親はつい自分の遊び方で遊びを教えてしまうけど、それって子どもの創造力をすべて遮断している

貞松:加藤さんの場合は、保育が1歳からだから、身体が整うのが少し早いかもしれないですね。本当によく入れましたよね、1歳児って本当に難しいのですが。入ってみていかがですか?



加藤:親としては、今まで見ていた成長過程が保育園で行われているのかなあという寂しさもあります。でももう少しで2ヶ月ですが、保育園に入ってからの成長が早いですね。歌も歌えるようになってきて、朝になると「先生おはよー、みなさんおはよー」って歌うんですけど、知らなくてYouTubeで検索しました(笑)。急に母と離れていくような、でも成長する姿は見て取れます。去年までは保育園で学ぶことを、私が一所懸命にやっていたので。



貞松:家にひとりでいる時と、近い年齢の子どもといる時では違いますよね。友達がやっているから自分もやってみようといった自発性や創造性は特にそうですね。家だけだと自発性や創造性を引き出すのは難しいのケースもあると思います。



加藤:親はつい自分の遊び方で遊びを教えてしまうんですけど、それって彼女の創造力をすべて遮断しているんだなと思います。家の中を汚されたくなので「クレヨンでここに書いちゃダメ」とか片付けが大変だから「それはやっちゃいけないよ」ということもありました。彼女の創造力を信じてもっとのびのびと育てることができたかもしれないという反省はあります。



貞松:お子さんが熱を出したけど、仕事にも行かなければいけない時はどうしますか?



加藤:そういう時は旦那さんが対応してくれます。基本的に在宅なのでそれは助かってます。



貞松:何度で呼ばれますか。



加藤:37.5分です。最近は子どもの熱を出すタイミングも見えてました。ちゃっかりおやつを食べた後に出るんですよね(笑)。後はお昼寝の後とかですかね。保育園と病院が連携しているので、病院に行くと、今インフルエンザとかも見てくれて大丈夫ですよとか、地域一体になっているが凄い安心しますね。



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異年齢保育の様に歳の違う子どもとの関わりがある保育園がいいなって

貞松:保活の話のときに保育園を選ばれる視点に異年齢保育がありましたよね?



加藤:子ども同士の関わり方というのは、結構重点をおきましたね。場所によっては、年齢によってフロアが違うとか、部屋が違うとか。だけど昔は、上の子を見て育つと思うし、同じ歳の子だけではなく。逆に下の子の面倒を見るというか、今は兄弟がいない家庭も多いので。そこで、兄弟ではできないことを友達同士で学び合えるのもできればお願いしたかったんです。年齢が上の子どもまじわれるような保育園を探していました。



貞松:実際にそう考えるようになった何かきっかけがあったのですか?



加藤:私が娘に目薬をさそうとするとすごく嫌がるんです。でも、どうしても嫌がるのを姪っ子が「こうやるんだよ」って言って自分で目薬をつけて「痛くない」って言うのを見て、娘がそれを真似したんです。親や大人が言ってもダメだけれども、ちょっと年齢の近いお姉ちゃんが言うとちゃんと聞くんだって思って。それは親にもできない、大人にもできないことがあるなって思いました。一番近い憧れになるんだと思うんですよ、お兄ちゃんやお姉ちゃんって。そういうことがあって、歳の違う子との関わりがある保育園がいいなって思いました。



貞松:それはいい話ですね。



加藤:今の保育園も夕方になると上の子も下の子も一緒になるんですよ。



貞松:合同保育ですね。夕方に合同保育になる理由は実はいろいろあるんです。うちの保育園は、3・4・5歳は合同保育(異年齢保育)なんですが、夕方になると子どもの数も少なくなるので0歳から5歳まで一緒に合同保育をします。



加藤:そうなんですね。



貞松:うちの最初の保育園は小規模だったので、面積的な制限もあって小さな部屋で合同保育していて「これがうちの保育です」って言い張ってたんです。今はそれ(異年齢保育)が良いと思っていますけど当時は必ずしもそうは思ってはいませんでしたね。



