10月5日(金)に放送される「LIFE!~人生に捧げるコント~」(夜10:00-10:45、NHK総合)。俳優と芸人がタッグを組み、人生にまつわるさまざまなコントを届けている同番組は、主に内村宏幸、平松政俊、倉持裕、あないかずひさの4人がコントの脚本を担当している。
【写真を見る】平松は、10月5日(金)の放送で中川大志出演の「安さの向こう側」を担当
「ザテレビジョン」では、そんな4人にインタビューを敢行。今回は、内村光良の名物キャラクター「三津谷寛治」などを生み出した平松に「LIFE!」の魅力や、コントを作る秘けつなどを聞いた。
■ 僕が思い入れの強いコントは、あまり人気が出ないんです(笑)
――「LIFE!」では、どのような作品を担当されていますか?
シリーズになっているもので言うと、「ムロ待ち」、「とどろけ!!ファミレス塾」などです。
あとは、「梅雨入り坊や」「ゲスニックマガジン」「HOTなカマタくん」「どうしたろうかしゃん」「プラス車掌」「タクヤ・シモムラのコンテンポラリーダンス」も僕が執筆してます。
「女マン」、「三津谷寛治」、「イカ大王」などのキャラクターも作りました。
――「イカ大王」はここ数年の“紅白歌合戦”でかなり活躍しているキャラクターですよね。
そうですね。ここ数年は「イカ大王」もすごく認知が広がってきたようで、塚地(武雅)さんも喜んでいました。
3~4年前の紅白では、他の出演者の方の邪魔にならないことを一番の目標にして、本当に隠れて動いていたくらいですから(笑)。
――キャラクターはどのように作っていくことが多いですか?
他の作家さんも一緒だと思いますけど、いろいろなパターンがあります。
キャラクターが思いついてからコントを作ることもあれば、ある出来事からコントを思いついて書くこともあるので。
田中(直樹)さんがダンサー役の「タクヤ・シモムラのコンテンポラリーダンス」については、最初にプロットを書いた段階で「家を出て行ったダンサーが、お父さんのお葬式の日に現れて、天国の父親にダンスを見せる」っていうところまでできていたんです。
プロットがそのまま1回目のコントの内容になって、面白かったのでシリーズになっていった感じですね。2回目以降は、理由もなく塚本(高史)さんが「(ダンスを)見せてやれよ!」って言うっていうちょっと無理やりな感じになってましたけど(笑)。逆にそこがあのコントで一番面白いボケになっていますし、僕も好きな部分でした。
――役を当て書きでコントを書いていくこともあるんでしょうか。
基本的に、ネタ出しをする段階では当て書きしていないです。何となくの年齢は決めているので、それで演じる方を選んでいくことが多いです。
台本を書く段階までいったら、出演者の方も決まってきているので、その方に合わせて書いていきます。
――「キャスティングがこの人に決まって意外だった!」っていうことはありました?
何となく内村さんだと思っていたけど、田中(直樹)さんになることもありますし、その逆もありますね。台本を詰めていく段階で、男の人のつもりで書いていた役が、女の人になったこともありました。そのくらい変わることもあります。
――思い出深いコントはありますか?
