主催者も、働くキャストも“精神科通院中または通院歴”のある女性のみ、そんなカフェイベント9月30日、新宿歌舞伎町カフェを貸し切り開催された。主催者である柚咲ましろさんがイベントを発表した時点で、ネット上で賛否両論、批判的な意見も多数寄せられた。彼女はなぜ、このようなイベントを開催しようと考えたのか。イベント当日、柚咲ましろさん本人に話を聞いた。

◆障害者手帳を取得したのがイベント開催のきっかけだった

小学生ぐらいの頃から“人とは違う”ということを実感していました。授業中に教室の床で寝たり、体育館の天井に挟まったボールを延々と見続けていたり。社会人になり看護師として働き、趣味で“コスプレイヤー”の活動もはじめました。でも、大人になってからの仕事、趣味でも、やっぱり周囲とのギャップをずっと感じていたんです。面と向かって『あんた変だよ!』と言われることも多々あって……。

 そこで去年10月に、検査を受けたらADHD発達障害)の診断を受けました。さらに二次障害で“双極性障害パニック障害、摂食障害など”もわかり、今年6月には障害者手帳を取得しました。発達障害とわかったときは妙にスッキリして、だから私は他者と交われなかったんだな、っと(苦笑)。こんな障害を持つ私でも、表舞台には出たいし、チヤホヤされたい。だったら、同じように“心の闇”を抱えている地下アイドルコスプレイヤーさんを集めてイベントをやろう!と思ったんです」

 当日のキャストが持つ病いは解離性障害、統合失調症、双極性うつ病パニック障害、摂食障害、自傷癖などさまざま。全員包み隠すことなくオープンにし、お客さんとの情報交換をする姿も印象的だった。

「もっと、精神障害者を認知してもらいたい気持ちが大きい。私たちだって、本音を言えば頑張りたいんです。でも、病気から“ダメな日”はあるんです。動けない日、死にたい日だってある。でも、まだまだ日本には、うつ病ですら『甘えだ』『怠けてる』など言われがち。私の親ですら発達障害精神障害だと話しても、『うつ病は気の持ちよう』『個性はみんな持ってる』と、否定してくる。そうではない。私は精神障害の当事者だから、心の病を抱えているコスプレイヤー地下アイドルの気持ちは痛いほどにわかる。だから当日ドタキャンも構わない。そういう女性たちが表舞台に立てたり、社会と携われる場所を作りたい、という気持ちが強い。今日来ているお客さんも、そこを理解していてくれていると思います」

◆開催3日前にもリストカット。大きいプレッシャーでも「認めてもらいたいから…」

 実際にイベント発表時から1名の不参加が決まり、当日も急遽1名が来れない事態に。もしかしたら、イベント開催中に万が一のトラブルも起きるかもしれない。その辺りの心配はなかったのだろうか?

「もともと私は看護師だったので、パニック障害とか過呼吸の症状が出た時には対処できます。何かあった時にリスクは抑えやすいし、そうならないようにフォローもできるから『お客さんとコミュニケーションが取れて、もしかするときついこと言われるかもしれないけど、それでもやりたい子はおいで』ってメンバーに声をかけました。現代は自身のキャラ付けとして“自称うつ”、“自称メンヘラ”が多いですが、ウチは本当に病気を抱えている本物志向ですね(笑)

 逆に主催者は休めず、他者のフォローに追われる。柚咲さんに体力的にも精神的にも辛くないですか? と問えば「つらいですよ」と即答。彼女の手首には自傷の傷跡が、電車の線路のように並んでおり、このイベントの開催3日前もカットした。それほど、心は追い込まれてはいた。

イベントが終わった後は、反動で一週間は外に出ないこともある。今回もきっとそう(苦笑)。でも、なるべく主催者として明るく務めたいんです。だって当事者が明るくないと、受け手が重く受け止めちゃうじゃないですか、変に気にするのが差別だとも思いますし、『そういうのがいるんだ』って知ってもらうだけで十分なんです。認知とまでは行かなくても、少しでも受容できればそれでいい。私たちの病気のこと、私たちの存在を少しでも受け入れてもらうために、今後も活動していきたい」

 生きづらさを抱えているコスプレイヤー地下アイドルに一つの光を当てたい、少しでも世間に認めもらいたい。柚咲さんは、今後もメンヘルカフェの活動を続けていく。

〈取材・文/松嶋三郎 撮影/日刊SPA!取材班〉

【柚咲ましろ
豊満系コスプレイヤーとして活躍、話題の「異色肌ギャル」のメンバーの1人でもある。今後、定期的にメンヘルカフェを開催予定。詳しい情報は本人のツイッターへ。ツイッターアカウントyutatenyan

左から、CHIKAEさん、主催の柚咲ましろさん、せつなあやめさん、あおいさん