イグ・ノーベル賞とは 「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞です。過去にバウリンガルたまごっちが受賞し、聞いたことがある人も多いのでは。

東京ドームシティGallery AaMoで11月4日(日曜)まで、イグ・ノーベル賞の展覧会「イグ・ノーベル賞の世界展」が開催。実は世界初の公式展覧会でもあるんです!




これがイグ・ノーベル賞の創設者だ!
オープニングセレモニーでは、なんと創設者であるマークエイブラハムズさんが登場。イギリスと並んでイグ・ノーベル賞受賞者が多い日本での開催はとてもうれしいとのこと。



そして、同展覧会のオフィシャルアンバサダーのテリー伊藤さんが登場。日本の受賞が多い理由はヤラセじゃないのか? と冗談交じりに質問します。それに対してマークさんは、日本はエキセントリックな人が多く、他の国と違いそうした人を処罰せずに重宝してきた点が優れていたのではと回答。

ちなみにマークさんも、会話中に突然テリーさんに帽子をかぶせたり、持ってきたしおりを客席にバラまいたりと、なかなかエキセントリックです。



堂々勢ぞろい。日本が誇るイグ・ノーベル賞受賞者
そして、最新のイグ・ノーベル賞受賞者の登場です! 2018年の医学教育賞を、大腸の内視鏡挿入を容易にするため内視鏡スコープを自ら大腸に挿入することを研究した功績で受賞した堀内朗さん。



授賞式でのスピーチでは、実は待ち時間に咄嗟に内容変更を思い立ったという裏話を教えてくれました。その結果、検査を実演する姿が話題となり世界中で注目を集めることに。研究については「恥ずかしいと思ったことはなく、真面目にやってきた。ただ少しユーモアを交えたほうが心が開いて伝わりやすい」とのこと。

イグ・ノーベル賞の神髄かもしれません。そして内視鏡検査、みなさんもぜひ受けてみてくださいね

ここからはイグ・ノーベル賞の授賞式を再現。MCは本家同様にマークさんです。



まずは2005年の受賞者「ドクター中松」こと中松義郎さん。35年間に渡り自分の食事を毎回撮影して影響を分析し続けました。




本家と同様にここでのスピーチ時間もわずか1分。「寿命は長く。スピーチは短く!」と見事にキレのある一言にて、まとめました。

続いては2002年の平和賞。イヌ語を翻訳する「バウリンガル」を開発したメンバーの1人である鈴木創さん。ビシッとしたスーツ姿で登壇しましたが、本家授賞式では犬の着ぐるみを着ての登壇だったそうです。




一方、心臓移植したマウスオペラを聴かせると生存期間が延びたという研究をした、2013年の内山雅照さんはネズミ着ぐるみでの参加でした。……って、みなさん工夫しすぎ! 当時、スピーチの最後に使ったミニ横断幕を掲げてくれました。




2012年は栗原一貴さん。話がうるさい人を妨害する装置「スピーチジャマー」で音響賞を受賞です。会議で話がうるさい人を自らの手を汚さず取り締まりたい、という思いから作られたこの装置。話がうるさい人をわずらわしく感じるのは日本だけかと思っていたら、世界中が共感したことに驚いたとか。会場でも疑似体験ができます。





2度受賞した人もいます。2008年には粘菌が迷路の最短ルートを解き、2010年には最適な鉄道網を決めることを研究した中垣俊之さんです。「昔から粘菌を研究し続け、30年以上前から『年金』ならぬ『粘菌』生活でした」と一笑い。粘菌のすばらしさを説き、単細胞という言葉の意味を見直してほしいとジョーク交じりのスピーチでした。




渡辺茂さんが、ピカソとモネの絵を見分けるハトの研究で受賞したのは1995年。当時イグ・ノーベル賞は今ほどの知名度は無く、わざわざ行くことはないかと授賞式を欠席したことを後悔しているそう。この場で人以外の生物の認知機能について熱く語りました。




逆に2017年に受賞した吉澤和徳さんは、イグ・ノーベル賞の大ファンだったのに調査中のため欠席だったそう。メスにペニス、オスにヴァギナがある昆虫・トリカヘチャタテの研究でした。会場内にある虫眼鏡の先に、実物を見ることができます。

ご自身の受賞を「研究の面白さよりも虫自体の面白さが強く、棚ボタだったのでは」と分析。こうして続けてスピーチを聞くと、過去と現在のイグ・ノーベル賞の位置づけの違いを感じますね!





2003年の受賞者・廣瀬幸雄さんはハトが寄り付けない銅像を研究。学生時代に疑問に思ったことを追い続け、45年を経ての成果なのだそう。疑問に思ったことを書き続けたノートを持参していました。




最後は2014年バナナの皮を踏んだ時の摩擦係数を計測した馬渕清資さん。パネルやバナナを手に持ち、なんと替え歌によるスピーチです。



すると「もうやめて、飽きちゃった!」と注意するレディが登場。実はこれ、本家イグ・ノーベル賞でスピーチが1分を超えた際の名物シーン。馬渕さんはバナナを渡して買収を試みます。うーん、凝ってる!




最後は、ステージ上に全員が集合。これまた本家の名物である、壇上へ紙飛行機が飛ばされるシーンも再現。最後は登壇者も観客もみんなが紙飛行機を飛ばし合う、奇妙な光景となりました。



展覧会では、研究内容の体験もできる?
日本人だけでなく、これまで受賞した研究のパネルも多く展示されています。テリー伊藤さんによる一言コメントも。



またパネルのみならず、実物の展示や体験ができる研究もあります。例えば、非常時にガスマスクになるという「エマージェンシー・ブラ」のパネルの隣には本物のブラジャーが。うん、わかりやすい!



黒板を引っかく音が不快である研究のパネルの隣には、ちゃんと引っかき用の黒板がありました。



ちなみに筆者が一番ハマったのは、トーストが床に落ちるとバターを塗った面が下になりやすいという研究の体験。なるほど、机の高さがこの位置だからちょうど半回転するんだな、とかいろいろ考察しちゃいました。いやあ、素敵な頭の無駄遣いだなあ。




その他、イグ・ノーベル賞の歴史をまとめた年表や、トロフィーの実物なども展示されています。



出口のおみやげ売り場では、ステッカー(税抜80円)やクリアファイル(税抜300円)などのオリジナルグッズが販売。さらには、ドクター中松さんの有名なあの靴も置かれていました。




イグ・ノーベル賞ニュースは毎年耳にしますが、なかなかそれぞれの研究をじっくり見ることはありませんでした。今回の展覧会ではパネルだけでもたっぷり読みふけってしまいます。また体験できない研究が多い中でも模型やイラストがあるなどの工夫が感じられました。論文や研究書だと読みづらい内容なのに全然飽きないのは、イグ・ノーベル賞ユーモアを持っているからかもしれません。

イグ・ノーベル賞の世界展』
<会期>
2018年9月22日(土)~11月4日(日) ※開催期間中無休
平日 12:00~18:00、土日祝 10:00~18:00(最終入場17:30)

<会場>
東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)

<料金>
大人 1,400円、小人 900円

https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/ignobel2018.html

(高柳優/イベニア)

左から)オフィシャルアンバサダー・テリー伊藤さん、今年の受賞者・堀内朗さん、創設者のマーク・エイブラハムズさん