Credit: DAN DURDA
Point
系外惑星の恒星面通過の前後に恒星光度の現象が確認されたことで、系外衛星の存在が予測される
ハッブル宇宙望遠鏡を使ったより精度の高い観測でも同様の現象が確認される
・この系外衛星の大きさは太陽系内の衛星よりも極めて大きく、その形成過程はなぞである

地球から離れた太陽系外では、自ら光を発さない衛星を見つけるのは非常に困難です。もし見つかれば、世界で初めての発見となります。

コロンビア大学の天文学者らが、世界で初めて「太陽系外の惑星に衛星が存在する証拠」を発見しました。また、この衛星は太陽系内のすべての衛星と岩石型惑星を足し合わせたものよりも10倍大きく、もし衛星の存在が確認されれば、衛星の形成過程を考え直す必要も出てきます。研究は10月3日の“Science Advances”で発表されました。

Kepler 1625は、地球から8000光年ほど離れた位置にある恒星で、Kepler 1625bという巨大なガス惑星を持っています。この惑星は、ケプラー宇宙望遠鏡で観測されたデータを元に、恒星の前面を惑星が通過することでおこる「星の光度の減少」によって発見されました。

コロンビア大学のデビット・キッピング氏らが、ケプラーのデータを再分析した結果、この惑星通過の「前と後」にも光度の減少を発見。キッピング氏はここから、惑星Kepler 1625bには「衛星」があるのではないかと推測し、この仮想の衛星をKepler 1625b iと名付けました。しかし、この光度の減少が他の惑星によるもの、あるいは星の活動変化である可能性もあるため、確認のためにはさらなる観測が必要でした。

そこで2017年10月、キッピング氏らは、ケプラー宇宙望遠鏡よりも3.9倍高い感度を持つハッブル宇宙望遠鏡を使い、再び恒星を観測しました。するとやはり、惑星通過前後での光度の減少を確認。さらに、惑星の19時間かかる恒星面通過が予測よりも77.8分早く始まったことから、何らかの重力の影響で惑星が引っ張られていることがわかりました。そしてこの2つの兆候が、Kepler 1625b iの存在を強く示唆しているのです。

しかし研究者らは、最終的判断は次に恒星面通過がおこる2019年の5月まで待つ予定です。

Credit: DAN DURDA

また、この系外衛星の存在に懐疑的な研究者もいます。この衛星には、奇妙な点があるのです。今の理論では、衛星が形成される方法には3種類あることが知られています。惑星へ衝突した天体がはじき出されたもの、惑星の周囲を回るガスや岩石が集合したもの、惑星の引力によって捕らわれたものの3種類です。

しかし、Kepler 1625b iほどの質量のあるものとなると、どのシナリオが当てはまるのか定かではありません。Kepler 1625b iの質量は、太陽系のすべての衛星と、岩石型惑星すべてを足し合わせたものを更に10倍したものと同等です。そのため、この衛星の形成に関しては、全く別の方法である可能性があるのです。

 

今まで系外惑星は多数見つかっていましたが、惑星よりさらに小さいとされる衛星の発見例はありませんでした。見つかった衛星は規格外の大きさであり、衛星の成り立ちに関する理論を覆す可能性があります。今後の研究に期待しましょう。

 

「第9惑星」の存在を示唆する「ゴブリン惑星」を発見 

 

via: Science News/ translated & text by SENPAI

 

世界初の「太陽系外衛星の証拠」を発見