自民党のいまの状況を見て、何も言わないということは、私にはできません」

 8月10日午後、自民党石破茂元幹事長は総裁選への立補を正式に表明。あわせて同日発売の「文藝春秋」9月号に、安倍総理への「宣戦布告」ともいうべき手記「安倍総理よ、命を懸けて私は闘う」を発表した。

 石破氏が強く懸念するのは、安倍長期政権の下、保身のあまり権者に「忖度」する議員が増え、自民党が物言えぬ政党になってしまった現状だ。

国会議員は、でも選挙が怖いものでしょう。だから認という党の後ろがほしいし、ビッグネームに応援にも来てほしい。また地元の期待にも応えたいから、大臣、副大臣、政務官、委員会の理事に至るまで、ポストが欲しいとも思うでしょう」。しかし、「われわれが選挙で選ばれた国会議員である限り、忠を誓う相手は有権者であって、官邸でもなければ党本部でもない」と石破氏は言う。

 今回、総裁選への出を見送った岸田文雄氏に向けて安倍総理支持から投げかけられた言葉に対し、石破氏の筆はひときわ厳しい。「が閉まる前にようやっと駆け込んだ」「いま頃になって何だ」「人事で徹底的に干せばいい」とのを伝える報道に触れ、「これが本当だとすれば、そんな自民党は、私は恐ろしく嫌です。それは不遜であり傲です。何を思い上がっているのか」と憤りを隠さない。

「このまま自民党自由でも民主的でもない集団になっていくとすれば、やがて民の厳しい審判を受けるでしょうが、自民党に代わって政権を担える党がいまない以上、自民党敗北イコール民の不幸ともなりかねません」

 通常国会を揺るがせた「友・加計」問題についてもこう述べる。

総理夫人のお知り合いだったから、八億円も安く有地が買えたわけではないこと。総理のご友人だったから、学部の新設が認可されたわけではないこと。行政正性や性の説明責任行政側にありますし、加計(孝太郎)理事長も一方の当事者として、もっと説明の努をしていただければ説得があったはずです」

 石破氏は、昭和15年、太平洋戦争開戦を控えた帝国議会でいわゆる「反軍演説」をおこなって議会から除名された斎藤隆夫議員の故事を引きつつ、今回の出表明に至った心のすべてを「文藝春秋9月号でっている。さらに、憲法改正はじめ、北朝鮮ミサイル防衛自然災害の避難体制とを一元化する「防災」の創設や、「アベノミクス」の後、民一人ひとりが豊かさを実感するための「地方創生」など、具体的な政策論にも言及している。

(「文藝春秋」編集部)

石破茂氏 ©文藝春秋