みんな大好きフライドポテト
ファストフード店やファミレスでは絶対に欠かせないメニューであり、居酒屋など夜のお店でも定番人気。おやつ、おかず、おつまみとマルチに活躍する万能ぶりである。今やどのコンビニのホットコーナーでも見ないことがない。手軽にバラエティ豊かなラインアップが楽しめるのだから、いい時代である。
筆者にとって、子どもの頃から現在に至るまで、不動のNo.1ポテトがある。
その名は「ラスポテト」。

このレトロなポスターのテイストに見覚えはないだろうか?
粉末状にしたジャガイモを水で溶き、専用容器から絞り出して細長く成形。それを食用油で揚げたメニューである。
外はカリッとサクッと、中はモチモチ。他のフライドポテトに比べて、独特の香りがするのも特徴だ。
そもそも、フライドポテト自体が珍しかった時代。その美味しさに夢中になって貪り食べたことが、お祭りや縁日などハレの日の思い出ととともによみがえるのである。


覚えておきたいラスポテトの基本知識
ラスポテトオランダ発祥のフライドポテトの1種。
「ラス」は、創業者の頭文字「RAS」から。実は愛称であり、正式名称は「ラス・スーパーフライポテト」となる。
日本での歴史は1970年ごろと言うから、あのマクドナルド上陸と同じ時期だ。ファストフードブームに乗って、遊園地や高速道路デパート屋上の売店などで販売され、人気を集めるようになった。観光地や縁日の屋台でもよく見かけたものである。

冷凍ポテトと比べ、材料の常温保存が可能だから冷蔵設備は必要なし、その上、調理は短時間でOK。しかも、温度変化による揚げ油の劣化が抑えられるなど、アドバンテージは大きい。
また、商品の大きさを揃えられる、逆に成形の仕方でアレンジが利くこともメリットだ。
ただし、あらかじめ粉を水で練る必要があるため、揚げるだけの冷凍ポテトの方が調理は簡単。冷凍輸送技術の発展にともない、徐々にシェアを奪われる形になり、いつしか過去のものといったメージが付いてしまったようだ。


実はネット通販で売り上げが右肩上がりだったラスポテト
街では見かけることが少なくなったラスポテトだが、実は今再びブームの兆しと言う。
ラスポテトを日本に輸入した「ラス・スーパーフライ首都圏営業部の山田さんにお話を伺ってみた。

「昔を懐かしむ声に応える形で、2009年ぐらいから家庭向けのスーパーフライパウダー(ラスポテトの粉末)とハンドマッシャー(成形機)のネット販売が始まりましたが、これが実に好調で右肩上がりで売り上げを伸ばしています。弊社運営の『グルメ大陸』では、肉やシーフード、ソースなどの業務用食材を扱っていますが、売り上げの6割はスーパーフライパウダーになんですよ。子どもの頃親しんだ味を求める40~50代のお客様の支持が高いですね。あの味の正体がラスポテトだったんだと初めて気づかれる方も多いようです。お子さんとポテト作りを一緒に楽しむ方も多いですね」

楽天市場やアマゾンなどで購入できるとあって、筆者も早速試してみた。


実際に家でラスポテトを作ってみた
スーパーフライパウダー1kgは送料入れて、2,500円ほど。
これで20人前できちゃうんだから、コスパは非常に優れているかも。

作り方が詳細に書かれたパンフレットがあるから安心だ。
「ラス、だぁ~いすき!」のミニポスターもマニア心をくすぐりまくる。

ハンドマッシャーは4,000円ほどとあって、今回は購入を見送ったので……

手作りでできる方法を試してみる。

さらっさらのパウダーは一見、何の変哲もない白い粉。

冷水200mlに対して粉100gを入れてよく混ぜると、あっと言う間に粘度の高いマッシュポテトのような形に。結構もったりずっしりした感じ?
早くもあの独特の香りが漂ってきた。

よくある絞り袋を使ってみたが、なかなかヘビーな作業……。粘度が高いために、綺麗に絞れないどころか、すぐにビニール袋がパンクしてしまった。結構厚めの袋だったのに……。

そこで、もう一つの方法を試してみた。
麺棒で伸ばして、適度な長さにカット。
何だか、うどんでも作っているような気分である。

これを200度の油で揚げれば、それっぽい感じに……

なった! なった! 十分イケそう♪

せっかくなんで、型を使ってアレンジもしてみた。

続々と揚がっていくキティちゃんポテト。表情も思った以上にはっきりと出たのが嬉しい。

ハートや星の型抜きもバッチリ使えた。お弁当や付け合せにあったらテンション上がること間違いなし!


