10月20日に行われるカナダのリッチモンド市長選に、移民や留学を専門とする弁護士・郭紅氏が立候補している。中国国務院外国専門家局で法務を担当していた同氏は「中国に人権弾圧はない、中国には多くの言論の自由がある」と発言した。

カナダのメディア・ブレイカーは10月2日、ブリティッシュコロンビア州リッチモンド市民会館て開かれた、全候補者演説会に参加した郭紅氏に話を聞いた。郭氏は、リッチモンドと中国の架け橋となりたいという希望を語った。

ブレイカーの記者は、中国には報道の自由もなく、国際的にも人権侵害の懸念が高まっていると問いかけると「私はそうは思わない、中国には言論の自由がある」と答えた。また、中国人も含めて、自らの主張には99.9%の人々が同意すると自信を示した。

米ペンス副大統領やポンペオ国務長官も懸念を示した、新疆ウイグル自治区における大規模な収容施設について、同記者が郭氏に聞いたところ「状況を知りたければ行ってみなさい」と答えた。多数の記者やジャーナリストらが拘束されていると聞くと「信じない。このことには多くの誤解がある。私は中国についての多くの誤りを正したい」と述べた。

10月20日に投票が行われるリッチモンド市長選は現職マルコム・ブローディ氏、郭紅氏ほか2人が立候補している。

現地紙リッチモンド・ニュースによると、6月に行われた郭紅氏の立候補発表会では16組織300人が出席した。すべて中国語で行われた会では中国式の踊り、歌、スピーチというプログラムだった。

会では、郭紅氏の出演するビデオが流された。全面的に、リッチモンドに住む中国人向けに投票をアピールした内容だ。「中国人の声が無視され、権利が失われている」「貧弱な経済、犯罪、人種差別…ここに住む中国人に不安を抱えている。中国人の声を理解できるのは中国人だけ、リッチモンドはついに中国人の声、郭紅の声を聞く」。

きっかけは7億円窃盗事件

カナダのブリティッシュコロンビア州リッチモンドにある、郭紅氏の弁護士事務所。2016年、元従業員2人により顧客口座から7億円以上の口座が不正に引き出され、中国に渡った(yellowpage.ca)

郭紅氏はリッチモンド・ニュースに対して、ビデオの文言や内容は後援会の作成したもので、必ずしも自分の言葉ではないと主張した。しかし、同紙によると、郭氏は3月の講演で「中国人の声を反映させる代理人として出馬する」と話していたという。

同紙によると、郭紅氏の出馬を決めたきっかけは、自身の会社資産750万加ドル(約7.2億円)の窃盗事件だという。2016年、元従業員が郭氏の会社が管理する100以上の顧客の信用口座から資産を盗み、中国に移して行方をくらました。

郭氏によると、すべての顧客の損失分は不動産売却や保険などで、9月までに完済しており、自分も被害者だと主張している。犯人を逮捕できなかったのは、政府当局と警察、銀行の「めちゃくちゃな不手際」が原因だと糾弾している。

郭氏の事務所を管理する法律協会(ロー・ソサイエティ)は、海外に流れたこの巨額損失について、資産管理責任のある郭氏を会計法や弁護士法、州法違反の疑いで調査している。違反が認められた場合、5万ドルの罰金や、会社業務の制限あるいは閉鎖、弁護士資格のはく奪などの罰が科せられる可能性がある。郭氏自身は不正はないと否定している。

(編集・佐渡道世)

郭紅氏のfacebookページより