Nintendo Switch用ソフト『New スーパーマリオブラザーズ Uデラックス』がリリースされ、キノピコが新アイテム・スーパークラウンを取って「キノピーチ」に変身できることの連想で、クッパピーチ姫に変身した「クッパ姫」になるというイラストが、『Twitter』などに多数投稿されています。

参考記事:『Twitter』で「クッパ姫」が突然大流行! 『ポプテピピック』の大川ぶくぶ先生も「参戦」
https://getnews.jp/archives/2080702 [リンク]

創作SNS『pixiv』では既に4700点以上の作品がアップされている「クッパ姫」ですが、シー・アール・エムが運営するオリジナルグッズ専門店『アクリルグッズの達人』(@acryl_tatsujin)が次のような注意喚起をしています。

トレンドのクッパ姫が大変盛り上がっておりますが、
弊社では任天堂さんの作品、キャラクターの二次創作の印刷は控えさせていただいております。
スプラトゥーンのマイキャライラストも多くご入稿いただいておりますが、同様の理由で全てお断りしております。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。

『アクリルグッズの達人』は続けて「公式さんと見間違うようなイラストはお断りさせていただく場合がございます」「二次創作への認識が甘い方が多く見受けられるので、会社自体を守る意味を込めましてもお断りをさせていただくことがございます」としています。

任天堂法務部最強伝説の端緒になった事件として、1999年に『ポケットモンスター』の同人誌通信販売していた女性が逮捕・起訴、さらに印刷会社社長が書類送検されたことが挙げられます。当時作られたホームページに次のような任天堂側のコメントが掲載されたことにより、「任天堂は同人に厳しい」というイメージが広がることになりました。

・小さな子供に対する悪影響を非常に心配している。
不特定多数の人々の間で、同人誌やグッズが売買されているような状況は、著作権法上許される「私的使用」の範囲を明らかに超えている。
・どのような種類の同人誌やグッズを問題視するのかという点については、キャラクターの種類、グッズの形、内容、発行(製造)部数、取引形態等を十分吟味し、総合的に判断する。

また、2010年の株主総会で当時の岩田聡社長は「ファン活動と知的財産の扱い」についての質問に以下のように答えています。

知的財産を脅かす行為をあらゆる面で黙認しますとは、当然申し上げられませんし、一方で当社に好意を持っていただいて何かしただけで、まるで「任天堂は自分を犯罪者扱いするのか」というような対応もまた不適切かと思います。表現の中には、私どもの知的財産の品格をおとしめるような明らかに度を越えたものや、あるいは事実と異なるものと組み合わせてその知的財産の世界観を破壊してしまうようなものも当然ありうるわけです。社会との中で折り合いがつき、私どもの知的財産の品格や価値がおとしめられない表現かどうかというのが、一つの判断点かと思います。ただ、判断が非常に微妙な要素も持っておりますので、一律にこういう線を持って私どもはこの場合はこうしてこの場合はこうしますということは申し上げにくいです。

一方で、『ポケモン』だけでなく『妖怪ウォッチ』『スプラトゥーン』など任天堂作品の同人オンリーイベントが定期的に開催されており、「ファン活動を狭めることはしない方がいい」「即アウトというのはかけ離れている」といった意見も上がっています。ただ、「グレーだからOKというわけではない」「安心できるというのは違う」「大目に見てもらっているという意識が必要」といった声も寄せられています。

既にSNSでは成人向けの「クッパ姫」イラストが国内外で多数投稿されていますが、子ども向けのコンテンツを展開している任天堂がファミリーセーフティーに注意を払ってきたという経緯を理解しておくべきでしょう。いずれにしても、今回の「クッパ姫」の一件で改めて同人活動のあり方を考えるきっかけとなったのではないでようか。

※参考 ポケモン同人誌事件 任天堂のコメント
http://web.archive.org/web/19991012212923/http://nitiyo.neko.to:80/zine/poke/poke19990408.htm

※参考 2010年6月29日(火)第70期 定時株主総会 質疑応答(任天堂
https://www.nintendo.co.jp/ir/stock/meeting/100629qa/05.html

※画像は『Twitter』より
https://twitter.com/acryl_tatsujin/status/1044393733540601856

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