6ホイールライフにこそ、“頑張らないキャンプ”の極意が詰まっている

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キャンプ道具をクルマに積み込んで、ドライブを楽しみながら自転車で走りたい道を探す。6ホイールでキャンプをしてみたら、そこには頑張らないで遊ぶ極意がぎっしりと詰まっていた。肩肘を張らないで楽しむ“新しいゆる旅”の形をぜひご覧いただきたい!

What's SIX WHEELS
6ホイールとは、クルマの4輪と自転車の2輪を合わせたもの。その心は? クルマに自転車を積んで目的地まで行き、走りたいところだけ自転車で走るということ。都会の混雑や信号ばかりで進まないストレスフルな区間を自転車で頑張って走るのではなく、そこはクルマに任せてしまう。しかも、6ホイールはドライブも楽しめる。車も自転車もどちらも愛車。好きなものを絞らず遊ぶ生活、それが6ホイールライフの醍醐味なのである。

今回、6ホイールでのキャンプに参加してくれたミニ。オーナーのマツドさんは、普段はメッセンジャーとして都内を毎日100㎞は走るツワモノ。愛車のミニは希少なキャブレターモデルの通称「キャブクーパー」。ルーフキャリアが可愛い。

今回は普段から6ホイールライフを送っている馬場さんとマツドさんのキャンプに同行して、その極意を探ってみた。

馬場さんは、かつてカーディーラー自動車整備士をし、レースメカニックもしていたほどで、クルマへの愛は深い。それだけでなくクルマ同様にオートバイ自転車も複数台所有する趣味の人である。今回は愛車の1966年式ダットサン・ブルーバード1300SSでのご登場。

極意1.
クルマは大好きだからドライブは普通に楽しむこと!


「目的地までクルマで向かう」、この一文には、クルマが単なる移動手段と化していることが滲み出ている。部活の遠征ではないのだから、“目的地までドライブを楽しむ”気持ちを持ちたい。だからこそ、行く先を決める際には、クルマで走っても楽しい場所がいい。だいたい、そこは自転車で走っても気持ちいいのだから。

ダットサン・ブルーバードとミニが自転車を積んで走る。その姿が、日本の原風景にとても馴染むのだ。こんなクルマがたくさん走っていたら街は楽しくなりそうだ。

極意2.
荷物を満載できるからオートキャンプも無理せず楽しむこと!


自転車にフレームバッグをつけて旅をするバイクパッキングも楽しいが、快適なキャンプをするには心もとない。そこは6ホイールの真骨頂。トランクという心強い味方に、キャンプ道具やら遊び道具を満載にすることで、快適にオートキャンプを楽しむことができる。積載量があるってすごい!

極意3.
気持ちがいい場所を見つけた時だけ自転車でライドすること!

海沿いをしばらくクルマで走っていた2人は、海岸沿いにあった駐車場にクルマを停めて、バイクを下ろした。軽装のまま、海へ向かって走り出す。

クルマで走っていると、この海岸線自転車で走ったら最高だろうなとか、この峠の勾配と山の景色は絶対に気持ちがいい、と思うような場所に出くわすことがある。そういう時には、クルマを停められる場所を探して、迷わずに自転車に切り替えたい。いいとこ取りできるメリットを最大限生かそう。

題名「照りつける夏の日差しに、白いTシャツとコカ・コーラ」的な1枚。

桟橋を見つけ、子どものようにはしゃぎながら奥へと向かうマツドさん。自由だ。

極意4.
こだわりの愛車やスタイルを目いっぱい自慢し合うこと!


目的は、ドライブ&ライドではあるが、やっぱり愛車の話題は尽きない。クルマと自転車、それぞれにこだわると自然と6ホイールライフらしさが増してくる。馬場さん曰く、「旧車とロードバイクの相性が好きなんですよ。バランスがいいと思う」のだという。確かに、パッと見て、両方好きなのがわかる。

馬場さんロードバイクは、アメリカンブランドのスペシャライズド。それに合わせて、ボトルゲージもアメリカメイドのKING CAGE irisに。

極意5.
たまにはきれいな風景などにも目を向けること

乗るか走るかだけではなく、風景を楽しむ心の余裕も持っていたい。1泊2日の6ホイールキャンプなのだから、時間はたっぷりある。きれいな風景を写真に撮ったり、観光地を巡るといったオーソドックスな旅の楽しみも満喫すべき。

思わずたそがれてしまうような夕日がゆっくりと海に沈んでいく。空を赤く染め上げる時間は、愛車たちを撮影する絶好のタイミングでもある! そんな1枚を頭に思い浮かべながらクルマでスポットを探すのも、また楽しい。

この時、実はマツドさんがはしゃぎすぎて、桟橋の隙間からサングラスを海に落としてしまい、海に入って拾うかどうかを悩んでいた。この写真は、迷うマツドさんと、それを楽しみながら見守る馬場さんの姿を写した。これも旅の思い出。

極意6.
遊び疲れたら帰りは無理せずクルマで帰ること!


