きょう10月1日から「赤い羽根共同募金」運動が始まります。毎年秋からの恒例行事ですが、そもそも、あの赤い羽根は何の羽根なのでしょうか。また、早朝のニュースで赤い羽根を着けているアナウンサーは、あんなに朝早く寄付をしているのでしょうか。疑問に感じていたことについて、募金運動の取りまとめ役の社会福祉法人中央共同募金会(東京都千代田区)の担当者に聞きました。

啓発用に着けてもらう場合も

 赤い羽根共同募金は戦後間もない1947年11月、民間の助け合い運動として始まりました。当初は、戦争で被害を受けた福祉施設などを中心に支援が行われ、現在は、各都道府県にある共同募金会が活動を担い、寄付金は地域福祉の推進などに役立てられています。

 中央共同募金会運動推進部の担当者に聞きました。

Q.なぜ募金のシンボルが「赤い羽根」なのですか。

担当者「赤い羽根を共同募金のシンボルとして使ったのは米国が最初です。それをヒントに、日本でも1948年から赤い羽根を使うことになりました。

米国の先住民族において、赤い羽根は勇者の証しでした。勇者のグル-プに属したいと思う若者は、必ず生きているワシから羽根を取り、勇者の名誉を得るための証拠を示さなければなりませんでした。この羽根を赤く染めて勇者の頭に着けていました。欧州で、赤い羽根が勇気の象徴、善行、勲功の印として使われていたこともあり、米国で赤い羽根がシンボルとして使われたと考えられています」

Q.羽根は本物の鳥の羽根ですか。

担当者「本物の鳥の羽根です。食用のニワトリから廃棄された羽根を洗浄し、赤く染めて使用しています」

Q.どこで作っているのですか。

担当者「国内の複数の製作業者が受注していますが、羽根の製作自体は中国で行われています」

Q.製作には1本当たりいくらかかっているのでしょうか。そのお金はどこから出ているのですか。

担当者「各都道府県にある共同募金会が製作業者に発注しており、それぞれの本数によって単価は異なりますが、おおむね1本につき1円弱から2円の間と考えられます。この経費は、お寄せいただいた共同募金の中から運動経費として支出されています」

Q.なぜ募金期間が10月1日からなのですか。

担当者「1947年の第1回は11月25日スタートで、翌年の第2回から10月1日スタートになりました。年の瀬に向けてみんなで助け合いを、という趣旨からだと思いますが、10月からとなった理由の記録は残っていません。2016年から、10月1日から翌年3月31日までの6カ月間が運動期間となっています」

Q.アナウンサーの人たちが、10月1日の早朝のニュースから赤い羽根を着けているのをよく見ますが、朝早くに寄付をしているのでしょうか。

担当者「赤い羽根は、基本的には募金を頂いた印としてお渡ししていますが、それ以外にも、運動を広めていただくためにNHKや民放局などに10月1日からの着用をお願いし、ご協力いただいています。もちろん、個人的に募金にご協力いただいている人もおられると思います」

Q.大臣や国会議員も赤い羽根を着けた人をよく見かけます。

担当者「各閣僚の皆さんに赤い羽根の着用をお願いしており、毎年ご協力いただいています。他の国会議員の皆さんには、特にお願いしてはいませんが、ご着用いただけるとの連絡を頂いた時には、お渡しすることもあります。なお、公職選挙法で、議員は選挙区内での寄付が禁止されていますので、募金いただいた印としてではなく、運動を啓発する意味でご着用いただいています」

Q.緑の羽根や青い羽根もありますが、赤い羽根と関係はあるのですか。

担当者「緑の羽根は緑化推進、青い羽根は水難救済など、その目的によって異なった色の羽根を使用した募金活動が行われていますが、国土緑化推進機構や水難救済会など実施主体は異なっており、それぞれ直接的な関係はありません」

 赤い羽根共同募金の、2017年度の募金額は179億1015万8342円でした。2018年度の運動期間は、来年3月31日までです。

報道チーム

赤い羽根共同募金のロゴ(中央共同募金会提供)