2016年入試から、都市部を中心に多くの大学が、合格者数の絞り込みを進めている私立大学入試2018年度は、さらに厳しくなると予想されていましたが、果たしてどうだったのでしょうか。全体の難易度文系理系別の傾向、出題傾向などについて、大手予備校河合塾教育情報部の富沢和さんに伺いました。

気になる志願者数、倍率はどう変化した?

――2018年度の私立大学入試について、まずは全体的な志願状況を教えてください。

ほぼ前年度並みだった公立大学とは対照的に、私立大学の志願者数は前年度107と大幅に増えました。特に増えたのは、いわゆる「センター利用方式」の入試で、前年度110となっています。今や私立大学の9割近くが「センター利用方式」の入試を実施していて、2018年度時点で利用大学数は526大学(*1)に上っています。受験生にとっては、これをいかに使うかが入試攻略ポイントになってくるでしょう。

*1大学入試センター平成 30 年度大学入試センター試験利用大学短期大学数について」

――志願者数が増えた要因をどのように分析されていますか?

今は文系人気です。理系の定員割合が高い公立大学とは対照的に、私立大学文系の定員割合が高く、必然的に私立大学人気が高まっています。また、私立大学の志願者数の増加は、一人あたりの志願数が増えていることも大きな要因です。背景には、大学側が受験生の志願数増加を促すよう、受験料割引や併願制度などを拡大していることと、受験生側が私立大学の難化を警して一人あたりの志願数を増やしていることが考えられます。私立大学の難化の背景には、による私立大学入学者定員の厳格化があります。


――具体的に、どのようなことでしょうか?

収容定員8,000人以上の大学において、入学者の定員過率が一定ラインえた学部に私学助成金を交付しない制度が、2016年度から厳格化されました。そのラインが、かつては1.20倍でしたが、2016年度は1.17倍、2017年度は1.14倍、2018年度は1.10倍と、年々厳しくなっています。このほかにも、定員過率の適正化を促す施策があり、結果として、多くの私立大学が合格者数を絞り込んでいます。その結果、2017年入試では、多くの大学難易度が上がりました。こうした状況を踏まえて、今年の受験生は安全策を取って多くの大学・学部に志願しています。


――2018年入試では、実際にどのくらい合格者数が絞り込まれたのでしょうか?

私立大学全体の合格者数は前年96まで下がり、倍率は3年連続で上昇して4.1倍に達しました。倍率が4倍をえたのは、2003年度(4.0倍)以来15年ぶりです。こうした数字を見ても、2018年入試がいかに厳しい戦いだったかが分かります

地域別・大学別・学部別に見た状況は?

――倍率の上昇は、全的な傾向なのでしょうか?

実を言うと、都市部と地方では状況がまったく異なります。倍率の上昇が顕著だったのは都市部で、首都圏では4.1倍から4.6倍、近畿では4.0倍から4.6倍と、大きく上昇しました。一方で、北海道東北北陸中国四国九州などでは、大きな変動が見られませんでした。


――合格者数の絞り込み方について、大学による差はあるのでしょうか?

大学によって「歩留率(*2)」は異なり、それを見越して合格者の数を発表しています。しかし、合格者数をどの程度絞り込んだかについては、大学・学部間の差はさほどありません。難易度的に上位に位置する大学も、そうでない大学も、都市部の大規模大学については、ほぼ同じくらいの割合で合格者数を絞り込んでいます。

*2合格者のうち、実際に入学した者の割合。入学者数÷合格者数×100で算出する。


――学部別の難易度には、変化がありましたか?

立と同様、やはり「文高理低」の傾向が見られます。文系学部が軒並み倍率が上がったのに対し、理系はどの学部もさほど倍率が上がっていません。志願者数を見ても、新設の大学があった看護分野を除けば、多くの学部が前年度100%前後に落ち着いています。

――入試方式に何か変化はありましたか?

 ここ数年の傾向ですが、英語で外部試験のスコア活用する大学が増えています。グローバル化が進み、4技の重要性が叫ばれる中で、こうした流れは今後も続くことが予想されます。


 前年度に続いて志願者数(志願数)の増加や倍率の上昇が見られた2018年度の私立大学入試。地区別に見ると都市部で、学部別に見ると文系学部で、その傾向は顕著だったようです。「センター利用方式」の入試英語では外部試験の活用なども拡大し、これからの受験生は上手に受験戦略を立てることが重要となってきそうです。

【取材協
河合塾 教育情報富沢

(参考)
大学入試センター
http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00011303.pdf&n=%E5%8F%82%E5%8A%A0%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%95%B0_h30.pdf