目的地まで自走の場合、思い切り楽しんだとしても、帰りの体力を残しておかなければならない。だが、6ホイールならば、その心配はない。疲れたら、のんびりドライブで帰ればいい。途中でお土産屋に寄る余裕すらあるほどだ。

極意5の写真の答え合わせ。マツドさんは海へ潜り、見事サングラスを取り返したのである。これには一同、大興奮。ちゃんとライフガードの方にお断りをしてのサングラス大捜査線であった。

好きなことを欲張りに楽しむ、6ホイールキャンプはオススメです!
ロードバイクを中心として、自転車ブームもかなりの定着度を見せている。そんな現在の状況のなか、自転車乗りの間でしばしば話のネタになるのが、例えば都心を抜け出して峠を走ろうとなったとき、目的地となる峠の麓まで、自転車で自走するか、クルマで行くかの選択である。目的地まで遠ければ遠いほど、この話題は盛り上がる。

自走の場合、当然疲れる。けれども、目的地に集合したときに、「自走で来たんだよね」とやや自慢気に話すことができる。一方、そこまでクルマで来た人は、「へえ〜」と走り出す前からなんとなく敗北感を味わうことになる。そんな光景がよくある。

今回、極意として紹介した6ホイールライフでのキャンプは、そうした“自走か、クルマか論争”(論争は言い過ぎだが)に一石を投じるほどに、ゆるく、そして楽しいのである!

最近、バイクキャリアを載せて走るクルマを街でよく見かけるが、中にはゴリゴリのレース志向の方が、レース会場まで効率良く向かうケースもある。それは今回の6ホイールライフとは趣向が違うのかもしれない。

重要なのは、移動手段としてのクルマではなく、クルマとドライブも楽しむということだ。今回キャンプに同行させてもらった馬場さんはこう語る。

「普段は冬場のシクロクロスのレースに6ホイールで行きますよ。その時に、僕はクルマも好きだから、どちらも楽しみたいんですよね。今回のように、特に目的地も決めずに走りながらライドして、日が暮れたらキャンプするっていうのも、自由な感じがしていいですよ」

マツドさんも、シクロクロスのレースでは上位のカテゴリーで走る強豪選手。昨年は14日間で日本列島を約3000㎞走る自転車イベント「ジャパニーズ オデッセイ」を完走している。その際は、荷物を最小限に納めて、野宿状態で夜を過ごすこともあった。それと比べようもないが、あえて比べてもらった。

「あれはもはやサバイバルでしたからね。それに比べたら、6ホイールでのキャンプは最高に快適です。頑張る必要がどこにもない!」 
 
マツドさんの愛車であるミニに載っているキャリアは、実はマツドさん自身がミニのサイズに合わせて、市販のキャリアに手を加えて作った半ハンドメイド品。そこに自転車を括り付けて運ぶ。ここにも誇るべき6ホイールライフがある。ミニのトランクには、自転車で3000㎞走ったときにはなかったキャンプ道具がしっかりと収まっていた。

6ホイールライフは、好きなことを欲張りに楽しむ心が大切で、それは6ホイールでキャンプをすることによって、より強く実感できる。もし、自転車で走る決まったコース、見飽きた景色、薄れゆく機材への愛をどうにか変えたいと思ったら、いや、そうでなくても、6ホイールキャンプはオススメです!

【秋は“後ろ向き”にポジティブ!頑張らないキャンプ

いわゆるキャンプは苦手だ!わざわざテントを張るのも大変だし、苦労して火を起こして料理を作ったり、挙げ句の果てに虻に刺されたり……。でも、そんな面倒臭がり屋な人でも、自然のなかでまったりはしたいし、みんなでごはんを食べたり、星空を眺めたり、川で遊んだりするのは好きだったりする。だいたい日々忙しく生活しているのに、なんでたまの休みに行くキャンプで頑張らなきゃいけないのか? 今回はそんなわがままなインドア派でも、一切頑張らないで楽しめる新定番キャンプ術を紹介します。

※『デジモノステーション』2018年10月号より抜粋。

text頓所直人

photo下城英悟(GREEN HOUSE)
(d.365
掲載:M-ON! Press