仙台戦で長澤のロングフィードを頭で仕留めて先制弾「ボールが来ると思っていた」

 浦和レッズのMF橋岡大樹は、7日のJ1第29節の敵地ベガルタ仙台戦でプロ初ゴールとなる先制弾をマークした。チームは1-1で引き分けたが、得点の瞬間のことを「嬉しすぎてどう喜んでいいか分からなかった」と振り返った。

 右ウイングバックでスタメン出場の橋岡に歓喜の瞬間が訪れたのは、前半24分だった。自陣の左サイドでMF宇賀神友弥が縦にスローインを入れると、FW興梠慎三が巧みなターンで前進。MF長澤和輝に短いバックパスをつなぐと、その瞬間に橋岡は手を挙げて存在をアピールしながら一気にゴール前へと斜めに走り込んでいった。

「長澤選手が持った時に真ん中が空いていたので、斜めに走ったところをしっかり見てくれて、本当に良いボールが来たので迷いなく頭で行きました。来ると思っていたので、良い準備をして上手く初ゴールになって良かったです」

 仙台の日本代表GKシュミット・ダニエルも距離を詰めてきて簡単な状況ではなかったが、橋岡が頭で合わせたボールは見事に身長197センチの相手の頭上を抜いてゴールに吸い込まれた。昨季は浦和ユース所属のままルヴァンカップでプロデビュー。今季昇格1年目にしてレギュラーを勝ち取っている橋岡にとって、嬉しい初ゴールになった。

 その橋岡は、この仙台戦を最後に一度チームを離れる。来年のU-20ワールドカップを目指すU-19日本代表に選出され、アジア最終予選となる大会に臨むからだ。18日からインドネシアで開催される戦いに向け、同期昇格のDF荻原拓也とともに日本代表へ選ばれた。


槙野も後輩にエール「チームを引っ張ってほしい」

 浦和のチームメイトでありA代表に選出されているDF槙野智章は、橋岡に対して大きな期待を懸けている。

「1年目で試合に出始めた時は勢いでプレーしていましたけど、試合に出て研究されるなかで良さが消されてきて、そのなかでも得点できたのは彼にとっても明るい未来が見えたと思います。世代別の代表に入っていますし、彼の世代でJ1でこれだけ経験を積んでいるのは神戸の郷家(友太)選手と二人くらいだと思うので、チームを引っ張ってほしいという思いはあります」

 橋岡もまた、そうした槙野の思いとシンクロするようにチームを引っ張っていく覚悟を語った。

「もうプロとして、日本代表としても浦和の代表としてもしっかり戦わないといけない。荻原選手と僕がしっかり戦うことで、国民の皆さんに結果と良いプレーを見せたい。自分たちが中心になってやっていくのはもちろんですし、良い影響力を与えられる選手になりたい。みんなが自分が中心という気持ちでやらなければいけないと思うので、しっかりと声を掛け合って来年のU-20ワールドカップに進んでいきたい」

 4月のデビュー当時、浦和ユース時代に橋岡を指導し、当時の暫定監督だった大槻毅ヘッドコーチは「彼の守備はプロの舞台でも計算できる」と話していた。昇格時には「今年のロシアワールドカップ)を狙うつもりでやれよ」という声をかけたほどだ。それだけのポテンシャルを認められ、J1の舞台で試合出場を重ねることでプレーの精度も厳しさも高まった。

 プロ初ゴールという大きな喜びを手土産に代表へ合流する橋岡は、チームの中心として来年の世界大会への切符を奪い取りに行くつもりだ。


(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

プロ初ゴールを挙げたMF橋岡大樹【写真:Getty Images】