いまニコニコ動画では、パンツアニメが毎話毎話アニメカテゴリ1位を獲得し続けるというトンデモナイ事態が起きています。

 そのアニメの名は『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』(通称:『嫌パン』)。

(画像は『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい 』アニメページより)

 『嫌パン』は、40原氏(@40hara)による人気同人誌『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい本』シリーズ原作とし、“パンツ”と“嫌な顔”の組み合わせという、非常にマニアックジャンルの作品。

 それにも関わらず、配信された1~4話すべてがニコニコ動画アニメカテゴリ1位を獲得。まさにパンツ革命を起こしています。

 なぜ『嫌パン』はここまでされたのか? その魅に迫るべく、原作者の40原氏をお迎えし、40原氏のパンツへのこだわりやアニメ制作秘話などいろいろお話をお聞きしました。

 読者が作品を見るときに作者を連想させないよう、あえて顔出しや自身のプロフィール開しないようにしている、というこだわりを持つ40原氏へのインタビュー青春へのパンツ」「10代の子たちの性癖をこじらせたい」「パンツえたパンツなど、名言オンパレードとなりました。

取材・文・編集:竹中プレジデント

青春(性)への扉はパンツだった

──いきなりで恐縮なんですが、先生ってパンツはお好きなんですか?

40原氏:
 ホントにいきなりですね。パンツは好きです。パンツフェチです。

──あーよかったです! これで「ふつうです」って答えられたらこの後のインタビューどうしようかと思ってました。いつくらいからパンツフェチなんですか?

40原氏:
 小学生中学生のころです。当時、『週刊少年ジャンプ』には『I”s』や『いちご100%』などパンチラが多い作品があったんですが、そのパンチラを見てドキドキしていました。そのときに初めて性のが開いて……にとって青春へのパンツだったんです

──根っからのパンツ好きなんですね……。イラストを描き始めたのもパンツのためだったりするんですか?

40原氏:
 じつは『嫌パン』を描く前はフェチ系、エロ系どころかパンツじたいも描いたことがなかったんです。どちらかと言えば正統派な絵を描いていました。名刺の裏のこんな感じの……。

──ええっ!? パンツのパの字もないじゃないですか。リア充カップルが見に行く映画イラストみたいですね。

40原氏:
 もともとアニメ好きでアニメーター仕事をしていたのですが挫折してしまって、イラストでもやるかとイラストを描き始めたんです。最初のころは好きなものしか描いていなくて、『AKIRA』とかハードSFメカを描いていました。

 当時、深夜アニメはどちらかと言えば「オタク」や「気持ち悪い」とかポジティブイメージはなかったんですが、それが『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』あたりからアニメ一般化してきて、当時女子高生だったが「けいおん好き!」と言っていたときは女子高生アニメを見るんだって衝撃的でした。

 これは今後、アニメはもっと一般に普及していく、絶対に流行するなと思って、そこで一般に受けるイラストを描こうと思ったんです。

──それがなぜいまのようなフェチ系、エッチ系のイラストを描くようになったんです?

40原氏:
 それから3年くらいやっていて、読み通り企業さんからお仕事をもらえたりしていたんですが代表作がなかったんです。このまま10年20年いまの仕事を続けていて大丈夫なのかな? 何か新しいことをやらなきゃという思いが自分の中で生まれてきました。

 そこで、自分の本当に好きなものを描いてみようと思ったんです。もちろんキレイな絵も好きなんですが、の中の変態性を出せてなくて、被ってて本当の僕じゃないなって。

──そこでパンツという原点に戻るんですね。ではなぜそこでパンツと嫌な顔を組み合わせようと思ったのですか?

40原氏:
 ぶっちゃけ思いつきです。アニメを見ていたとき、ふと、美少女ってみんな笑顔だなって思って。もかれもが想を振りまいて笑顔を向けてくれるんですよ。

 それが二次元徴でもあるんですが、それだけだと人間味がないというか、をつかれている気がするんです(笑)。人間っていい人ばかりではないので、ネガティブな感情もあって、はそういうところを見れるのうれしくて。

 その嫌な顔をパンツというキャッチーな要素と組み合わせたらおもしろそうだなって思ったのがきっかけです。

(画像は『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』ポータルサイトより)

──先生ってもしかしなくてもMですか?

40原氏:
 全にドMです。なので女の子をどうこうするというよりされたいという願望のほうがあります。そこが作品の原点にもなっていますね。

 最初、自分でもアホだなって思いました。自分でその絵を描きながら「嫌な顔しながらおパンツを見せてもらうって意味わかんねーなー」って(笑)。でもそう思いながらもクルものはあって、自分の中でしっくりくる感じはありました。

アニメ化の話が来たときは正気か!? と思った

──そんな『嫌パン』は累計発行部数7万部をえる人気同人誌シリーズとなるわけですが、さらにここにきてアニメ化もされました。アニメ化のお話がきたとき、最初どう思いましたか?

40原氏:
 「正気か!?」というのが最初の率直な感想でした(笑)。本当にニッチなことをやっていると思っていたのでまさかという思いでした。

──そもそもアニメ化するきっかけは何だったんです?

