南の島で暮らす女優高樹沙耶さんと、都会の隷属者として東京で暮らすライターの石丸元章をネットをつないで、石垣島の精霊やスピリチュアルUFO、日本社会の政治、事件、芸能界、そして大麻のこと…などについてあれこれ語る、話題騒然の対談!


●高樹沙耶、『週刊新潮』にコメントを出す

石丸 たッ、高樹さんッ! 『週刊新潮』のコメント読みました!   

高樹 はいはい、あれですね。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2018/08/post_17894_entry.html

石丸 『週刊新潮』7月19日号で高樹さんが、Netflixで配信されている、大麻を食材にしたアメリカの料理対決番組『クッキング・ハイ: マリファナ料理対決』についてコメントしているんですけど、なんというか、扱いが“奇人枠”なんですよ。ううう。

高樹 うーん、記者の方は大麻問題に興味を持っていて、詳しい人だったんですけどね……。私が大麻合法化活動を始めて以来、『週刊新潮』さんからは年に1回くらいコメントの依頼があったんですよ。記者の方も、わざわざ石垣島に来てくれたして。だから信頼して、正直に話したんですけれど。そうしたら、あんな風に“上手に”書かれちゃったという……。

石丸 ちょっと読みますね。記事はこんな風にはじまります――《先月22日、動画配信サービスNetflixネットリックス)」でとんでもない料理対決番組が始まった。》《一見すると普通の料理対決番組だ。だが、2人のシェフが使う調味料は大麻バターや大麻オイル。審査員は、「母が妊娠中に吸ってたから、俺は生まれる前からハイなんだ」と語りはじめる。》《……日本で観て良い番組なのだろうか。》と、ここで日本の麻薬取締官の、「大麻が合法化されている米国カリフォルニア州で製作されているので、番組そのものは違法ではないが、番組の影響で大麻に興味を持つ人が増えることが懸念される」というようなコメントが入ります。記事としてはオーソドックスな作りですよね。

高樹 はいはい。

石丸 と、ここで高樹さんが登場して、《「大麻使用経験者としてお話しできることがある」》と割って入るコメントをします――《「健康体であれば脳内マリファナを作れるから大麻は要らない。医療用大麻を娯楽目的で使っているこの番組は危険ですよ。漢方薬のように用法用量を守って使用する教育が必要です」》

高樹 ははは。

石丸 “脳内マリファナとか”“大麻は用法容量を守って”とか、かなりブッ飛んでいて、面白いコメントだと思います!

高樹 本当はもっとたくさん、30分くらい電話で話したんですけど、その部分だけをつままれちゃったんですよ。先程言ったように記者の方も大麻をよく勉強していたので、「わかってもらえるのかなあ」と思って話したんだけど。

石丸 そしたら、一部分だけを取り上げて、珍妙なコメントとして扱われてしまった、と。くくく…。わかります! 自分もそういう経験何度もありますから。雑誌って、そういうものなんですよね(笑)。記者本人は、よく知っている。言葉にはしないけど、個人としての理解も多分あるんだと思う。でも、『週刊新潮』という雑誌の記者としては、大麻番組のことを肯定できるわけないから、皮肉な否定記事を書くんですよ。

高樹 私からしたら“大麻についてのコメントを、世間に向かって発信できる”ことに意義を感じるから、答えるわけなんですけどね。そして、記者の人を信じちゃった。

石丸 信じていいんだけど、でも、なんというか…、ちょっと甘くなっちゃったのかもしれませんね。

高樹 私、すぐ人を信じちゃうんですよ。

石丸 それでいいんだと思います。人を疑うよりも信じる方が、高樹さんには向いてます。実際に電話口で話したことと、掲載されたコメントのギャップを見て、アタマきませんでしたか?

