米CNBCなどの海外報道によると、米アップルは、新たな映像配信サービスを計画しており、来年(2019年)初頭にも、同社製機器の利用者向けに、見放題サービスを始める予定だ。

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iPhone、iPad、Apple TVの利用者に提供

 アップルが制作したオリジナル映像作品の無料配信と、「HBO」や「STARZ」などの他社映像配信サービスの有料サブスクリプションサービスを、iPhone、iPadApple TVなどの同社製機器の利用者に提供するという。

 アップルは、2016年に、iPhoneやiPadApple TV向けのアプリとして「Apple TVアプリ」を公開した(日本では未公開)。このアプリ内では、他社の有料映像配信サービスからコンテンツを集めて、表示している。

 しかし、利用者がそれらのコンテンツを見ようとすると、他社アプリに移動させられ、それらのアプリで、個別のサブスクリプション契約をするよう促される。

 アップルが新たに始めるサービスでは、利用者を他社アプリに移動させるのではなく、Apple TVアプリの中で、サブスクリプション契約ができるようなるもようだ。

 米アマゾン・ドットコムには、映像コンテンツの専門チャンネルサービス「Prime Videoチャンネル」があるが、アップルの新サービスは、これと似たようなものになると、伝えられている。

映像コンテンツの調達・制作で多額の投資

 アップルの映像配信サービスについては昨年8月に、オリジナル作品の調達・制作費用として、向こう1年間で約10億ドル(約1100億円)を投じる計画だと伝えられた。

(参考・関連記事)「アップル、オリジナル番組の制作で10億ドルの予算

 また今年6月、アップルは、米国の大物タレントで、実業家のオプラ・ウィンフリー氏と複数年の番組制作契約を結んだと発表した。

(参考・関連記事)「アップル、オリジナル映像作品の制作を本格展開

アップルを警戒するメディア企業

 ただ、アップルにはこの分野で、立ちはだかる難問があると言われている。テレビ局など大手メディア企業の幹部の中には、アップルを警戒している人が少なくないからだ。

 メディア企業の幹部には、アップルが米国のレコード産業を破壊したと考える人もいると、CNBCは伝えている。楽曲を1曲単位で購入できる「iTunes」によって、CDアルバムが売れない時代になり、それが今のストリーミング音楽(定額制聴き放題)の流行につながったと、彼らは考えているという。

 こうしたアップルの影響力の大きさを恐れる幹部らは、「稼ぎ頭のコンテンツをアップルに提供すれば、自分達のビジネスが脅かされてしまう」と考えているのだという。

元メディア企業幹部を交渉担当に

 そうした中、アップルは2016年に、元タイムワーナーケーブル幹部のピーター・スターン氏を雇い入れた。同氏は、タイムワーナーケーブルで最高戦略責任者(CSO)を務めていた人物。今はアップルでサービス事業を統括するシニア・バイスプレジデント、エディー・キュー氏の直属となり、メディア企業との交渉を担当している。

 また、同社は今年3月に、雑誌の定額制読み放題アプリを手がける米ネクスト・イシュー・メディアという企業の買収を発表。同社は、定額制のニュース購読サービスを開発中と伝えられている。今回のCNBCの報道によると、スターン氏はこの分野でもコンテンツの獲得に向けて、報道機関との交渉に当たっている。

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