好きな女性の寝床に忍び込み行為に及ぶ「夜這い」

夜中に、主に男性が女性の寝ている所にいきエッチな行為に及ぶ「夜這い(よばい)」。日本古来から行われていた行為です。

万葉集には「他国によばひに行きて太刀が緒もいまだ解かねばさ夜ぞ明けにける」という一文があり、「よばひ=よばい」という言葉が使われています。ここで使われている「よばい」とは求婚を意味する「呼ばう」で、これが「夜這い」の語源と言われています。また、暗い夜に這うようにして相手の寝床に忍び込むことから「夜這い」と言われるようになったという説もあります。

夜這いは戦後まで続いた!?

さて、日本において夜這いが行われていたのはいつ頃までだと思いますか?江戸時代明治時代いえいえ、実は大正時代ごろまで夜這いは続いていたそうです。村によっては戦後まで行われていたところもあるんだとか。

江戸時代には風俗の乱れなどを懸念し夜這いを禁止する法令が出され、明治時代になると明治維新にともない西洋の考えも多く取り入れられることになり、近代化や道徳の向上目的などもあり、夜這いが全面的に禁止されることになりました。

事前に男女で約束を交わしていた夜這い

一口に「夜這い」と言っても時代や地域によってその方法には違いがあり、村ごとに夜這いのルールというものが存在していたようです。「夜這い」と聞くと、男性が女性の寝床に侵入し強引に行為に及ぶものと思っている人も多いかと思いますが、実際には、事前に女性と口約束をしてから夜這いを決行することがほとんどでした。強姦、レイプとは違いました。

女性は夜這いを仕掛けられた時に断る権利もあり、女性が断れば男性は夜這い失敗となります。夜這いのルールは村社会の中で決められていることもあり、男性は、ルールを破れば村八分にされる可能性もあるわけで、夜這いと言ってもオラオラよろしく”自由に”、”強引に”と簡単には行かなかったわけです。

かといって草食系では、夜這いに勤しむ男子たちに次々とお気に入りの女性を取られてしまうわけで、このあたりは現代と同じく押し引きの駆け引きが大切なんですね。

親も公認の夜這い

夜這いの文化は古くから村々で代々受け継がれてきたものなので、夜這いをする男性の親、夜這いをされる女性の親もまた夜這い経験があるわけです。なので、夜這いを行いやすいように、あえて戸締まりをしないこともあったそうです。村によっては戸締まりを禁ずることもあったとか。

親も夜這いの経験があり、夜這いは村では当たり前の文化なわけですから、夜這いに一度も合うことのない娘を持つ親は、「これほどまで夜這いに合わない娘には問題があるのでは?」と心配をすることもあったそうです。

現代に生きる身からすると信じられない「夜這い」ですが、「夜這い」は結婚に至るまでのひとつの形式的な行為だったのかもしれませんね。

関連画像