若者の献血離れが深刻だ。10~20代の献血者数はこの20年で半減し、それに伴って総献血者数も減少傾向にある。

日本赤十字社の広報担当社は「社会の少子高齢化に伴い、将来の献血基盤を支える若年層の献血率の増加が重要な課題となっている」と話す。同社は、女優の広瀬すずさんを起用した「はたちの献血」キャンペーンなどで若年層にアピールしているが、なかなか厳しい状況のようだ。

2027年には477万人の献血者が必要だが、今の数字を維持できるのか

献血バス

20代の献血者数は1994年には209万人だったが、2016年には78万人にまで半減。10代の献血者数も93万人(1994年)から25万人(2016年)まで減少した。40~50代の献血者数は微増しているものの、総献血者数は662万人(94年)から483万人(2016年)にまで減少している。

今後、血液の需要が献血量を上回ってしまうことはないのだろうか。日本赤十字社によると、高齢者は輸血用の血液を多く使用することから、社会の高齢化進展に伴い需要は増加するという。

ただ、腹腔鏡下内視鏡手術など出血量を抑えた手術方法が近年発達し、一回の手術で必要な血液の量は減少。また400ミリリットル献血の増加で1人当たりの献血量も増加した。結果として、2027年に必要な献血者数は約477万人になると予測できるという。

2016年の献血者数は483万人。このまま献血者数を維持できればいいが、40~50代が高齢化し、若年層の献血者数が減少を続ければ、どうなるかはわからない。同社の広報担当者は、次のように話している。

「社会の少子高齢化に伴い、将来の献血基盤を支える若年層の献血率の増加が重要な課題となっていることから、今後も継続的かつ安定的な献血協力をお願いしてまいります」

献血者数の減少が報じられる度に、ネットでは"売血"を復活させればいいのではないかというコメントも見られる。しかし同社の広報担当社は、「自らの健康を害するほど頻繁に供血を繰り返した人の健康問題や、そのような頻回供血者の血液から製造された血液製剤の品質低下」といった問題があると指摘する。

400ミリリットル献血の場合、男女ともに50キログラム以上であることが条件

若者の献血者数が減少

厚生労働省が2011年に実施した「若年層献血意識調査」によると、献血をしたことがない理由(複数回答)として最も多かったのは「針を刺すのが痛くて嫌だから」(27.7%)だった。「なんとなく不安だから」も25.9%、「恐怖心」も22.4%に上っている。「献血を申し込んだが、基準に適合せずに断られた」(9.5%)という人も少なくない。

献血には様々な条件があるからだ。200ミリリットルの全血献血の場合、体重は男性45キログラム以上、女性40キログラム以上なければならない。400ミリリットルの場合は、男女ともに50キログラム以上が必要だ。成分献血の場合でも、男性45キログラム以上、女性40キログラム以上が条件になっている。

また献血できない場合がいくつかある。例えば6か月以内に医療機関以外でピアスの穴を開けた場合や、過去6か月以内に不特定の異性または新たな異性との性的接触があった場合だ。

次に、献血するきっかけになり得ることを複数回答で聞いたところ、「針を刺すときに痛みを和らげる処置」が24.2%で1番多く、次いで「献血しているところが入りやすい雰囲気になった」(23.5%)、「献血したときの処遇品(記念品)が良くなった」(22%)と続く。

多くの献血ルームでは、ソフトドリンクが飲めたり、お菓子が食べられたりするほか、漫画や雑誌が読めるところもある。秋葉原にある『akiba:F献血ルーム』では、アニメのオリジナルステッカーの配布なども行っている。様々な工夫が凝らされているが、「針の痛み」という部分でハードルを感じている人が多いようだ。

※画像の出典は『愛のかたち献血 平成30年4月第23版』