僕が思い入れの強いコントは、あまり人気が出ないんです(笑)。
内村さんがメインの「モグラに育てられた男」シリーズは、僕はすごく気に入ってて、キャラクターの裏設定をたくさん考えたりしてたんですけど、すぐに終わっちゃいました。
あとは、これは1回しかやってないんですけど、「カワバタ」(2015年放送)っていうコントにすごく思い入れがあります。
内村さん演じるおじさんが、居酒屋で飲みながら店主(塚地武雅)に、“カワバタ”っていう友達のことをずっと話しているっていうコントです。
おじさんは、「カワバタなんて友達じゃねえよ」ってずっと言いつつも、本当は“カワバタ”が大好きで、仲いいと思っているんですよ。
なのに、後から居酒屋に入ってきた若いサラリーマン(星野源)の方が、“カワバタ”の家に遊びに行ったこともあって仲良くて、内村さんが怒るっていう…地味な内容で(笑)。
僕は、それがすごく好きで、何回もやりたかったんですけど、「面白いけど人気がない」ってなっちゃって。
シリーズになっても、どんどん“カワバタ”に良くしてもらっているエピソードを持つ人々が出てきて、おじさん(内村)だけは置いてかれる状況が続くだけなんですけどね。
僕はおじさんが酒を飲みながら悪口言ってても「あ、カワバタさんのことすごく好きなんだろうな」って分かる感じが、なんかすごく好きだったんです。
――人気が出なかったとかも分かっちゃうものなんですね…。
「LIFE!」は、ホームページで人気投票をやっているんです。
それに、視聴者の方の意見を結構参考にしていたりするので、「このコント面白かった!」っていう声が集まるとシリーズとして続いていくことが多いですね。
だから、視聴者の方からの人気がない場合には、今後はちょっと…ってなっちゃうこともあります。
■ ずっと変わらないことは、“ツッコミがない”ということ
――平松さんが得意なコントの傾向とかはあるんですか?
あ~~~なんだろう? 得意かは分からないですけど好きなのは、リアルの中に1つだけフィクションが入っていることによって、その世界全体がおかしく見えるようなコントです。「梅雨入り坊や」とかがそうでした。
あのコントの中で内村さんが演じている、“梅雨を告げる人”っていう職業みたいに、現実にありそうだけどないものを描くっていう感じですかね。
でも、僕が総合演出の西川(毅)さんに期待されているのは、「とどろけ!!ファミレス塾」とか「スポーツ番長」みたいな、ぶっ飛んだキャラコントのような気がします。もちろんどちらも好きですし、いろんなパターンが書けて楽しいです。
――ボツになったネタの中で、思い入れの強いものどれでしょう?
ちょっと自慢みたいになっちゃうんですけど、僕の書いたコントの中で、撮影したのにボツになったものってあんまりないんです。
でも、やっぱり思い入れでいくと、先ほどお話した「カワバタ」かな。ボツになったわけではないんですけど、続きを考えていたのに、1度しか放送されてないので…。
西川さんにも、またやりたいって何回も言ってるんですよ。でも「面白いんですけどね~」って流されてます。
あとは、「ライフクローザー」(2015年放送)っていうコント。合コンで女の子が盛り下がっているのに、男が「二次会行こう」って誘っているところに田中さん扮する“クローザー”が現れるっていう設定のものです。
セットも結構大がかりなものを作ったので、シリーズ化する予定だったんですけど、1回しかやってないですね。
田中さんのキャラクターは、以前「阪急ブレーブス」にいたクローザーのアニマル・レスリーさんをモチーフにしていたんですけど、田中さんがあんまり野球に詳しくなかったのも続かなかった原因かもしれないです(笑)。
――平松さんは他の番組でもコントを執筆されていますが、「LIFE!」の特色はどんなところだと思いますか?
ずっと変わらないことは、“ツッコミがない”ということだと思います。
ボケに対しての現実的な否定や疑問はあるんです。でも、現実世界で日常的にツッコミを入れている人がいないのと同じで、「LIFE!」では頭をたたいてツッコむような人がいないです。
そこが、演劇とかドラマに近い部分で、他のコント番組との明確な違いかもしれないです。
「ファミレス塾」にもすごいおかしな人が出てきますけど、鈴木(中川大志)は戸惑うだけでツッコまないですしね。
――では最後に、「LIFE!」の魅力を教えてください。
僕がコントを考える時に意識しているのは、意外性や驚きをいれたいということです。
振り返ってみれば、この番組は、お笑いのイメージがないNHKで放送が始まった時点から、視聴者の方が意外性を感じていると思うんですよね。
ここ数年は、大物の俳優さんたちにたくさん出ていただいて、そこでも「この人がこんなことやるんだ」って意外性を見せられていますし。
うん。一番の魅力は意外性、ですかね!(ザテレビジョン)
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