富士キメラ総研は21日、デジタルトランスフォーメーションの国内市場(投資金額)調査結果を発表。製造や金融を中心に市場が拡大しており、2030年度には、17年度比4.2倍の2兆3,687億円に市場規模は拡大すると予測している。

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、AIなど最先端の技術を活用して、既存のビジネスを変革したり、新たなビジネスを創出することとされている。

 業種別にみると、製造では、スマートファクトリーやサービタイゼーション(モノのサービス化)への投資が加速。特にサービタイゼーションは監視の対象として単一の装置であることが多く、導入が進んでいるという。

 金融も投資が拡大。AIやIoT、チャットポッド音声認識など次世代コンタクトセンターへの投資が拡大しているという。今後は資産運用のロボアドバイザーや個人資産管理アプリへの投資も加速していくとみられ、新規ビジネスの創出も期待されているという。

 流通はRFIDやモバイル端末、AR/VR技術を活用した店舗が煩雑なレジ業務の削減や効率的な在庫管理を促進するために積極的な投資が進むとしている。医療/介護はAI活用画像診断支援や遠隔画像診断サービスを中心に広範囲にニーズがあることから投資が拡大するという。

 交通/運輸はセーフティドライブの観点から、映像データを用いた運転状況分析やウェアブルデバイスによる乗務員の身体異常を検知する分野への投資が拡大するとしている。今後はビッグデータを用いた交通情報やタクシーサービスの需要予測などの領域での投資も期待されている。

■量子コンピューティング 

 注目基盤技術としては「量子コンピューティング」を挙げており、30年度には17年度比28.6倍の2,950億円に拡大すると予測している。現状は基礎研究が市場をけん引しているが、今後はサービス化に向けた応用研究の投資も進むとみられ、市場が拡大していくと見込む。

 20年頃には「量子ゲート方式」のクラウドサービスの登場が期待され、量子コンピューティングを活用したアプリ開発への投資拡大も期待されている。