フレッシュな高校生たちの恋模様を描く映画『覚悟はいいかそこの女子。』で、主人公たちの成長を温かく見守る教師を演じる小池徹平。20代の頃の若さを前面に押し出した役柄の印象が強いが、近年では舞台でめざましい活躍を見せ、映像作品でも大人の役柄でじわじわと存在感を増している。「最近、面白い役が増えてきまして」と笑う32歳に話を聞いた。

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 本当の恋を知らずに生きてきた高校生・斗和(中川大志)が学年一の美少女・美苑(みその/唐田えりか)を振り向かせようと奮闘する姿を描く本作。小池は、斗和らが通う高校の教師で、美苑が密かに想いを寄せている、いわば主人公のライバル役・柾木を演じている。

 最初に脚本を読んで「大人になったせいなのか(笑)、キラキラしてるなと。キスで盛り上がる描写や壁にドンっと手をつくというト書きにニヤニヤしちゃいました」と明かす。だが、少し前までそんな青臭い恋の“プレイヤー”側だった小池が教師をやるなんて、という感慨を抱いてしまうが…。

 「といっても僕も32歳ですからね(笑)。教師としても若手じゃなく中堅でおかしくない年齢ですから! 確かに童顔ですが、最近、そのイメージを裏切る役を頂けるのも楽しいです。見た目通りの役、見た目を裏切る役、この歳になってどちらも楽しんでます」。

 劇中、柾木は将来に迷いや不安を抱く生徒に対し、人生の先輩としてアドバイスを送り、背中を押す。タイトルに「覚悟」とあるが、小池自身、人生において覚悟を決めた瞬間は?

 「やはり、10年ほどずっとウエンツ(瑛士)と一緒にWaTとして活動してきて、それを解散するというときは2人の中でそれなりの覚悟はありました。それぞれの方向で、それぞれの形、ペースでやっていくと決めたときですね」。

 もちろん、15歳でこの世界に足を踏み入れたときも、生半可ではない覚悟を持ってはいた。だが「当時はすごい覚悟でしたけど、今振り返ると小さなものだった」と笑う。むしろ、大事なのは一瞬の覚悟ではなく、小さな実績の積み重ね――。それはここまでこの仕事を続けてきたからこそ抱く実感である。特に舞台での経験がその思いを強くした。

 「舞台って自分に厳しくいられる場なんですよね。自分と向き合う時間を持たないといけない仕事であり、板の上に立たせてもらえることのありがたさを感じます。命を削ってるようなすさまじい毎日ですけど…(苦笑)、でもあの場所が好きなんです」。

 年齢を重ね、若い世代と仕事をする機会も増えた。今回の現場でも中川ら若い俳優陣を見て懐かしい思いを抱きつつ「フレッシュさや勢いを感じたのはもちろんですが、それだけじゃなく、こんなにしっかりしてるんだ? と思いましたね。自分の立ち位置の測り方だったり、相手との接し方だったりがすごく上手だなと。僕らのころは、それこそ学園もののときなんか、芝居以前に自分がどう目立つかばかり考えてましたから(笑)」とも。

 若い世代ばかりでなく、同世代に対する視線にも年齢と共に変化が生まれたという。

 「少し前の舞台(『1789 ‐バスティーユの恋人たち‐』)で福岡に行ったとき、(共演の)神田沙也加と博多の屋台に行ったんです。10代の頃に共演してるんですけど、『そっちは最近どう?』なんて話をしたり、昔のことを懐かしがったりしながら『まさか十数年経って、博多の屋台でこんなふうに並ぶことになるなんてね』って(笑)。ここまで頑張ってきたからこそ、いまも同じ板の上に立っていられるわけで、すごく感慨深いし、同世代に対しては、“戦友”のような気持ちを持ってます」。

 「いい意味で、抑えるべきところを抑えて無理をしなくなったし、『明日も今日と同じように、普通に現場にいる』ということの大切さを感じる」と語るが、10代、20代のころの“熱さ”を失ったわけではもちろんない。

 「むしろ、20代の頃より動けますから! ほしいもの、やりたいことはまだまだあります。ひとつずつ、積み重ねながらやっていきます」。

 映画『覚悟はいいかそこの女子。』は10月12日より全国公開。

小池徹平、『覚悟はいいかそこの女子。』インタビュー クランクイン!