少年時代を思い出す、懐かしい味わい
ジャーン!
揚げたての誘惑に負けて、正直つまみ食いが止まらなかったけど……立派に完成しました。

カリッとホクッと。う~ん、たまらん♪
塩を振らなかったけど、しっかりした味わいでめちゃくちゃウマい!

塩をちょっと多めにして、プール後とか夜店で楽しんだ、あの夏っぽい味を求めるのもアリだなぁ。
なんだか、少年時代を思い出さずにはいられない。
懐かしい味わいに、ちょっと涙腺ゆるみそう……。

キティちゃんや星型、ハート型のポテトはモチモチ感が強い仕上がりに。
ポテトの形で食感がだいぶ違ってくるんで、これはもっと色々試してみたい!

ちなみに、絞り袋で作ったポテトにあった、このギザギザ部分。

ぶっ格好ながら、カリカリザクザク食感が、またウマい!
あえて、この「バリ」は作った方がいいと断言しときます。


ハンバーグを使ったラスポテトのアレンジはどうでしょう?
一般社団法人 日本ハンバーグ協会」 理事長でもある筆者。
せっかくだから、ハンバーグを使ったアレンジも試してみた。
ハンバーグの付け合せといったら、やっぱりポテト相性が悪いわけがない。
用意したのはニチレイの冷凍『ミニハンバーグ』。何と、発売から50年を数える超ロングセラー商品だ。

小分けトレイになっているので、食べたい分だけ切り離して電子レンジであたためるだけ。

これをラスポテトの生地で大胆に包む。

なんか、大福みたいな感じに。

これをじっくり焼き上げると……

ジャン
大ぶりなナゲットのような仕上がりに。

元のハンバーグと比べるとこんな感じ。

カットしてみると、結構バランスいい感じ?

パクッと味わってみると………正解だこれ!
ジューシーなハンバーグと上質なマッシュポテトが一体となった味わい。カリッとした食感、香ばしさも加わり、バランスが絶妙なのだ。
夢中すぎて写真忘れてしまうほどにウマい!

これ、屋台やコンビニのホットスナックでイケるんじゃあないか!?


ラスポテトが買えるスポット紹介
そう言えば、先ほどの山田さんがこんな話もしてくれた。

「今でもお祭りなどで大人気の商品ですので、お祭りでも知らず知らずのうちにラスポテトを食べられている方もいるかも知れません」
(ラス・スーパーフライ株式会社 首都圏営業部 山田さん)

気づいていないだけでラスポテトに触れている機会は多いのかも?
ラス・スーパーフライさんは、あくまで問屋に卸す形になるので、その先の販路までは把握が難しいそう。そんな中でも、首都圏で確実に楽しめるポイントを山田さんに伺った。ぜひ懐かしの味と再会してほしい。

首都圏でラスポテトが買えるスポット
東京ドーム
明治神宮野球場
メットライフドーム
横浜スタジアム

筆者が暮らす袋井市静岡県西部地域に位置するが、ラスポテトが楽しめるスポットが他に比べてかなり多いそうだ。
都会では「絶滅危惧種」的に言われているが、田舎ではまだまだ現役バリバリなようである。

静岡県中西部でラスポテトが買えるスポット
磐田市「おやつ専科カンサス」
袋井市ピアゴ袋井店」
掛川市「大東ショッピングプラザ ピア」「アピタ掛川店」
牧之原市「ぽたじゅう静波店」
焼津市「TEA ROOM キャノン

カンサスさんからは、こんな興味深い話を伺った。

「ラスポテトは本当に人気ありますよ! 多い日で1日300個は出てますね。うちでは気候に合わせて、パウダーへの水加減はもちろん、練り加減から揚げ加減、さらには塩加減と、すべて変えるほどにこだわって作っています。だから、味も食感も家庭ではちょっと真似できないんじゃないかなと思いますよ」(おやつ専科カンサス オーナー 大石しげみさん)

むむむ
確かに、自分で作ったものよりもワンランク上の味わい……。

特に揚げ加減には相当な差が感じられた。口当たりの軽さが段違いなのだ。
シンプルだからこそ、奥が深いラスポテトの世界。
筆者はまだ入口に立ったばかりのようだ。

ちなみに、ラス・スーパーフライ株式会社 首都圏営業部の山田さんオススメのアレンジは、スーパーフライパウダーを練る際にカレー粉を混ぜること。カレーの風味が加わりやみつきになるとか。
あぁ、またラスポテト食べたくなってきた……。
今度はビールに合わせて目一杯楽しむぞ~♪
バーグマン田形)