Point
・急いで物事を決めなければならない時、利己的な人はより利己的に、利他的な人はより利他的に行動すると判明
・逆に十分に考える時間があると、複数の選択肢の中から自分が取るべき行動をじっくりと吟味できるため、人は元来その人が持っている本性に反する行動をとる
・人の行動様式は、個人が元来持っている性質に大きく依存する

忙しいとつい周囲に厳しく接してしまったり、逆に心にゆとりがあると人に優しく接したり…といったことは、しも経験があることではないでしょうか。

過去の研究では、時間が制限された条件下において「人はより利己的になる」という説と、逆に「人はより利他的になる」という説の両方が混在しており、相は長い間明らかにされていませんでした。

しかしオハイオ州立大学と浙江大学の最新の研究で、物事を急いで判断しなければならない状況では、「利己的な人は通常時よりさらに利己的に」、「利他的な人は通常時よりさらに利他的に」行動することが判明。どうやら「元々の性質がより強調される」という結果になるようです。研究結果は“Nature Communications”に掲載されました。

今回の研究で示されたのは、「人は判断する時間があまり与えられていない時、類似した状況でこれまでに取ってきた行動に沿って行動する」ということです。人はもともと「自分中心であること」と「他人に配慮すること」のどちらかを良いとする先入観を持っており、急ぐ場面ではその先入観、つまり「本性」に一致した行動をとる傾向があります。これに対し、余裕を持って物事を決められる状況下では、その本性に反した行動をとる傾向が強くなります。自分が取るべき行動を、複数の選択肢の中からじっくり検討することができるからです。

これらの研究結果は、米国ドイツ大学生102名を対とした実験から導き出されました。参加者たちは、行動経済学実験でよく用いられるゲーム200回実施。被験者は毎回、見えない相手と「コンピュータ上に表示された額」を分配する方法を、2つの選択肢から選ぶ必要があります。たとえば、自分が95ドルを得て相手が18ドルを得る選択肢と、自分が85ドルを得て相手が21ドルを得る選択肢のどちらかを選びます。

どちらの選択肢も被験者の取り分が相手より多くなるように作られていましたが、どちらかの選択肢はもう一つの選択肢べて相手の元により多くのお金が渡るよう作られていました。被験者は、相手の利益を増やすために自分の取り分を諦めるかどうかを判断し、自分と相手が持つ額の差を減らさなければなりませんでした。

被験者は選択肢を選ぶのに大変な苦労を強いられました。たとえば、相手の利益を10ドル増やすために、自分が1ドルを諦めなければならないケースがありました。また、相手の利益を3ドル増やすために、自分が1ドルを諦めなければならない場合もありました。さらに別のケースでは、被験者はより大きな犠牲を払う必要がありました。これは、相手の利益を3ドル増やすために、自分が10ドルを諦めなければならなかったときなどです。

この実験ポイントは、被験者が分配方法を決定するのに与えられた時間が、その都度異なったということです。制限時間のパターンは、2以内に決定しなければならない時、10以上待たされてから決定しなければならない時、自分のペースで決定してよい時の3つです。

時間的なプレッシャーがある状況下では、自己中心であったり、他人を顧みたりと、その人が元来持っている性質が拡大されました。つまり、時間が限られていて急ぐようなシチュエーションでは意思決定の時間がほとんどないので、もともと持っている行動様式の傾向や先入観に、人は通常時より大きく依存するということです。

一方で、決定までに長い時間を与えられた場合は、状況が異なりました。元々持っている本性に応じて利己的または利他的に行動するだろうと思いきや、そうではなかったのです。これは、じっくり考える時間があるため、先入観に対抗する理由を吟味することができるからです。

 

私たちの行動が、個人が元来持っている性質にどれほど依存しているかよくわかりますね。仮に、元来あなたが自己中心的な人で、十分に考える時間が与えられているとしたらどうでしょうか?あなたがたったの1ドルを諦めることで、相手が20ドルを得ることができるとしたら…?もしかしたら自分の先入観に背き、相手に有利になるように行動するかもしれません。

 

内向的な人は「不機嫌」な時に生産性が向上する

 

via: medicalxpress / translated & text by まりえってぃ

 

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