自分の死後、遺族や同僚など、他人に絶対見られたくない物といえば何だろう? ひと昔前なら、手帳や日記帳。そして現代では、パソコンとケータイという声が多そうだ。

個人情報の宝庫ともいえるパソコンとケータイ。スケジュールや日記、お金の管理などの生活情報に加え、秘密のフォルダーに入れた動画や画像、知られたくないメールのやり取りやネットショッピングの履歴など、“恥ずかしい”情報もたくさん記録されているはずだ。

自分が突然死を迎えたとき、パソコンやケータイに残された情報をどうするかは、常にネット上では語られている問題。具体的には、どうしている人が多いのだろう。「死とインターネット」をテーマにニュースサイトで記事を執筆しているライターの古田雄介氏が、自分の死後、パソコンのHDD内を必要以上に詮索されない方法を教えてくれた。

「まず、だまし方として、例えば、デスクトップ画面の見えやすいところに、『遺言』のような形で、『会社の取引先関係のデータはこのフォルダにある』とか、『家族との思い出はすべてこっちのフォルダにある』というように、こちらから指示を出しておけばいいんです」

万が一に備えて、常にパソコンに「自分が死んだ場合は、ココを見てくれ」とメッセージを残しておけば、それ以上の詮索は避けられそうだ。古田氏が続ける。

「でも、今はもっと便利なソフトがあって……。『僕が死んだら…』というのと、『死後の世界』というソフトです。これは、事前に指定しておいたファイルやフォルダを削除してくれるんです」

ファイル削除ソフト『僕が死んだら…』をインストールすると、デスクトップ画面にアイコン(文字は「遺言」などに変更可能)が現れる。このアイコンを誰かがクリックすると、指定しておいたファイルやフォルダがHDDから削除され、同時にワードファイルなどで作った「遺言」が表示される仕組みになっている。

「僕もこのソフトを使ってますが、自分で間違ってアイコンをクリックすることはないですね。でも、ほかの人が見たときに『ん、なんだ、コレ?』と思わせなければ意味がありません。だから、デスクトップ上がアイコンだらけの人はダメです。『僕が死んだら…』のアイコンが埋もれてしまわないように。デスクトップはキレイにしておきましょう」(古田氏)

では、ケータイの対策にはどのようなものがあるか。ケータイジャーナリストの石川温氏は、パスワードロックに“ある設定”をしておくことが基本だという。

「多くのスマホのパスワードロックは、10回間違えたら全データを削除するように設定することが可能です。全データ削除とは、工場出荷時の状態に戻るということですから思い出の画像も、いかがわしい画像も、全部消去してくれます。この設定をしていない人はすぐにでもやっておきましょう!!」(石川氏)

いまや、フェイスブックにも『亡くなられた方のプロフィールを報告』というページがある時代。もしものときに備え、生命保険だけでなく、データにも“保険”を掛けておく必要がありそうだ。

(取材・文/頓所直人、興山英雄)