年中無休で叱っているのに、同じことを繰り返すわが子。もしかしたら、ゲームセンターの“モグラ叩き”みたいになっているのかもしれませんね。そんなとき、効果抜群の魔法の伝え方があるんですよ。

【しつけ】もう「片づけなさい」は要らない!部屋のゴチャゴチャは「貼り紙」で即解決

『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

ゲームセンターに動物が穴からピョコピョコ出てきて、それを叩いてポイントをとる〝ワニ叩き”“モグラ叩き”のゲーム。実は子どもに注意するとき、ついこれと同じことをしてしまっていることがあります。

学級崩壊するのは、もしかしてモグラ叩き状態なのかも!

小学1年生のあるクラスの光景です。

2人の子どもがずっとケンカしています。担任の先生は駆け寄って「何やっているの、いい加減にしなさい!」と叱りました。

このやり取りを見ていた他の児童達は、「自分達も同じことだ。注意されないうちに気を付けよう」と“人の振り見て我が振り直せ”となるどころか、反対に「今、先生は○○君と○○君のところに行っているぞ。この隙に僕たちもお喋りしよう」となってしまいました。

全国の小学校学級崩壊しているクラスは一割あると言われています。たいていは“先生 対 生徒”の馴れ合いクラスになっています。つまり子ども達が先生を甘く見ていて、先生が誰かに注意していても、それを自分のこととして反省し落とし込むのではなく、注意が耳から耳へすり抜けている状態に陥っているのです。

まさに、ゲームセンターのワニ叩き、もぐら叩きの状態ですね。

お喋り

一人の児童の私語に対して先生が注意をする

その隙に別の子が喋り出す

先生が別の子に注意しにいく

また別の子が喋り出す

教室から脱走

一人の児童が部屋から出ていく

先生が呼び戻しに行く

先生が教室に戻ってきたら別の児童数名がいなくなっている

連れション

一人の先生の許可を得ず、授業中にトイレに行く

連れション状態(=連れだってトイレに行くこと)でみんなこぞって「僕も、私も」とトイレに出ていく。そしてクラスの三分の一の子が授業中なのにトイレに行く状態

甘く見られていた

筆者も子どもたちに指導していたとき、私語が止まないので「3回同じことを注意された人は教室の外に出てもらいます!」と叱ったのですが、甘く見られていたので、生徒は次の行動に出たのです。

  • 2回席を離れる
  • 2回友達を叩く
  • 2回鉛筆を投げる

「同じことが3回に達していないから、いいんだ」という屁理屈です。生徒に完全に舐められていた筆者でした。

クラスに多くて35名も児童がいる小学一年生クラス。集団を指導するにはそこに“秩序”がなければ上手くは行きません。

例えば、教師が一人の子の私語を注意、つまり、言葉は悪いですがある意味、槍玉に上げたら、他の生徒は「僕でなくてよかった」とホッと胸を撫で下ろし、クラス全体が落ち着いた状態になる状態。これが秩序です。心理学でいえば“暗黙の了解”ですね。

それが、他の生徒が叱られている隙に「僕もやっちゃおう!」となっているのは、ゲームセンターで他のモグラやワニに気をとられている隙に、他のワニが飛び出してくる状態とよく似ています。

家庭ではどうしたらいい?

家庭ではどうしたらいい?魔法の伝え方

子どもが3歳ならば親としてもまだ3歳、3年の経験しかありません。つい、目先の子どもの行動を何とかしようと…

「ちゃんとしなさい!」「いい加減にしなさい!」「こら!」「ダメ!」

と朝から晩まで連呼してしまいますが、ただ命令しているだけなので“馬の耳に念仏”状態になってしまいます。親の注意がBGMと化しているのですね。

たとえ一時、行動が収まっても、命じられた言葉に条件反射しているだけなので、また同じことを繰り返してしまうのです。

解決策

子どもの心に響く言い方に変えてみましょう。

食事時、子どもが食器をスプーンで叩いたとき「○○ちゃん!」と子どもの名前を呼びかけるだけ、「ダメ」と言うだけ、「止めなさい」と言うだけですと、この指示命令の言葉に条件反射するだけになってしまいます。

子ども自身が「ああ、食器をおもちゃのようにして遊んではいけないんだなあ」と心から思うように次のように導きましょう。

子どもスプーンで食器を叩いた場合

  1. 大人が「あれ?」とまず言います。いつもと違う怖い声のトーン、ゆっくりと太い声を出します。
  2. 次に「スプーンは叩くものですか」とわざと丁寧語を使って諭します。「○○さん、スプーンは叩くものですか」と普段呼んでいない言い方「○○さん」とか、下の名前ではなく苗字を使っても効果があります。
  3. 2のとき、子ども自身に「叩くものではない。ご飯を食べるとき使うもの」とあえて正解を言わせてもよいでしょう。
  4. 子どもは一瞬、叩くのを止める筈です。このタイミングを逃さずに、すかさず「そうだよね。よく気が付いて止めることが出来たね」と褒めます。

子どもとの距離を置き、第三者的に親が俳優になって振舞うのです。

食器を擬人化するのは?

たまに「食器さんが割れちゃうよ。泣いちゃうよ」とか、「危ないから」と理由付けしている人がいますが、それは本当の理由ではありません。子どもは案外「食器は泣いていない」とか「これくらい叩いたからって割れはしない」とわかっています。

何故、それがいけないのか、つまり「食器はおもちゃではない」という正しい理由を伝えましょう。子ども赤ちゃん扱いされていないことが分かり、案外、言うことを聞くようになるものですよ。

そして、食器をおもちゃにしなかった瞬間をとらえて「スプーンで叩きたいのに我慢できているね」と褒めましょう。努力しているのに、それに気が付いてもらえなければ態度はまた元に戻ってしまうからです。

子どもが親の言ったことをしっかり自覚して行動できるようになるには、命令のフレーズに条件反射させていては、なかなか改善しません。ゲームセンターモグラ叩きのようにならないように気を付けたいものですね。