騙されない投資になるために……。投資の初心者が知っておくべきこと、勘違いしやすいことを、できるだけ易に解説しようと思います。その第12回は、経済標の読み方です。

みなさんは、投資をする際に経済標をチェックしていますか。経済標はそれこその数ほどあり、それらが何を意味するかよく理解していないので、「経済標はほとんど見ない」という方も多いかもしれません。

米国の雇用統計という経済標があります。これは世界の投資に非常に注されており、毎データが発表される原則第一金曜日(日本時間の同)はFX(外国為替証拠金取引)の世界ではお祭り騒ぎになることもあります。

それだけ相場が大きく動くことがあるのです。
経済標の使い方

では、経済標をどう使えば良いでしょうか。後述する「市場予想」との較で、気が良いと判断できれば、や通貨を買い、債券を売る。

逆に、気が悪いと判断できれば、や通貨を売り、債券を買う、といったところでしょうか。もっとも、経済標の結果に対して、プロの投資時に判断して相場に反映させるので、初心者がそれを出し抜いて利益を上げるのは至難の業でしょう。

そうではなく、経済標から気や融政策の大まかな方向性を判断して、中長期の投資方針の策定に使うべきでしょう。

そして、経済標をチェックしながら、引き続きその方針で良いのか、それとも修正を加えるべきかを判断することが重要だと思われます。

経済標をみて自ら判断するのは難しいとしても、少なくともメディアなどの況解説が十分に理解できる程度にはなりたいものです。
○そもそも「市場予想」とは何か

市場」という個体があり、それが事前経済標の予想を出している。というわけでは、もちろんありません。

市場予想とは、市場参加者の均的な見方であり、実際に経済標が発表されるまでは、それが相場に織り込まれている(=相場の前提となっている)と考えることができます。

具体的には、情報提供会社が複数のエコノミストやアナリストにアンケート調して、その回答の中央値(あるいは均値)を市場予想として発表しています。したがって、情報提供会社によって市場予想は異なる場合があります。

ほとんどのエコノミストやアナリストが同じ予想をしていて、それが市場予想になるケースもあれば、幅広い予想があってその中央値がたまたま市場予想になるケースもあります。

前者の場合は、市場予想通りの結果なら相場はほとんど動かず、市場予想が外れたら相場は大きく動く可性があります。後者の場合は、どんな結果が出ても相場はそれなりに動くかもしれません。
経済標は信用できるか

経済標はどの程度信用できるのでしょうか。多くの経済標は小さなサンプルから全体が推計されるため、当然のように誤差が生じます。

また、データの集計の遅れなどから後になって発表数値が修正されることもよくあります。

一つだけ例を挙げます。上述の米国の雇用統計では、10月5日に発表された9月の非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll,NFPと呼びます)は前べて13.4万人増加しました。市場予想は18.8万人の増加だったので、それに届かなかったことになります。

ただ、雇用統計を発表している米国労働統計局によれば、NFPには90%の信頼準でプラスマイナス11.5万人の誤差があります。

簡単に言えば、本当の9月NFPは前べて1.9万人の増加から24.9万人の増加の範囲にあった可性が高いということです。結果的に市場予想はその範囲に含まれていました。

また、8月NFPは9月発表時点の20.1万人の増加から10月発表時点で27.0万人の増加へと大幅に修正されました。

もっとも、それらの数値も、来年2月に年に一度の全数調の結果に置き換えられると大幅に変わるかもしれません。
○一つの経済標で一喜一憂するべきでない

そうした誤差や修正は、サンプル調であるために避けられないものです。また、々の変動(ブレ)が大きい経済標もあります。

したがって、ひと経済標、とりわけ前だけをみるのではなく、3カ移動均や1年前との較(前年同)などによってトレンドを把握することが重要になります。

経済標を受けて相場が動けば、それを視するわけにもいきません。また、相場の動きと褄が合うような、もっともらしい況解説も出るはずです。

ただし、本来であれば、一つの経済標に一喜一憂するべきではありません。経済標は投資方針の策定や修正のための多くの材料の一つと考えるべきでしょう。

○執筆者プロフィール : 西田(にしだ あきひろ)

マネースクエ市場調チーフエコノミスト1984年、日リサチセンターに入社。ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして活躍。
2012年、マネースクウェアジャパン(現マネースクエア)入社。「投資教育(アカミア)」にを入れている同社のWEBサイトで「市場調部レポート」「スポットコメント」「今の特集」など多数のレポートを配信する他、動画サイトM2TV」でマーケットを日々解説。
西田(マネースクエア))

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