F1シンガポールGPが目指すのは米NFLスーパーボウル

 F1シンガポールグランプリ(GP)はルイス・ハミルトン(英国、メルセデスAMG)がポールポジションから逃げ切り、今季7勝目。年間王者に大きく近づく快走で、盛大に幕を閉じた。「アジアモナコ」とも称される3日間の祭典は11年目を迎えたが、例年以上の盛り上がりを見せた。

 都市国家シンガポールが世界に誇る開発地区「マリーナベイ」で夜に行われるシンガポールGPはまさに夢の舞台だ。2年連続で優勝したハミルトンは「このレースは毎年シーズンクライマックスのひとつになる。素晴らしい街、美しい夜景の中で行われる。その上コーストリッキーだ。まさに俺好みのレースなんだ」と絶賛していた。

 シンガポールGPの魅力のひとつは何と言っても他のF1レースには無い、スポーツ界最高レベルの超豪華かつ、最先端のホスピタリティだ。

 人気歌手ジャスティン・ビーバーサッカーイングランド代表MFデービッドベッカムといった世界的セレブから、一般のF1ファンまで世界中の人々が集う色鮮やかな空間。アジアレベルを超越し、ワールドクラスの“おもてなし”を演出している。

 運営会社シンガポールGPのPR担当スチュワート・ベル氏はスポーツ界で最も価値の高いイベント、米NFLスーパーボウルを目標に掲げている。

スーパーボウルは試合中だけでなく、スタジアムの外や周辺、開催地全体として最高潮に盛り上がる。その裏にはリーグ全体としてイベントを盛り上げようという強い意識がある。F1が目標としているのは1年中、21か所全てのグランプリ会場でスーパーボウルのような雰囲気を作り上げることだ」

 ベル氏は「THE ANSWER」の取材に対し、こう語ってくれた。

 5種類あるシンガポールGPのホスピタリティパッケージの中でも、大会主催者イチ押しのプログラムが、今年から新たに提供された「Twenty3」だ。料金は様々で、フリー走行が行われた14日のみのチケットは955シンガポール(S)ドル(約7万8000円)。予選の15日は2055Sドル(16万8000円)で、最終日16日は3855Sドル(31万4000円)。3日間のパックは5565Sドル(45万4千円)にも上る。

贅を極めたホスピタリティ東京五輪の参考に!?

 強気な価格設定だが、「Twenty3」のサービス内容は凄まじいものがある。マリーナベイ・ストリートサーキットの最終コーナーに用意されたエリアは、もはや単なるスポーツ観戦のための客席ではなく。それはF1の世界を体験できる非現実的なエリアと呼んでも過言ではないかもしれない。

 シャンパンで出迎えられ、星付きのイタリアンフレンチ、中華のレストランが目玉の2階建て「Apex Lounge」へ案内される。手軽に食事を済ませたい人には外でシンガポール名物のホーカーフードも用意されている。23種類のスコッチが飲める専用バーまである。全てが至れり尽せりの食べ放題、飲み放題だ。

「Twenty3」のパスがあれば、サーキット内全ゾーンアクセスできる。そして、世界的なアーティストが出演する前夜祭も特設デッキから見ることができる。前夜祭には過去に、ケイティ・ペリーマルーン5、ファレル・ウィリアムズパフォーマンスを行い、今年は元オアシスフロントマン、リアム・ギャラガー、米ロックロックバンド「ザ・キラーズ」、そして日本からは4人組人気ユニットSEKAI NO OWARI」も参戦した。

 バルコニーに出れば目の前は爆音が響く音速のサーキット最高速度が時速370キロを超すマシンを肌で感じることができる。花火、表彰台でのシャンパンファイトを含むレース後の盛大なセレブレーションに、まさに参加している気分を味わえる。

 シンガポールGPに足を運ぶ、国別観戦者の統計では、日本人も10位にランクインしている。贅を極めたホスピタリティで評価を高める夜のF1に、魅せらせている日本人ファンも多い様子だ。

 2020年東京五輪が行われる日本。世界各国のモータースポーツファンが集結し、ブランド力を着実に高めているシンガポールGPのド派手な演出、そして、ゴージャスなホスピタリティも、大会成功に向けて大いに参考になるかもしれない。(THE ANSWER編集部)

シンガポールGPの魅力のひとつは、豪華で最先端のホスピタリティだ【写真:Singapore GP Pte Ltd】