1_e1

image credit:commons.wikimedia

 母なる地球の大地には多種多様な生き物が暮らしている。どの種も自然を維持していく上で何らかの役割を持っているのだ。

 中でも地球の清掃係として知られるヒゲワシは「リサイクル上手」でもある。

 ヒゲワシは動物の死骸などを主な食料とするのだが、ヒゲワシがその死骸を処理してくれなかったら、恐ろしい伝染病が世界にはびこっていただろう。

―あわせて読みたい―

猛禽伝説。自然界のスーパーハンター、最強の猛禽類トップ10(捕食注意)
猛禽最強。ワシについての驚くべき10の事実
先輩超かっこいいっす!猛禽類最大の鉤爪と握力を誇る、生粋のプレデター「オウギワシ」
永久保存版:リアルに生きる猛禽類たちを捕えた鮮明高画質動画「BIRDS OF PREY 4K」
生きる為に狩る。野生の猫のハンティングスキルを激写したドキュメンタリー映像

巨大な猛禽類、ヒゲワシ

 ヒゲワシは、タカ科ヒゲワシ属に分類される巨大なワシである。全長115センチメートルくらいだが、翼を広げると3メートル近くになる。

 喉部から、ヒゲのようにふさふさとした黒い羽毛が生えていることから「ヒゲワシ」と呼ばれている。

 ヨーロッパ南部、コーカサスアフリカインド亜大陸、チベットの高い岩山に生息している。

 英語では「ラマールガイル」と呼ばれているが、これはドイツ語で「ヒツジワシ」を意味する。昔の人ははヒゲワシが羊を狩っていたと考えていたからだ。

 アラビアンナイトに登場する怪鳥ロックは、この鳥がモデルという説もある。

iStock-147302347_e

死骸の肉だけでなく骨すらも食べて消化する

 人気の無い道路に動物の死骸を見つけたとしよう。だが一夜あけると跡形もなくなくなっているころがある。それはヒゲワシが死骸を処理してくれているからに他ならない。

 ヒゲワシはタカ科の中でも特異な性質を持っている。彼らは主に動物の死骸の腐肉や、栄養価の高い骨髄を食べる。

 彼らは動物の骨も栄養分に変えて処理することが出来るのだ。

 小さい骨は丸呑みして、強力な胃酸で骨もろとも骨髄を消化する。一度に飲み込めないほどの大きな骨や亀の甲羅などの硬い獲物は、上空から岩の上などに落として割り、飲み込みやすいサイズにしてから食べる。

iStock-178368624_e

なぜヒゲワシは死骸の骨を栄養に変えることができるのか?

 成熟したヒゲワシの約80%が、動物の肉を食べずとも、骨だけ食べて、それを栄養に変えて消化吸収できるという。

 これは他の猛禽類との生存競争の中で獲得した彼ら特有の能力である。

 この特有の能力はどのようにして身に着けていったのか?

 大昔、ヒゲワシの祖先が偶然獲物を地面に落とした時、獲物の骨が真っ二つに割れ骨髄が露わになった。賢いヒゲワシの先祖はそこから栄養分が補えることを学び、遺伝子に刻み込んでいったのではないかと言われている。

 大自然によって引き起こされる進化というのは偶然の連続によって発生するものだ。


Wild African vulture birds scavage bones of dead animals - BBC wildlife

ヒゲワシの高度な知能と驚くべき消化能力

 またヒゲワシが素晴らしいのはその頭脳である。

 一度に口に入れることのできない大きな獲物は上空50~80メートルの高さからから落として岩に叩きつけて砕くのだが、彼らは岩に叩きつける角度や風向きやスピードをきっちりと計算しているのだ。

 更にヒゲワシの胃の中には強力な酸が存在する。これはヒゲワシの食事である骨を溶かすための進化であり、一度に4キロほどの食料を消化できるという。

真の知性とは、知識ではなく創造力である
アルベルト・アインシュタイン

 天才物理学アインシュタインが正しいとするならば、我々人類も、動物たちの発想と機転を理解し、自らの創造力を鍛える必要があるだろう。

References:everwideningcircles/ written by riki7119 / edited by parumo

こちらもオススメ!

―動物・鳥類についての記事―

ヒゲワシにサンキュー!動物の死骸を跡形もなく処理、その骨も砕いて食べる「地球の清掃係」 ヒゲワシはリサイクルの達人
愛するものと引き離され、捨てられた悲しみからなのか?涙を流す犬の姿が人々の心を打つ(アメリカ)
大好きな犬に起きてほしい猫。様々な猫手法を使い根気よく起こそうとする。
猫の手も借りたい!子だくさん14匹、子育てを頑張るお母さん猫の奮闘ぶり
廃棄された列車内で生まれたマヌルネコの赤ちゃん。母親とはぐれた為人間の手による子育てが開始される(ロシア)

―知るの紹介記事―

スターバックスがイタリアで初出店、伝統的建造物内に建てられたその店がクラシカルでラグジュアリー!
コンピューターで設計するツール「CAD」ができる前、製図台で図面を描いていたエンジニアたち
パンの為じゃなくビールの為?古代に農業が発達したのはビールが飲みたかったからという研究結果(米研究)
第一次世界大戦で顔を負傷した兵士たちの為に、オーダーメイドのマスクを次々と作り上げた善意の女性彫刻家(アメリカ)
死者の霊が関与した?世にも奇妙な死を遂げた世界10のケース
ヒゲワシにサンキュー!動物の死骸を跡形もなく処理、その骨も砕いて食べる「地球の清掃係」 ヒゲワシはリサイクルの達人