減税日本は15年春の統一地方選で議席を28から12へと減らし、そんなタイミングで、市議会の本会議で強引に可決されたのが、名古屋市議の議員報酬引き上げだったのだ。

 現在の名古屋市政は反河村派が圧倒的勢力を持っているが、市政担当記者は、その要因を「ただただ勉強不足と経験不足に尽きる」と指摘する。

「どこの自治体の市議会でも質問者に対し、基本的に行ったり来たりのやり取りがあります。ところが名古屋はちょっと進んでいて、『議員間討論』という方式を導入、議会中に『議員間討論を求めます!』と挙手し、議長が認めれば討論ができるんです。だから、勉強不足で反論できない議員は、ことごとく叩きのめされてしまう。いつだったか、減税日本の議員がミスを指摘され、『訂正しなさいよ』『はい、訂正します』『訂正だけじゃダメでしょ。市民にウソをついているんだから、市民に謝りなさいよ』『はい、すみませんでした』なんていうシーンがあった。そのくせ『私は減税日本ナゴヤになる前からの、元祖減税日本だ』とプライドだけは高い。本家とか元祖なんてどうでもいいこと。そんな調子だから、河村さんも頭が痛いでしょうね」

 勢力を弱めた河村市長に銭ゲバ市議軍団はさらに襲いかかる。市議会関係者がアキレ顔で明かす。

地下鉄名城線名城公園駅の丘に、1万平方メートルの国有地があり、ここを名古屋のゲイトウェイにしたいと河村市長が考えました。観光施設を作り、隣接する名古屋城にも人が流れるようになる仕組みにする。この河村構想に基づき、名古屋市に出向していた国交省のキャリア官僚が推進し、市議会にも根回しをしていました。ところがその土地に突然、自民党の市議が推す学校法人を連れてきたんです。これに、市議会の自民党の重鎮も賛成に回りました」

 その理由たるや、

「要するに、『俺たちの給料を下げるヤツ(河村市長)は許さん』ということです。河村さんのやることは全て気に入らない、反対する、というもの。中身がどうという問題ではありません」(市議会関係者)

 議員報酬を半減させた過去に対する、なんとも子供じみた恨み。市民が納めた血税の分捕りにどこまでも執着する姿勢なのである。

 さて、「河村市長vsオール野党」という名古屋市議会だが、「本来、名古屋人は争い事を嫌う」と言うのは、名古屋市在住のジャーナリストだ。

名古屋人はケチだケチだと言われますが、これは合理的でムダなことをしたくないから。ゆえに冒険などせず、波風立てずに無難に地道に、が一番だと考えている。そういう意味では、名古屋人が最も嫌うのが、『出る杭』なんです。だから、出てきた杭はとりあえず、ブチのめす。そんな仲間内の結束を固めるため、名古屋では企業や官庁の中でも大学のOB会が強い力を持っているんです」

 代表的な例として知られるのが、名古屋大学経済学部出身者で形成されている「キタン会」というOB組織だ。

アサ芸プラス