とにかく白石麻衣。細かいことはいいから白石麻衣。そんな感じの「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」(毎週月曜21時〜)8話。

ミハンシステムとは、9割の確率で犯罪を犯す人を事前に探し出す未然犯罪捜査システムのこと。

整合性より大切な画
細かな整合性は横に置き、面白そうな、エンタメ感のある画を優先した印象だ。ミハンシステムが今回検知したのは、1週間後に結婚式を控えていた市役所で働く砂田繭美(白石麻衣)。冒頭で井沢(沢村一樹)が「危険人物は美人花嫁か」つぶやいており、それはもうメチャクチャに美人なのだが、横に小田切本田翼)がいるのにも関わらず、南(柄本時生)の「今まで見た中で断然美人」というセリフはちょっと違和感。白石麻衣本田翼、どっちが美人かという議論はすっ飛ばして、とりあえず砂田繭美がとんでもない美人という設定で強引に話は進む。

繭美に近づくため、井沢と小田切は婚約届を出しにきたカップルを偽り、市役所で大喧嘩を行う。これを止めにきた繭美と接点を持つことに成功するのだが、何もあんな大声で喧嘩をしなくてもなんとでもなりそうだ。ここは細かいところよりもエンタメを優先といったところだろう。実際、井沢のバツイチ設定、それを小田切が過剰に気にしてしまっている設定は微妙にリアルでインパクトがあった。

その後は、あれよあれよと繭美のフィアンセの統一郎(入江甚儀)の実家でランチをする仲になり、実父の竜太郎(羽場裕一)のセレブっぷりが明らかになる。かなりのパワープレイだ。

白石のウエディングドレス姿のための1時間
整合性よりも面白げな画を大事にしているというのは、8話全体で一貫していた。ストーカーの都筑洋平(岡部たかし)は、真昼間にセキュリティのしっかりしていそうな超豪邸の門の前で拉致するし、誰も来なそうな倉庫に小田切と山内(横山裕)が助けにきたことに対して繭美がノータッチなのも違和感がある。繭美が縛られるという画のために、勢いで持っていった感じ。

クライマックスの結婚式もそうだ。井沢は「隠されていた銃を見つけたにも関わらず、「弾を抜く」程度に抑えて放置するのは、いくら泳がすためとはいえなかなかにあり得ない。予備の弾の可能性ぐらい考慮しそうなものだ。他にも、参列者に繭美の関係者がいなかったように見える点も、かなり都合がいい。

しかし、それでも繭美がウエディングドレス姿で銃を構える姿は圧巻だった。復讐相手への憎悪と、銃口の先にいる人物への想いは全くの別物。どっちに向かってもおかしくないあやふやな感情と、綺麗に整えられた花嫁姿のアンバランスさが、白石麻衣の美しさを引き立てる。ホント画、第8話はこの画が本当に良いから、多少の矛盾は目をつぶってくださいって感じに見えた。

最初っからアイツを捕まえろよ
過去のストーリーでは、毎回のように法で裁けない悪が登場していた。それを仕置き人の田村が秘密裏に葬り、物語における懲悪の部分を補っていた。

しかし、今回登場した悪人は法で裁ける存在だった。繭美の復讐は失敗に終わったものの、最終的に逮捕されていたことでめでたしめでたし。だったら最初からそいつを捕まえて、繭美の凶行を止めてやれよと思ってしまうのだが、そこら辺も目をつぶって楽しんだ方が賢いのかもしれないが。
(沢野奈津夫)

「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」

月曜 21:00〜21:54 フジテレビ系
今晩の放映時間直前までTverで8話配信

キャスト:沢村一樹、横山裕、本田翼、柄本時生、平田満、伊藤淳史、上戸彩 ほか

脚本:浜田秀哉
演出:佐藤祐市、城宝秀則、光野道夫
主題歌:家入レオ「もし君を許せたら」

イラスト/Morimori no moRi