8月4日~5日に三重県桑名市石取祭が開催された。国指定重要無形民俗文化財で、2016年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして記載されている石取祭は、「日本一やかましい祭り」と称される。その理由は、太鼓に加え、鉦(かね)が打ち鳴らされる音。まさに轟音といえる圧巻の祭りだ。
また、近年では受入体制が充実し、外国人観光客も増えている。伝統を守りつつも時代性を持った石取祭に今後も注目したい。
 


■石取(イシドリ)祭とは
 8月4日(土)、8月5日(日)と三重県桑名市で伝統の石取(イシドリ)祭が行われた。
 桑名石取祭は国指定重要無形民俗文化財で、2016年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして記載されている。社地整備のため、神社へ石を奉納したことがこの祭りの名の由来で、市内南部を流れる町屋川の清らかな石を取って氏神である春日神社(桑名宗社)に奉納する神事である。祭車(さいしゃ)は、もともと石を運ぶための車が発展して今の形となっており、現存する日本最古の祭車と言われる。また、同年にユネスコ無形文化遺産に記載された33の祭の中で、40台もの祭車が参加しているのは桑名石取祭のみである。

■「音」で魅せる祭
 祭車およそ40台が会し、太鼓に加え、鉦(かね)が打ち鳴らされる光景が特色的だ。そのけたたましい轟音からついた呼び名は「日本一やかましい祭り」。
 その音量はコンサート会場と同等以上で、リズムは『石取囃子』と言われる「五つ拍子」と「七つ拍子」に大別される。強烈な音量と繰り返されるリズムは圧巻で、耳でも楽しめる稀有な祭といえる。
「音」を強烈に感じられるのは、土曜日の午前0時から行われる「叩き出し」だ。宮司の神楽太鼓の合図を待って、一斉に鉦と太鼓が叩き始められる。最初の太鼓音に近い組から一斉に太鼓と鉦を打ち鳴らしていく。各祭車での叩き出しへ波のように広がっていく様子は圧巻だ。

鉦(かね)
桑名石取祭保存会 伊藤守会長
■伝統の堅持と時代性への適合
 桑名石取祭保存会の伊藤守会長は、「石取祭はあくまでも、御神事であるという事は伝統として守り続けたいし、そこは変える事は無い。」と語る。一方で、「時代に応じて変えられる部分は今まで以上に、積極的に適応できていた」とも語る。
体験をする外国人の様子

その象徴が観光客の受入体制の充実だ。2016年のユネスコ無形文化遺産記載を機に近年外国人観光客が増加中である事からも、一気に意識が変わっている。「数年前までは閉鎖的な祭という側面もあり、外からの人を受け入れる事には時間がかかった。しかし、現在は外部の方が祭に携わる事に対して、関係者は皆歓迎ムード。」である。叩き出しの際には、実際に太鼓を叩く外国人観光客の様子もみられた。

 伊藤氏がその思いを強くしたのは「市に対して恩返しをしたい」思いからであり、「祭関係者は祭が大好きで当たり前。しかし、新しく桑名市に住み始めた人が祭をみて、歴史性や文化性を感じてもらいたいなと考え、市に住んでいる誇りを抱いてくれたらより一層嬉しい」と、祭りを通じて地元桑名市の発展に貢献したいという思いが原点だ。そのために、「内部(祭関係者)には品格を上げる事を重視して、外部に対しては積極的に情報発信を行う事を心掛けている」等、時代性に適合しながら進化している。

40台を超える祭車の数が並んだ景色、圧倒的な音量と伝統のリズムが体感できる石取祭は、例年8月第1日曜日とその前日の土曜日に開催されている。

石取祭の様子(ポニーキャニオン公式YOUTUBEチャンネル内)
石取祭~日本一やかましい祭り~(三重県桑名市)』
https://youtu.be/gmnLluDsM8s

桑名石取祭保存会HP
http://isidori.jp/

配信元企業:株式会社ポニーキャニオン

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