2011年のドラフトで1位指名を受け、ソフトバンクに入団した武田翔太。150km越えの直球と落差の大きいカーブを武器に、昨年までのプロ6年間で2度の2ケタ勝利(2015年・2016年)を含む合計48勝をマーク。プレミア12(2015年)やWBC(2017年)では、日本代表メンバーに選出された経験も持つ実力派の投手だ。

 所属チームであるソフトバンクの、そして、球界の次代を担う投手として、大きな期待を寄せられ続けている25歳の右腕。しかし、迎えた今季の成績はというと、ここまで16試合の登板で「3勝8敗・防御率4.79」と黒星が大きく先行してしまっている。お世辞にも期待に応えているとは言い難い今季の武田だが、その内訳もまた評価を難解なものとしている。

 敗戦投手となった8試合において、武田は合計41失点(自責点36)を喫している。また、自身に勝ち負けのつかなかった5試合(合計13失点・自責点13)でも、無失点だったのは6月19日ヤクルト戦のみだ。このことからも、今季の武田は相手打線に打ち込まれ、炎上してしまうシーンが非常に多いということが分かる。

 一方、今季の3勝はその全てが、自身の完封劇によって生み出されている。派手な炎上が目立つ中、打者を牛耳る快投を披露していることもまた事実なのだ。ちなみに、今季ここまで3完封を記録している投手は、他に上沢直之(日本ハム)、菅野智之(巨人)の2名だけ。もちろん、この数字は12球団でトップだ。

 完封か、それとも炎上か、投げてみるまで分からない今季の武田。その不安定さに困惑しているファンも多いようで、ネット上には「良い時と悪い時の差が激しすぎ」、「武田の中には完封or炎上の2択しかないの?」、「どうにか安定してくれないものか…」といった声が寄せられている。

 両極端な投球が続き、チームやファンにとって今一つ計算の出来ない投手となっている今季の武田。今後は好不調の波を抑え、“ほどほど”の投球を続けていくことが求められていると言えそうだ。

文 / 柴田雅人