逆流性食道炎の人が増えているそうです。逆流性食道炎とは、胃から胃酸に食道に逆流して起こるさまざまな症状のことです。高齢の方に多い症状ですが、最近は年齢に関係なく増えているようです。Suits WOMAN世代の方にも多いと聞いています。胃は精神的ストレスと密接に関係していますから、ストレスの多い現代社会ならではの病気と言えるかもしれません。

のどが痛いのも胃が痛いのも逆流性食道炎?

逆流性食道炎の症状は人によって違います

・常にのどが痛い

・食べたり飲んだりするとのどが痛い。この場合、何を食べ飲みすると痛むかは人によって違います(炭酸、アルコールを飲むと痛い、塩辛いもの、熱いものを食べると痛い、など)

・痛くはないが、のどのあたりに違和感がある

・食べるものが苦く感じるようになった。ただし痛くはない

・胃痛、胸焼けがひどい

・胃もたれがひどい

人によって痛いと感じる部位も程度も違います。たとえば同じように胃酸が逆流しても、不快と感じる人もいれば、別に感じない人もいます。胃酸で食道に炎症が起きている場合、とにかく痛いと訴える人と、痛くはないが違和感を訴える人がいます。

このようにさまざまな症状がありますが、病院では「逆流性食道炎」と診断される人が多いようです。そしてほとんど場合、ここで胃薬が処方されます。

長く飲みつづけていい薬ではない

胃酸を抑える薬として、よく知られているのが市販薬になった「ガスター10」です。胃酸を出すH2という受容体をふさぐ作用をするので「H2ブロッカー」と呼ばれる薬です。比較的、副作用が少ないということで市販薬になりました。

H2ブロッカーより強力なのが「プロトンポンプ阻害薬」(PPIと略されます)という薬で、こちらはまだ市販薬になっておらず、病院で処方されなければ手に入りません。薬品の商品名としては「ネキシウム」「タケキャプ」「オメプラール」などがあります。

この薬も、胃酸を分泌するプロトンポンプに作用して、胃酸分泌を抑える働きをします。

H2ブロッカーを2週間飲んで改善が見られなければ、プロトンポンプ阻害薬に代えるという場合もあるでしょう。A社のプロトンポンプ阻害薬で改善しなければ、次はB社のプロトンポンプ阻害薬を処方するという医者もいます。各々の診断に基づくことですので、処方についてはなんともいえませんが、いずれの薬も長く服用していい薬でないということです。

胃酸は消化にとって、なくてはならないものです。胃酸が減れば消化活動がとどこおり、胃もたれしてしまいます。

胃酸は強力な酸性です。口や鼻から入ってきたバイ菌を何が食い止めているかというと、この胃酸です。胃酸が薄くなればバイ菌を殺せなくなり、その結果、別の病気を引き起こしかねません。そんなわけですからH2ブロッカーもプロトンポンプ阻害薬も、長く飲みつづけてはいけないのです。

物理的ストレス「猫背」を直してみたら?

もちろん、これらの薬によって改善する症状もたくさんあります。まずはきちんと処方通りに服用しましょう。そして気をつけるべきはその後です。薬によって治っても、生活を改善しなければ、また再発することは大いにあり得ます。特に逆流性食道炎のような精神的なストレスや慢性的な疲労が影響するような病気ではよくあります。

疲れがたまると、症状はその人の弱い部分に出ます。胃やのどが弱いという自覚のある人は、なおさらに気をつける必要があります。

若い人にも逆流性食道炎が増えているということですが、その原因はもしかしたら姿勢にもあるのではないかと思います。胃に物理的な負担がかかれば、それがストレスにもなります。猫背なら、それだけで常に胃に負担がかかります。

便秘も原因になり得ます。それだけ腸が重たい状態も、物理的に胃に負担をかけるでしょう。若い女性に多いのがダイエットによる便秘です。無理なダイエットによって食べない→出ない→便秘→胃への負担増→胃酸の分泌増→逆流性食道炎というパターンです。

精神的なストレスの元をいますぐ取り除くことは難しいと思いますが、物理的なストレスは取り除くことが可能です。栄養バランスの取れた食事、睡眠の確保、適度な運動、体を冷やさない等々、生活習慣で改善できることもたくさんあると思います。

食べると痛い、飲むと痛い、ゲップが詰まる……など、さまざまな症状が見られる逆流性食道炎

賢人のまとめ

逆流性食道炎に処方される薬は、胃酸を抑えるH2ブロッカー、それより強力なプロトンポンプ阻害薬です。どちらも長く継続して飲める薬ではありません。胃酸を抑えることで消化活動がにぶり、胃の殺菌力が弱まるからです。薬で症状を抑えたら、生活改善によって完治させましょう。

プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。

 
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