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2011年に発生した東日本大震災の影響で起き、現在も収束が見えない「福島原発事故」。あのときから「原発」に対する見方は大きく変わりましたが、私たちが知りたいのは「どの情報が本当で、どの情報が嘘なのか」ということに尽きるのではないでしょうか。事故当時からTV等で原発事故の実態について多くの情報を発信してきた中部大学教授の武田邦彦先生は、自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、日本の事故前にあった冷静さと事故後との対応の違いを指摘しながら、一部マスメディアの原発報道の姿勢についても苦言を呈しています。

厳格な管理を貫いてきた日本の原発。なぜ福島原発事故から一転したのか

日本人は真面目で信頼できる民族でした。だからこそ国も繁栄し、国際的にも好感を持たれています。でも時折、日本人はびっくりした時に腰が砕けてあらぬ方向に行ってしまいます。その一つが福島原発事故でした。

事故の前までは、日本人原子力に対して冷静で、原発もしっかり作り、管理も世界に誇る状態でした。軽水炉という比較的安全な炉を選択し、技術者も真面目に安定した運転をしていました。社会的にも、一般人の被ばく限度(1年1ミリシーベルト以下)、放射性物質の管理(誰もが知っているマークも世界に誇るべき状態だったのです。

このように原発や被爆に対して、日本人は慎重だったので、テレビや新聞も被ばく量が1年1ミリ以下にならなくても、ちょっとした放射性物質の漏洩事故を大々的に報じていましたし、「基準より低ければ安全というわけではない!」と言っていました。また、電力会社も「従業員の被ばく量は1年20ミリ以下と決まっているが、安全を見て1年1ミリ程度に抑える」として、現実に被ばく量を減らしてきました。

ところが、福島原発事故に驚いた政府、原子力関係者、国民は動揺し、それまで国民に言っていたこと、法令の決まりを捨てて、「1年1ミリシーベルトなどという規制はない」「1年100ミリまで大丈夫」果ては、「もともと被ばくは危険ではない」などと180度考えを転換しました。それまで、被ばくに対してはとても厳しい記事を出していた朝日新聞までが被ばくは大したことはない」(署名記事)を出すようになったのです。

さらに、原発事故から7年を経過しても、福島をはじめとした日本国土の汚染状態、海岸の汚染の程度、トリチウムなどの海洋への放出、甲状腺がんになったお子さんの数などの情報はほとんど伏せられています。

現在の日本は原発を再開しようとしていますし、現に2、3の原発は再開していますが、

  1. 被ばく限度が不明になっている
  2. 事故の時にどうするか決まっていない
  3. 事故の後の汚染の調査をやるのかもはっきりしていない

という状態です。政府や電力会社は「せっかく原発があるのだから、動かさないのはもったいない」という経済的理由と、核武装のためには原発を動かしたいという思惑があり、それを表面に出さずに、まるで封建時代のように「由らしむべし、知らしむべからず」の原則を貫いています。