10月7日から放送されるWOWOWのスペシャルドラマ「尾根のかなたに~父と子の日航機墜落事故~」の完成披露試写が4日都内で行われ、出演者の伊勢谷友介、松坂桃李玉山鉄二、緒形直人、石田ゆり子らが舞台挨拶を行った。

伊勢谷友介、松坂桃李、石田ゆり子らが登壇したWOWOWドラマ「尾根のかなたに」舞台挨拶の様子

 1985年8月12日に発生した民間航空史上最悪の惨事、日本航空123便墜落事故で大切な人を失った3つの家族の27年を描いた本作。豪華な出演者たちに加え、「沈まぬ太陽」で日本航空をモデルとした航空会社の内情を描いた若松節朗監督、「おひさま」「ちゅらさん」他数々の秀作ドラマで知られる脚本家の岡田惠和が参加したWOWOWらしい秀作ドラマだ。

 歯医者である厳格な父親が123便に乗りあわせ、父のみならず多くの犠牲者の身元確認をすることになる若き歯科医を演じた伊勢谷は、「大きな災害というと、僕自身も現地に入って被災者の皆さんを支援した3.11をすぐに思い出しました。検視を通じて人の亡骸に接すると想像できないぐらい重い気持ちになりますが、美術が素晴らしかったこともあり、自分の中に気持ちが入って来ました」と、撮影を振り返る。「私達はどこでどうやって死ぬのか分からない中、今どうやって生きているのかがとても大切だと思います。もし僕が死んだら、残された人たちは絶望するかもしれませんが、残された人たちが生きていけるように精一杯生きていかないといけないと思います。心苦しい事故を描いていますが、そういったことを皆さんに伝えたいと思います」と、本作の魅力をPRした。

 母親と妹を一緒に事故で失った9才の気弱な少年のその後を演じた松坂は、「僕が生まれる前の話で、父や母からすごい事故だったと聞きましたが、暗いだけではなく、未来に向かう役にしたいと思って参加しました」と役作りについて語ったが、3人の息子の父親役を演じたことを聞かれると、「男の子が3人いるとほんとうに体力を使いますね。僕の理想の父親像は子供が背中を見て育つようなタイプですが、実際の僕の父親は正反対の穏やかな性格なので、きっと僕も結婚したら尻に敷かれるようになると思います」と語り、場内は笑いに包まれた。

 何でも頼りっきりだった夫が事故死、子育てに注力するあまり精神的なバランスを失ってしまう未亡人を演じた石田は、「岡田さんの書かれた脚本は辛い内容ですが、とても心を打たれてこれはやらせていただきたいと思いました。若松監督の率いるチームは本当に素晴らしくて、あたり前のことですがひとりひとりがプロで。最近はなかなかそういう現場がなくて…ごめんなさい、今のは失言ですが(笑)、そのぐらい素晴らしいチームでした」と、天然ぶりを発揮した。

 ドラマWスペシャル「尾根のかなたに~父と子の日航機墜落事故~」は、WOWOWにて10月7日(日)夜10時前編、10月14日(日)夜10時後編を放送。

(左奥)脚本家の岡田惠和氏、緒形直人、石田ゆり子、若松節朗監督、(左手前)玉山鉄二、伊勢谷友介、松坂桃李