日本マンガ学会は、地方自治体黒沢哲哉著『全版あの日のエロ自販機探訪記』、稀見理都著『エロマンガ表現史』を有図書として定したことに対し、反対明を発表しました。『全版あの日のエロ自販機探訪記』は滋賀県から、『エロマンガ表現史』は北海道からそれぞれ定を受けていました。

【画像】『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』書影

 有図書に定した理由について、滋賀県は「著しく少年の性的感情を刺し、または粗暴性、残虐性を助長するなど、その健全な育成を阻するおそれがある」、北海道は「図書類の内容の全部又は一部が、著しく粗暴性を助長し、性的感情を刺し、又は義心を傷つけるもの等であって、少年の健全な育成をするおそれがあると認められる」としていました。しかし、同学会は2つの図書はそれ自体がポルノグラフィであるわけではなく、販売機の現状に関するフィールドワークや、「エロマンガ」の中で性的な表現がどう移り変わってきたかを記述する図書であると反論。

 その図版についても『全版あの日のエロ自販機探訪記』はほとんどがエロ本を売る自販機が並ぶ写真であり、『エロマンガ表現史』も「具体的な性描写も引用されているが、そもそも「マンガ表現」を分析・記述するためには具体的な図版の引用は不可避」と説明しています。

 同学会は、有図書定の影について、「自治体による有図書定は、図書館での収集や提供にも制限をもたらしかねず、また、性的な表現に関する研究の萎縮をも招きかねない」と。「研究を委縮させかねない、自治体による、こうした図書までを含む有図書定の拡大に、強い懸念と憂慮を表明し、反対するものである」と明を結んでいます。

日本マンガ学会の発表