(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

8月1日映画の日に初日を迎えた『センセイ君』は、2015年演で実写化された『ヒロイン失格』の作者、幸田もも子による同名人コミックス実写化作品。演に今や大人気の若手俳優辺美波と竹内涼真の二人を迎えての実写化とあって、果たして原作コミックスのパワフルヒロインをどう再現してくれるのか?個人的にも期待していた本作。

今回は開4日土曜日の回で鑑賞してきたのだが、残念ながら同時期に、『インレディブル・ファミリー』や『ミッション:インポッシブル フォールアウト』などの強作品も開されていたためか、シネコンの中でも小さめスクリーンでの上映だった本作。果たして、その出来はどうだったのか?

ストーリー

告白7連敗中の佐丸あゆは(辺美波)は、恋に恋するパワフル女子高生。ある日、クラス担任の代理でやってきた、イケメンだけど冷徹でヒネクレ者の数学教師竹内涼真)に恋をしてしまう。どんなにバカにされても「絶対に先生をおとしてみせます」と大胆発言!「そこまで言うならおとしてみなよ」—ここからあゆはの全方向に間違った恋の猛アタックが始まる。そんな二人の恋愛バトルあゆはの幼馴染・虎佐藤)、あゆはの親友・アオちん(川栄李奈)、更に音楽教師幼馴染香(新川優愛)も参戦!?果たしてあゆはとの“恋”の行方!? (公式サイトより)

予告編

原作コミックスを完コピした、浜辺美波の脅威の演技力に注目!

ネットでのレビュー内容が全てを物語る様に、何と言っても本作の一番の見所は、演の辺美波の可さと魅が存分に味わえる点!中でも過去の出演作品とは違うコメディ演技に挑戦した本作では、彼女の新たな魅が全編に渡って披露されており、ファンにとっては必見の作品となっているのだ。

実際、本作での辺美波の変顔やハイテンション演技は、何と全て原作コミックスキャラクター全に再現したもの!通常ここまで原作コミックスキャラを再現した場合、あまりの違和感に観客の方が恥ずかしくなって、居心地が悪くなったり見ていられなくなるのが普通なのだが、本作は違う!辺美波の驚異の演技により、見事に原作コミックスの方を本人に引き寄せて、しかも全に自分のものとしている点が見事過ぎるのだ!

(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

更に素晴らしいのは、やり過ぎて観客がシラケない様に、ちゃんと彼女の中でギリギリのラインを見極めて演技している点。実はコミックスキャラクターの方が実写版よりも若干ハイテンションなため、正直男性読者には着いていけない部分も多かったりする。だが辺美波の演技は、見事にその辺を上手く中和させてくれているのだ。

とは言え、まだキャラクター紹介が充分に出来ていない序盤では、辺美波の演技をもってしても、ヒロインのさまるんに若干のウザさを感じる部分があるのも事実。だが、ここでそれを上手くサポートし中和するのが、もう一人の役である竹内涼真の存在だ!辺美波演じるヒロイン原作そのままなのとは逆に、実はこの先生キャラクターは、その設定や性格が原作とはかなり変更されている。

原作コミックスでは先生の方が代理教員であり、実はと同居しているという部分もかれているのだが、このアレンジは上映時間の短縮とストーリー役二人に絞り込むという点で、非常に懸命な選択だったと言えるだろう。ただ、実はこのが同じ作者による人気漫画ヒロイン失格』に登場するキャラクターなので、原作ファンにとってはやはり登場させて欲しかったと思われるかも?

(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

今回の映画版での先生の性格は、竹内涼真本人のキャラクター若干寄せて優しく大人の余裕を漂わせる人物にアレンジされているため、二人の競演シーンでは、さまるんの強な個性が中和されてマイルドになるという絶妙なコンビネーションを生んでいるのだ。

こうした二人の素晴らしい演技により、ラストの展開が更に観客の胸を打つことになるのだから、もはやキャスティングの段階で本作の成功は約束されていたと言えるだろう。

もちろんその他にも、さまるんの親友・アオちんを演じる川栄李奈コメディ演技や、『君の膵臓を食べたい』のガム男でも見事な存在感を見せてくれた矢本など、脇を固めるキャストの演技も正に適材適所の安定感となっていて、安心して観ていられる本作。

他のコミックス原作物とは演技の質が違う、この『センセイ君』。その素晴らしい演技の数々は、是非劇場で!

(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

主演の二人が選ばれた理由が判るラストは必見!