高樹 昔はすごく怒っていたんですけど、今はもう、わかるじゃないですか。だから、またやられちゃった! と。ある意味、ああいう書かれ方をされるかもしれないという覚悟で話したことでもあります。だから正直、怒ってはいないんですけれど、残念な気持ちはあります。

石丸 ですよね。

高樹 それに、記事をまとめた段階で、「こういう記事を出します」という連絡があって当然だと思うんですよね。でも、それもなかった。私は今、プロダクションに入っていないし、後ろ盾がいないから、相手の方としては“やりたい放題”だと思うんですよね。

石丸 なるほどそうですか。そういう手続き上のこともあったんですね。想像ですけど、記者の人は、高樹さんに一定の理解がある人だと思うんですよ。そうじゃなきゃコメントの依頼をしませんから。でも、その人も仕事だから、「高樹沙耶は大麻を通じて日本の救済を考えている進んだ女性だ」という紹介文は書けないわけですよね。当然、その料理番組に関しても「おもしろい」「ぜひ地上波で!」とは書けるわけない。書いたらクビですよ。とうぜん『週刊新潮』の老人読者が満足するような、大麻解禁論者を斜め上から見下すような、皮肉な記事になる。それを差し引いて――誌面へ載せるコメントを“取引”して作らないと。

高樹 私はこれまでずっと女優だったから、こうした問題は事務所がやっていたので、そういうことがわからなくて。

石丸 自分の場合は、オフレコ/オンレコを分けて話して、取材記者が欲しいコメントを、自分が許容するコメントを電話口の話し合いで折り合い付けて、その場で練り上げます。『週刊新潮』ということは…、電話コメント料は、たしか1万円ですよね。

高樹 だったと思います。

石丸 電話で10数分話して1万円だから、けっこう割が良いというか、イージーマネーです。普通の仕事だったら、1日クタクタになって働いてようやく1万円いくかいかないか、ですから。だけど、雑誌にコメントを寄せても、絶対にそれは自分の意見発表の場にはなりません。

高樹 なるほど

石丸 電話で依頼されるコメントっていうのは、先方メディアが望む言葉を発する“役割”を担う仕事ですよね。モキュメント的な俳優というか女優というか。言いたいことを言えると思ってコメントしたら、相手の望むことを言わされてしまった――そこはジレンマです。にしても…“健康体であれば脳内マリファナが作れるから、大麻は必要ない”という高樹さんのコメント、何度読み返しても面白いですね。どういう意味ですか?


■“脳内マリファナを作る”ってどういうこと!?

高樹 脳内マリファナとは、ドーパミンとかエンドルフィンと同様のもので脳内に分泌されているものなんです。人体にはそうした機能が備わっていて、90年代にお医者さんがちゃんと立証しているんですよ。

石丸 ほう。脳内でマリファナ成分状の分必物が作られていると。

高樹 そうなんです。「エンドカンナビノイド・システム」と呼ばれるもので、人体が持つ身体調節機能のひとつなんですね。健康なときは、そのシステムがきちんと働いていて、人間の免疫機能を高めたりする。ところが、ストレスや老化で「カンナビノイド欠乏症」になると、さまざまな疾患になることがわかってきているんです。

石丸 ふむふむ。

高樹 植物で「エンドカンナビノイド・システム」に代わる物質を保有しているのは、大麻しかない。それでカナダでは、カンナビノイド医薬品として2005年に多発性硬化症の痛み改善薬として承認されています。

石丸 おおすごい

高樹 現在では、てんかん、ガン疼痛、神経膠腫、2型糖尿病、潰瘍性大腸炎、統合失調症などの疾患への臨床試験が行われていまして――。

石丸 すごい好奇心をそそる面白い話じゃないですか!

高樹 でしょう! そういう話を長々と30分くらい電話口で説明したんですが、ああいうかたちのコメントとして使われてしまったという(笑)

石丸 ははは。気をつけましょう! 

