君。コーチに頼らずとも全国大会で結果を残し続けているのは、こうした知恵と努力があるからなのでしょう。インターハイのアーチェリー種目は8月2日からスタート。中学以来となる全国制覇を狙う松田君に注目です。
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