小型で省エネ、自律的な昆虫ロボットは、災害時の捜索や救助活動などでの活躍が期待される技術だ。

小型ロボットのプラットフォームとして昆虫を利用すること自体は目新しいものではなく、この10年にさまざまなものが開発されてきた。ただ、小型で制御が正確なシステムの構築は簡単なことではなく、まだ実用化には至っていない。

そんななか、コネチカット大学(UConn)の研究者らが、従来の昆虫ロボットに比べて正確な制御を可能にするシステムを開発した。

・ゴキブリの触覚に電気信号を送って制御

サイボーグ化するゴキブリには、マダガスカルに生息するゴキブリを採用。バックパックのように取り付けられたマイクロ回路からワイヤーが出ていて、これがゴキブリの触覚に取り付けられている。オペレーターBluetoothを介してサイボーグゴキブリを制御する。

触覚に微弱な電気信号を送るとゴキブリは、障害に遭遇したと勘違い。左の触覚に電気を送ると右に、右の触覚に電気を送ると左に動く。

同様の制御システムは他の研究機関でも開発されているが、UConnのマイクロ回路は、マルチチャネルによる刺激で昆虫の動きを細かく制御できるのが特徴だ。

マイクロ回路には、前後・左右・上下の6自由度(6DoF)に加え、進行コースや回転加速度およびその向き、の9軸を検出することができるユニットを搭載しており、これが制御の精度を高めている。

また、刺激に対しての反応がリアルタイムでフィードバックされることも他にはないポイントだろう。

・リアルタイムフィードバックにより最適なパラメーターを決定

研究では、同じ刺激を与えてもゴキブリの反応は減少することが見いだされた。また、周りの温度がゴキブリの動きに影響を与える(暖かいと出歩きやすい)ことがわかった。

こうした制御性の変化を考慮する際にはリアルタイムフィードバックが役立つ。すなわち、昆虫の神経的な反応を見ながら効率よく制御するための刺激パラメータが設定できるというわけだ。

精密な操縦を可能にする同システムは昆虫のサイボーグ化技術にとっての大き前進。実際の災害現場での活用に向けた応用研究に注目したい。

参照元:A Cyborg Cockroach Could Someday Save Your Life/UConn Today

ゴキブリをサイボーグ化…Bluetooth接続で動きをコントロール