mushrooms-548360_640_e

 ロンドンにある王立植物園キューガーデンから、プラスチックゴミを分解する能力があるキノコの研究が発表された。

 正確にはキノコというより、菌類の一種で、アスペルギルス・ツビンゲンシス(Aspergillus tubingensis)と名付けられたアスペルギルス属である。

 このキノコは、世界的なゴミ問題を解決する救世主になる可能性が期待される。

 差し迫ったゴミ問題を受けて、各業界ではさまざまな研究が進められているが、もしかしたら自然は我々に、問題解決のヒントを与えてくれているのかもしれない。

―あわせて読みたい―

チェルノブイリで育った放射線を好む菌類、宇宙ステーションへと運ばれる
女性を昇天させてしまう。ハワイに存在する媚薬キノコを検証(米研究)
食べたい?いけそう?使用済みの紙おむつからキノコを栽培する方法が考案される(メキシコ研究)※画像閲覧注意
ゴミ問題に新たなる提案。紅茶キノコから食品用パッケージを作るというアイディア(ポーランド)
恐るべしキノコパワー。キノコには天候を操る能力がある(米研究)

プラスチックを数週間で分解

 1934年ベルギーの植物学者によってアスペルギルス・ツビンゲンシスは発見された。そして2017年、パキスタン・イスラマバードの一般ゴミ捨て場の土壌から採取・分離した アスペルギルス・ツビンゲンシスにポリエステル系ポリエスタン(PU)の分解能があることが分かった。

 通常分解されるまでに数年かかるこれらのプラスチック物質を、数週間で分解することができるというのだ。

 また、このキノコはプラスチックの表面で成長することができる。

 その秘訣はそれが分泌するユニークは酵素で、これによってプラスチックの分子と分子の間の化学結合を分解するのだ。

00_e

image credit:CC BY 4.0 wikipedia

 プラスチックの分解を促進するこのキノコの力について、「急増するプラスチックゴミによる環境問題に対処するために是が非でも欲しいツールが開発される可能性がある」とに掲載された。

様々なキノコの有用性

 レポートでは、2017年に発見された2000種以上の新種が報告されている。その中には自然界のみならず、産業にも有用なものがいくつもある。

2_e5


 たとえば、ヒラタケやカワラタケのような白色腐朽菌には、殺虫剤・染料・爆発物を除去するなど、土壌や排水に対して有用な効果がある。

 トリコデルマ(子嚢菌の仲間)が農業廃棄物をエタノール糖に転換し、バイオ燃料の生産を促進することや、キノコの菌糸体が発泡スチロール・革・いくつかの建材の持続可能な代替物になりうることも紹介されている。

追記:(2018/10/04)本文を一部修正して再送します。
References:stateoftheworldsfungi / dezeen/ written by hiroching / edited by parumo

こちらもオススメ!

―植物・菌類・微生物についての記事―

プラスチックを食べるキノコが世界的なゴミ問題の救世主となるかもしれない(英研究)
安心してください。生えてるやつです。人体の一部そっくりに見えるキノコたちの画像
植物も痛みを感じている?傷つけられた植物が痛みのシグナルを発し、全身に伝える仕組みを解明(日・米研究)
木の根元で発見された血まみれの脳みそにしか見えない謎の物体。その正体は?(脳みそ激似注意)
ゴミ問題に新たなる提案。紅茶キノコから食品用パッケージを作るというアイディア(ポーランド)

―知るの紹介記事―

メガネをかけるとディスプレイの画面だけが真っ黒で見えなくなる!ドラえもんの道具みたいなサングラスが誕生
おやすみ、ケプラー!太陽系外惑星を観測し続けていたケプラーがスリープモードに突入。燃料が底をつき最後の眠りへ
サイコパスについてあなたが知らないであろう5つのこと
小人が来たぞ~!?手の指を足型にしちゃうとかいう最新ネイルアート
え?マジ?「年齢+生まれ年(西暦)=2018」という奇跡の数式が発見され、海外で瞬く間に拡散されている件
プラスチックを食べるキノコが世界的なゴミ問題の救世主となるかもしれない(英研究)