突然、父親の実家で飼っていた犬が訪ねてきた経験を描いた漫画「名犬ジャック」が、SNS上で話題となっています。早朝にドアをたたく音が聞こえたため、一家が確認すると老犬の姿が。この犬は父親がジャックと名付け、実家で飼っていましたが…という内容で「父親に対するジャックの愛情が素敵」「飼っていた動物にも同じことがあった」「泣いてしまった」「ジャックは幸せだったと思う」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。

見知らぬ土地を訪ねてきた犬の力

 この漫画を描いたのは、泉福朗(ペンネーム)さんです。漫画作品となる前のストーリーを作る「漫画原作者」として活動し、現在は趣味で漫画を描いています。

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

泉さん「普段、猫を題材にした漫画をよく描きますが、たまには犬のことを描こうと考えたのがきっかけです。父が飼っていたジャックのことを思い出して描きました」

Q.ジャックはどんな犬だったのですか。

泉さん「雑種です。子どもが好きでおっとりした犬だったと思います。父の実家では代々、犬を飼う際に必ず『ジャック』と名付けていました。今回の漫画で描いたのは、3代目ジャックです。歴代ジャックの中で最も長生きでした。

父はジャックを拾った張本人でもあるので、散歩も餌やりも全部担当していたそうです。犬小屋で一緒に寝たこともあると言っていました。歴代のジャックの中では、最も賢く、とにかく人間が好きで町中の人から愛されていました。ジャックと一緒に遊ぼうと訪ねてくる子どももいたそうです。

『父の犬』ではなく、『父の実家の家族』として大事にされていたため、父が結婚して、家を出ていく時に一緒に連れていけませんでした。しかし、父の職場は実家の近くだったため、しばしば、ジャックに会っていたそうです」

Q.当時、幼稚園児とのことでしたが、ジャックとの思い出は。

泉さん「私たちの家に滞在中は、ちょうど夏休みでした。ジャックと遊ぶというよりも、むしろジャックに遊んでもらいました(笑)

ジャックは当時、16~17歳くらいでした。当時の犬としては、人間に例えると長生きしたおじいちゃんだったので、孫でも相手にしているような気分だったのでは(笑)」

Q.読者からどのような意見が寄せられていますか。

泉さん「『泣けた』という感想が最も多かったことに驚きました。自分にとっては泣けるというよりも、見知らぬ土地にいるにもかかわらず、父の所在地を割り出して遊びにきてくれた犬の力に驚きましたし、心温まる思い出でした。

犬は古くから人間と付き合いがあり、人間と同じ感情を持っていると思います。情の深さは人間よりも高尚かもしれません。犬は人間の友達だと感じています」

報道チーム

漫画「名犬ジャック」のカット=泉福朗(@okaeri_eripiyo)さん提供