40原氏:
 プロデューサーを務めている佐藤さん(佐藤郁雄)から、アニメを作りたいというメールに直接来たんです。最初はOVAという話でした。

 クラウドファンディングで資を集めようという話だったんですが、アニメの予算の規模からクラウドファンディングで集めるのは理だろうなと考え、企業さんがいて予算を組めるなら、とお話していたところにとらさんとらのあな)がまさかの「あ、出しますよ。全部できますよー」とおかけいただいて。

──なんとフットワークの軽い(笑)。そして初なのですが最初の予定ではいまみたいなニコニコでの配信の予定もなかったんですね。

40原氏:
 ニコニコでの配信に関してはからしたいと言いました。ブルーレイだとやはり高くて、10代の方々って手を出しにくいじゃないですか。クオリティもいいのでいろいろな人にみてもらいたい、OVAだけで終わらせるにはもったいないと思ったんです。

 それでもし気に入ってもらったらお金を貯めて買ってもらえたらうれしいなと。後、失礼な話、ニコニコなら大丈夫、行ける気がするって(笑)

(画像はニコニコ動画『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』第1話より)

──確かに(笑)。いまのご時世いろいろ難しいところもありますもんね。そんな『嫌パン』ですがアニメ1~4話すべてにおいてアニメカテゴリランキング1位を獲得していて、まさに一大ムーブメントを起こしています。いまの心いかがでしょう?

40原氏:
 ここまでされるとは思っていませんでした。ニコニコユーザーなら「馬鹿だなー」とか「なんだこのアニメ」みたいに笑ってくれるだろうなとは思っていたんですが、まさかこんなにも多くの紳士淑女の方々がいるとは予想外でした。

 自身、ニコニコをずっと見ているので「我々の業界ではご褒美です」や「紳士の社交場」というタグがつけられたときはうれしかったです。

──コメントも大盛り上がりですごいことになっています。アニメを作るにあたっていろいろ監修されたと思うのですが、とくにこだわった部分はどこですか?

40原氏:
 表情ですね。原画家さんのみなさんも嫌な顔は描き慣れていないと思うので、事前に表情のサンプルをお渡しして、これくらい強めにやってください、ふだんの表情との落差はこれくらいあっていい、などお願いしました。

──1話のメイドさんのだけに寄ったシーン、あれには強なこだわりを感じました。

40原氏:
 あそこよかったですよね。ギャグではなく本当の嫌悪の眼差しですばらしかったです。原画家さんがいい仕事してくれました。

(画像はニコニコ動画『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』第1話より)

──パンツじたいの監修はどうだったんです?

40原氏:
 い線ではなく色トレス【※】で描いてくださいとか作画的なことをちらほらですね。それ以外は監督の深瀬さん(深瀬沙哉)がこだわりを持ってやってくれました。

 たとえば、1話にメイドさんがスカートたくし上げシーンがあるんですが、実際に初めてスカートを履いたとおっしゃっていました、男性の方なんですけど。それであれだけ長いスカートだと1回では全部上げきれないから、何回かに分けてたくし上げをくり返してリレーするかたちにしたらしいです。

イラストを柔らかい印にすることができる技法のひとつ。線画の色を隣接した色と近い色にすることで、線画を塗りと染ませることができる。

(画像はニコニコ動画『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』第1話より)

──だからあそこまでリアリティが出ているんですね。こだわりがハンパないです。

40原氏:
 本当にスタッフの方々のこだわりがすごかったです。アニメシナリオも全部プロデューサー佐藤さんにお任せしていて、はできたシナリオを見て、言い回しをもっときつくしてくださいとか罵りが弱いですとかそういうチェックをするくらいでした。

──アニメになってシナリオがあってがあって……また違ったベクトルで『嫌パン』のよさを感じました。個人的にが入ったことのインパクトが大きかったのですが、声優さんはどのように決めていったんですか?

40原氏:
 まずはこの人に罵らせたらヤバそうな人を挙げました。有名な方ですしちょっと難しいかも……と思ったのですが、絶対やってほしいとお願いしたら意外と通って。あれっいいの? って。

──ちなみにどなたかお聞きしても?

40原氏:
 4話の巫女さんのを担当している赤﨑千夏さんです。『中二病でも恋がしたい!』のモリサマーの表裏がある演技が好きで。ご自身の演技の幅も広いし、やってもらえたらおもしろいと思いました。

 後はテープを送ってもらって、嫌なときの演技、罵りかたのヤバさとかを重要視してピックアップしていきました。「クズ」とか「最低」とか強めな言葉を聞いてたんですが、テープの状態でクオリティが高かったので、逆にレコーディングのときはほとんど言うことはなかったですね。録り直したのは舌打ちのシーンらい。

──ほぅ……舌打ちですか。

40原氏:
 チッっと舌打ちする演技が慣れてないんでしょうね。第2話でアイドルの子とか舌打ちが何度があったと思うんですが、あれは何度か録り直しました。

 人生で舌打ちすることがないんだろうなあ、やさしい人なんだろうなって、思いました(笑)