高樹 メディアは、私を奇人変人にしたいんですよ。日本は、医療用大麻を認めさせたくない利権を持つ人達(=医療用大麻を阻止しようとしている、製薬会社業界の既得権者たち)とメディアが“つるんで”いると私は思うんですけどね。

石丸 なるほど。そうかもしれませんね。でも、高樹さん自身も、古い言葉でいうと“不思議ちゃん”というか“ぷっつん”というか、とても良い意味での可愛らしい奇人変人みたいな部分はありますよ。わたくしそれ、感じます。第一、今回の『週刊新潮』の高樹さんのコメントも抜群に面白いですよ!《(大麻は)漢方薬のように用法用量を守って使用する教育が必要です》なんてコメントは、高樹さん以外の誰にも言えません!

高樹 ははは。おおっぴらに大麻について語っている私は、いいターゲットなのかなあ。

石丸 いやいや、逆! 自分が言いたいのは、あの記事を見て、高樹さんは怒ったり、不愉快な思いをすることはないということなんですよ。だって、あの記事はおもしろいんですから。わたくしには言えない。わたくしもこれまで何度か、“カリフォルニア山火事で大麻畑が焼けた”時とか、『週刊新潮』にコメントしてるんですが、高樹さんの方がはるかに面白いコメントするから、もうわたくしのところには電話がかかってこないじゃないですか(笑)! くそー、今回も1万円取り損ねた! 

高樹 ははは。

石丸 雑誌のコメントっていうのは、『笑点』の大喜利みたいなものなんだから、読んだ人を、「なんだこのコメント! はっはは」と笑わせたら座布団一枚なんですよ。今、大麻についてのコメントさせたら、日本で1番面白いのは、間違いなく高樹さんですからね。自分が『クッキングハイ』についてのコメントを頼まれても、あんなに面白いことは言えません(笑)。正直、悔しいですよ。高樹さんは胸張っていいと思います。

高樹 ははは。意図しないでも、だんだんそういう方向になってきていますよね。こういうことを言ったら世間の反応はどうなるとか、女優の時と違って今は考える必要がありませんからね。だいいち、もう干されていますからね(笑)

石丸 うーん、たしかに今は芸能界やテレビからは、完全に干されて、からっからの乾き物ですよ。でも、そこが高樹さんの強みです。乾いているのに活き活きと生きている。

高樹 実は、1番面倒くさいのは、“オレは大麻に詳しい”というタイプの人たちなんですよね。そういう人達は、「高樹沙耶のあの雑誌コメント、あれは本心で言ったのか?」とかネット内で攻撃してくる。

石丸 Twitterでも、「利用されたのか。本気で言ったのか。まだまだ見識が不足してるのか?」とか、そんな反応もありましたよ。

高樹 面倒くさいけれど、そういう反応には、説明を返したりしているんです。

石丸 何事も、まじめが過ぎる人っていますからね。

高樹 その人がどういう風に大麻と付き合っているのか、みんなそれぞれ違うし、はっきりとは見えない面があるので、難しいですよ。逆に、大麻に関してよく理解してる人たちは、そうした論争に参戦してこなかったりもするし……。

石丸 真面目に語ってもいいし、ジョークを飛ばしてもいいし、議論してもいいし、黙っててもいいし、自由でいいですよね。自分はいつも、不謹慎だと怒られてます。ああ、なんか今日は、脳内大麻がたくさん出ているような……。

高樹 きっと出てますよ。ほんとは今日は、こないだ体験したばっかりのヨーガの修業とか、石垣島の皆既月食の話をしたかったのに、またま
た大麻の話になってしまいました。

石丸 うーん。次回またいろんな話を~!

――というわけで、『週刊新潮』7月19日号に掲載され、一部日本全国の読者のみなさまへ衝撃をあたえた、高樹沙耶さんのコメントの真相は、こんな感じだったのだ。『週刊新潮』の記者の人をゲストにお呼びしたいとも思ったが、そうもいかんだろう。まあ、みんなで楽しくやりましょう。
(取材・文/石丸元章)


※画像:高樹沙耶

画像:高樹沙耶