加藤:そうなんですか。



貞松:正規の保育の学校を出て、大きな認可保育園で働いている方の一部は年齢毎にきっちり分けたがる人はいると思います。なんでかというと、3歳には3歳の活動があるというように「年齢毎に発達段階とそれに合った活動がある」というのが前提にあるので年齢でクラスを分けたがるんです。それ自体は悪いことではないと思いますが、私がベストだと思うのは、小学校の体育館がある保育園で、異年齢の子どもがみんなで集まって遊ぶみたいなものだけれども、都心ではなかなかそれは難しいですね。分けるのであれば壁ではなくて家具が良いと思うのですが、これも賛否両論で、例えば気が散るとか(笑)。全員にとってちょうどいいというのはなかなか難しいですね。それでもアンケートを取ると、6~7割が異年齢保育は楽しいという意見なんです。



今後の保育業界について

貞松:今後の保育業界はどうなるのかを加藤夏希さんにもパネルディスカッションに出ていただく今度のシンポジウム(7.29開催日本事業所内保育団体連合会)でも話します。そのパネルディスカッションに東大の開一夫先生も来ていただきます。タレントの藤本美貴さんと一緒に本(「ミキティが東大教授に聞いた赤ちゃんのなぜ?」中央法規出版)も出されていて、主に0~2歳の研究をされたりしている方です。



加藤:なんだかちょっと遅かった感が(笑)。



貞松:いやいや、2歳まで大丈夫です。赤ちゃんの脳の活動を全部記録してするんです。 どの音、どの言葉を聞いたらどうなるかという反応を全て。だからなんなんだっていう意見がある一方で、エビデンス(証拠・根拠)に基づく保育は必要だと思うんです。話を聞くと私が知らなかったこともたくさんありましました。



加藤:面白そうですね。



貞松:子どもとどのような関わり方をしたらどう成長するのか?それを科学的にやってみたいと思っています。もちろん、現実には個々の子どもへの対応については個別でやっていくべきでなのですが、単なる経験の積み重ねや本等で聞きかじった知識ではなく、ある程度学術的なレベルで学んで「科学的な根拠がありますよ」と言える保育士が今、必要だと思っています。保護者の方も質問されるときには一所懸命に調べてこられますし、それに答える保育士も「私はしっかり勉強したんです」と言えるような保育園を目指しているんですよね。



貞松:妊活から子育て全般で、オススメのアドバイスとかありますか。



加藤:妊活から考えると、、何をするにも本当に悩みは尽きないと思うんですよね。子どもが生まれてから、2人目でも3人目でも同じ子ではないので。見えない未来を予測しなければならないのは、まあ悩みの多いことだなと思うんですけど。でもそれを含めて、これって幸せっていうことなんだなって感じるようにしています。過ぎ去ると泣き声が、妊娠中のお腹の痛みとか、「なんでこんなに動くんだろう、怖いな」とか、あれは幸せだったんだなって振り返ると思うんですよ。とにかく今悩んでいることを、これが幸せなんだなって噛みしめるようにしています。



貞松:そうですね。



加藤:でも妊活中に流産したとかそういう話は少なくないです。妊活を頑張ってやっと妊娠した妊婦さんが、やっぱりうまく育たなかったということで今までいたフロアから違うフロアに移されるというのがあって。仕事でも学校でも家庭でも味わったことのない悲しみとか悔しさが妊活の時はありました。だけど母親になるためにもっと気持ちを強く持たなくては思ったのは妊活の時でしたね。それを思うと、子どもができてからの悩みは、もう本当に幸せなことだと思うんですよね。何事も、成長の過程の悩みなので。



貞松:確かにそうですね。



加藤:あとはイラっとしてもいいから、旦那さんは楽観的でいた方が良いと思います。



貞松:(笑)今日は長い時間、ありがとうございました。



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加藤夏希さんのインタビューは楽しんでいただけましたでしょうか。 『イクリレ』第二回ゲストはスザンヌさん。来週も楽しみにしていてくださいね。




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  • 【イクリレ】第一回ゲスト:加藤夏希さん(①妊活から妊娠編)
  • 【イクリレ】第一回ゲスト:加藤夏希さん(②出産編)
  • 【イクリレ】第一回ゲスト:加藤夏希さん(③旦那様とお母さん編)
  • 【イクリレ】第一回ゲスト:加藤夏希さん(④保活編)
  • 【イクリレ】第一回ゲスト:加藤夏希さん(⑤保育園編)
【イクリレ】加藤夏希さん⑤ ~娘の想像力を信じて 親がついやってしまうこととは?~