先に、竹内涼真演じる先生側のキャラ設定が変更されていると書いたが、確かに原作コミックスキャラのままだと、教師の身でありながら女子高生をからかって遊んでいる様に取られかねない内容の本作。実はこうした危険性をキャスティングにより見事に回避したのが、先頃開されたやはり人気コミックス実写化作品である、『恋は雨上がりのように』だった。

(C)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C)2014 じゅん小学館  

最後まで決して良識ある大人の態度を崩さない店長キャラクターは、やはり演じる大泉洋イメージがあってこそ成立するもの。実は本作でも、先生を演じる竹内涼真イメージを最大限に活用することで、女子高生教師との恋愛物語でありながら、そこに明確な一線を引いて危うさを感じさせない様にしているのだ。もちろんヒロインを演じる辺美波の演技も、この二人が一線を越えて恋人同士にはならないと思わせる効果に一役買っているのは言うまでもない。

恋愛に対する憧れだけが先に立って、突猛進で自分の願望をえることが第一だったヒロインが、ついに自身の想いや都合よりも、相手の将来や幸せを優先させるまでに成長する展開は、確かにそれまでのコメディ演技との振り幅の大きさを表現出来る、辺美波の演技があってこそ!

そして迎えるラスト、全ての障や心残りをクリアした先生の姿と、文字通り大人女性へと脱皮して変身を遂げたヒロインの姿の前に、遂に教師と生徒の明確な一線は消滅し、観客も安心して二人の前途を祝福出来るというわけだ。

高校生同士の恋愛ドラマべて、やはり表現が難しくなる教師と生徒の恋愛ドラマ。それだけに、さまるんの少女から大人への成長を演じ分けるだけの演技を持った女優として辺美波が選ばれたのは、文字通り最良の選択だったと言えるだろう。加えて、前述した監督の絶妙のアレンジと演出を得た結果、原作コミックスに対しても紛れもく最良の実写映画化となった本作。

演二人のファンにとっては文句しに必見の作品なのだが、ここは是非とも普段若者向けの映画を見る機会の少ない観客にこそ、是非劇場でご鑑賞頂ければと思う。

(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

やはり、月川翔監督の原作物にハズレ無し!

本作の監督を務めたのは、『君の膵臓を食べたい』や『隣の怪物くん』で辺美波とタッグを組んでいる監督。それだけに、彼女との息の合った演出はバツグンの安定感!もはや何の心配もなく、観客は彼女の可さに見とれていれば良い、そんな作品に仕上がっている。

すでに今年は『となりの怪物くん』と本作、更にには同じく人気コミックス映画化作品『』の開も控えているなど、原作映画を中心に大活躍中の監督。残念ながら業的に苦戦してしまった『となりの怪物くん』だが、決して単なるコミックス実写化作品に終わることなく、常に映画版独自のアレンジと、演じる生身の役者の魅が生かされる内容で作品を仕上げてくれる監督の手腕は、もはや職人と呼べるものだ。

確かに年間数多くの小説コミックス原作映画開される中で、単に原作をそのまま映像化した作品や、コミックスに登場するキャラコスプレ役者にさせただけの作品が立つのも事実。ただ、その玉石混交の中から本作の監督や、『一の』『恋は雨上がりのように』の永井監督など、将来の日本映画界期待の人材が育っている点も確かなのだ。

果たして次は、どんな監督俳優が頭を現してくるのか?思わぬ才に出会う可性を秘めている、これらの若者向け映画だけに、苦手意識や変な先入観を持つことく、是非劇場に足を運んで頂ければと思う。

(C)2018 「センセイ君製作委員会 (C)幸田もも子/集英社 

最後に

実は予告編を見た段階では、その髪型と演技の印から、てっきり演は桜井日奈子だとばかり思っていた本作。それほど今回のヒロインイメージが、今までの辺美波からは考えられない程に振り切った役柄だったからだ。だが、同じ監督作品である『となりの怪物くん』で演じた、控えめな委員長イメージとはかけ離れたキャラクターにも関わらず、このハイテンション過ぎるヒロインを、彼女が全に自分の物としているのが凄い!しかも本作では、見事なモノマネまで披露してくれるサービスっぷりなのだ。

事実原作未読で鑑賞に臨んだ方のレビューや感想がネット上には多かったのだが、それでもどの評が彼女のコメディ演技に関して好意的だったのも、彼女の演技の凄さを物語っている。

本作での辺美波の弾けたコメディ演技と好対照に、先生役の竹内涼真の方も、女性にとっての理想像を見事に演じきってていて実に見事!これによって、女性にとってのツボとなる男性の何気ないしぐさや、女性にとっての理想のシチュエーションにおける大人の男の余裕まで、ファンにとっては正に「満です!」としか言いようのない至福の時間が過ぎて行くことになるのだ。

残念ながら行成績や動員の結果により、に失敗作や駄作とのレッテルが貼られ易い、これら人気マンガ小説原作とする実写化作品たち。実際今年に入ってからも、既に残念な結果に終わってしまった作品が多数存在する。だが、その多くは若手俳優や新人監督にとって、重なチャンスと経験を与えるものであり、どの作品にもそれぞれる部分や創意工夫の跡を見ることが出来るのも事実

どうかネットレビューや感想だけで判断しないで、ご自分ので観て判断して頂ければと願って止まない。

(文:滝口アキラ

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